弁護士(司法修習生)の就活マニュアル|法律事務所の選び方・スケジュール等
by LEGAL JOB BOARD 横山
コンサルタント
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こんにちは。弁護士・司法修習生に特化したキャリア支援を行う「リーガルジョブボード」の横山です。
本記事では、「司法修習生(弁護士)の就活マニュアル」をテーマに、以下のような情報をお届けします。
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この記事の目次
司法修習後の進路は「弁護士」が最多
司法修習生の進路には、弁護士、検事、裁判官があります。
『弁護士白書 2023年版』によると、75期司法修習終了者1,325名のうち、弁護士が最多で966人、裁判官が76名、検察官が71名、その他が212名でした。
司法修習生の進路は、例年このような比率となっています。
司法修習生の主な就職先は5つ
司法修習生の就職先になり得る法律事務所、インハウスローヤー(企業内弁護士)、裁判官、検事、独立(即独)について、それぞれ解説します。
1. 法律事務所
法律事務所は、最も多くの司法修習生が選択する就職先です。扱う分野や事務所の規模によって、経験できる案件や年収、働き方が異なります。
扱う分野に応じた事務所の種類は、「企業法務系」「一般民事系」「総合系」です。事務所の規模は目安として、五大法律事務所を含む大手、弁護士数が100~50名程度の準大手、50名未満の中堅・中小に分類できます。
中でも、企業法務系は事務所数が少ない上に人気が高く、採用難易度が高い傾向にあります。また、一般民事・刑事事件の経験を積みたい方は、「新興系」などと呼ばれる大手事務所や、「街弁」などと呼ばれる中小事務所に就職するケースが多いです。
法律事務所の種類や、それぞれの特徴・年収などは次章をご覧ください。
2. 企業(インハウスローヤー)
インハウスローヤー(企業内弁護士)として、企業に就職する方もいます。特に、ワークライフバランス重視の方が、インハウスローヤーを選択肢に入れる傾向にあります。
法律事務所に比べ、「残業を抑えやすい」「福利厚生が整っている」「在宅勤務がしやすい」といった点が要因となってか、インハウスローヤー人口は年々増加。インハウスローヤーを採用する企業数も増えています。
インハウスローヤーは業務の特性上、ビジネス関連の知識・スキルが身に付くのが特徴です。また、金融やIT、メーカーなど企業の業界によって、必要な法分野・業務が変化します。初任給は年収500万円ほどが目安で、キャリアを積めば年収800万円以上も目指せるでしょう。
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3. 検事
司法修習後、検事になるという道もあります。
検事になるためには、二回試験(司法修習生考試)に合格後、検事採用面接を受けなければなりません。検事は任官希望者の中から、能力・適性・人格・識見を総合的に判断した上で採用されます。
5年目以降になると、一人前の検事として認められる存在になります。初任給は年収500~600万円程度で、部長クラスになると年収1,000万円以上も可能です。
4. 裁判官
司法修習生の中には、裁判官を目指す方もいます。裁判官は司法試験・司法修習の成績が優秀な方、加えて素行や人間性も重視されるとされています。
裁判官に任官されると、まず「未特例判事補」になります。任官から5年で「特例判事補」になると、一人で裁判を行えるようになります。10年目に「判事」となると一人前とされ、その後は「高等裁判所長官」「最高裁判所判事」「最高裁判所長官」とキャリアアップをしていくことも可能です。
初任給は年収600万円程度で、キャリアを積むほど年収アップが見込めるでしょう。しかし、判事以上のキャリアを積む人はほんの一握りのようです。
5. 独立(即独)
まれですが、司法修習後に即独立・開業する方もいます。司法修習中などに独立・開業の準備を進めるため、ハードなスケジュールをこなすことになるでしょう。
初年度はピンキリですが、顧客や案件数が少ないと年収300万円~500万円程度の可能性もあります。経営が軌道に乗れば、年収1,000万円以上を目指すこともできます。独立弁護士の平均年収は1,400万円程度とされてますが、案件対応数や単価、クライアント数によって売上は大きく変動します。
自身の裁量で仕事ができるため、ワークライフバランスを大切にすることも可能です。弁護士の即独について、成功・失敗要因などをこちらの記事で解説しています。
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法律事務所の種類・特徴や傾向
『弁護士白書 2023年版』によると、日本には1万8,276件もの法律事務所が存在しています。
企業法務系 法律事務所
企業法務系の事務所では、M&Aやファイナンス、コーポレート、事業再生、知的財産、危機管理など、企業活動によって生じる案件を扱います。
五大法律事務所を含む大手事務所は、大型案件や海外案件が多いため多忙になりやすく、働き方はハードな傾向にあります。ただその分、高収入を得ることが可能です。初任給は年収1,000万円~1,200万円、アソシエイトは最高年収3,000万円が目安です。パートナーともなると、年収は数千万円~数億円とされています。
中小規模の事務所の中には、大手に負けないほど専門性の高いサービスを提供している事務所が多くあります。スタートアップやIT企業の案件に携われるのも特徴。大手に比べて自分の裁量で仕事ができ、働き方をコントロールしやすいケースが多いです。収入も安定しており、初任給は年収500万円~700万円程度が目安です。
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企業法務系の特徴や業務内容、向いている人
一般民事系 法律事務所
一般民事系の事務所では、離婚問題や遺産相続、金銭トラブル、交通事故、労働事件など、個人の日常生活に関連して生じる案件を扱います。一般民事系の事務所では、刑事事件も扱っていることが多いです。
