【必読】弁護士が転職を考えたら知っておきたいこと|転職市場の動向や注意点
by LEGAL JOB MAGAZINE 編集部
編集部
こんにちは。リーガルジョブマガジン編集部です。
本記事では、弁護士・法務の転職やキャリアに関して深い知見を持つ山﨑雅彦氏の監修のもと、「弁護士の転職」について以下のような内容を網羅的に解説します。
「転職すべきか迷っている」「今の働き方・職場に不満がある」といった弁護士の方は、本記事を参考にしていただけますと幸いです。
この記事の目次
弁護士が抱える仕事の悩みとその傾向
弁護士の方から聞かれる現職の悩みは、
- 激務で心身に不調をきたしそう
- 未経験業務・分野の経験を積みたい
- 専門性が身についておらず不安
- 事務所(企業)の雰囲気や人が合わない
- 上司のマイクロマネジメントがストレス
など様々ですが、その大半は「属している組織の環境」や「弁護士キャリア」に関連するものです。
特に環境や人が関係する悩みは、自力で解消することが難しい傾向にあります。また激務やハラスメント、過干渉・過剰なマネジメントに悩んでいる場合は、その環境に耐え続けようとすることで心身に不調をきたしかねません。環境や人に関連した悩みを抱えているのであれば、職場を変えることが最も有効な解決策になり得ます。
また職場の選択をする際には、自分自身が弁護士