通称「街弁」と呼ばれる中小規模の事務所が、全国に多数存在しています。一般民事系の案件は多岐にわたること、企業法務系に比べて案件を個人で完結しやすいのが特徴です。年収は400万円~800万円程度が目安。実績を上げてパートナーを目指す、経験を積んで独立するといったことで、年収1,000万円以上も目指せるでしょう。
また、近年では一般民事系の大規模事務所も注目を集めています。中小規模の事務所に比べて年収が高く、企業法務系よりも労働時間が抑えやすい、ワークライフバランスを実現できる事務所もあることが特徴。大規模事務所では、事務局長や部門長などの管理職を目指すことも可能です。
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総合系 法律事務所
総合系の法律事務所は、企業法務系・一般民事系のどちらの案件も扱います。多くの事務所で、M&Aやファイナンス、コーポレート、事業再生といった企業法務系の案件、離婚問題や遺産相続、金銭トラブルといった一般民事系の案件を幅広く取り扱っています。
中小規模の事務所では、ボス弁やパートナー、その他の在籍する弁護士の得意分野によって、メインで扱う案件や全体的な案件の割合が変わる傾向にあります。年収も案件の割合などで変動しますが、目安として500万円~900万円程度です。企業法務系の案件を多く扱っていれば、企業法務系事務所への転職を視野に入れることもできます。
一般民事系と同じく、大規模事務所は中小規模の事務所に比べ、年収が高くなりやすいです。また、規模が大きくなるほど、分担・分業制になる傾向が見られます。各個人の経験・スキルなどに応じて、特に注力する分野があるイメージです。
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修習生必見!法律事務所の就活スケジュール
法律事務所の就活のタイミングは、志望する事務所のタイプに応じて、
- 【大手】2024年6月~11月頃
- 【準大手・中堅】2024年8月~2025年3月頃
- 【一般・地方】2024年11月~2026年3月頃
の3パターンに分けられます。詳しいスケジュールは以下の記事で解説しています。
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最適な就職先・職場選びのポイントとは?
就職先・職場を選ぶにあたり、抑えておきたいポイントをまとめました。
キャリアプランから逆算&軸を定める
本格的に就職活動を始める前に、キャリアプランを策定することが重要です。特にキャリアプラン・就活の戦略を立てた方が良いのは、企業法務の経験を積みたい場合です。
関連して、職場選びの軸を定めることも重要です。具体的には、業務分野や勤務エリア、ワークライフバランス、年収、個人受任の可否、事務所の規模感(大手・中小など)などが軸として挙げられます。職場選びの軸(プライオリティ)を明確にすると、就職活動が進めやすくなります。
職場選びの判断材料やポイント
職場選びにおいて、確認しておきたいのが以下のポイント。
- 所属弁護士の修習期
- 案件の割合
- 昇給例
- 実際の勤務時間
- 弁護士同士の関係性(案件への取り組み方、人間性が合うか、など)
- 集客方法(マーケティングに強い、人脈が広い、など)
例えば所属弁護士の修習期は、離職頻度の推測に役立ちます。
案件の割合は、「事務所HPでは幅広い分野を受任しているように記載があるが、実際は全体の数%(年に数件)程度の受任で経験を積むのが難しい」といったケースがあり、注意が必要です。
また集客方法は、事務所の色が濃く出る部分です。事務所の特徴が掴めるだけでなく、事務所の将来性・持続可能性を計ることにも役立ちます。
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選考の流れ・準備すべきもの
司法修習生の一般的な選考の流れや、選考に必要になる書類を解説します。
選考の流れ
多くの選考先(特に法律事務所)で、一般的に「書類選考→一次面接→二次面接→採用」という流れで選考が進みます。選考期間は平均1ヶ月半ほどです。
事務所によっては、最終面接後に食事会・ランチなどがあります。目的は「応募者の人柄を見る」「双方のマッチング度を見定める」といったもの。先輩弁護士などとカジュアルにコミュニケーションが取れるでしょう。
準備すべきもの
選考時、一般的に以下の書類が必要になります。
- 履歴書
- 自己PR書
- 司法試験の結果表
- 法学部時代の成績表
- ロースクール時代の成績表
司法試験の結果表や、法学部時代・ロースクール時代の成績表は、履歴書などと一緒に提出するケースが多いです。
履歴書や自己PR書の作成に不安を感じる方や、添削をご希望の方は、弁護士・修習生専門エージェントの「リーガルジョブボード」にお気軽にご相談ください。履歴書・自己PR書のレクチャーや添削をお手伝いをいたします。
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【要確認】内定前後に注意すべきポイント
就職活動が順調に進むと、内定をもらうことも出てくるでしょう。内定受諾の前後に気を付けるべき3つのポイントをまとめました。
労働条件通知書はしっかりチェック
労働条件通知書の交付は法律で義務付けられています。できる限り内定前に受け取り、確認することを推奨します。
給与の内訳や報酬パターン(固定報酬型・案件単位報酬型・ハイブリッド型)、弁護士会費を負担してもらえるか等を含め、「本当にこの条件で問題なく働いていけるか」を意識して確認いただきたいです。
内定受諾後の辞退は原則避ける
内定を受諾して内定者になった後に、一方的に内定を辞退する行為は避けましょう。
一般企業に比べて法律事務所の内定者数は少なく、例え1人でも内定辞退になると採用・経営計画に打撃を与える可能性が高いです。また、弁護士業界には様々な人の繋がり・情報の流れがあります。内定破棄やその際に不誠実に対応すれば、どこかで気まずい思いをしたり、業界人からの印象が悪くなってしまうリスクも考えられます。
「内定が出たけど就職活動を続けたい」「任官・任検の可能性がある」といった場合は、その旨を内定先に伝えて相談するのが最善策でしょう。
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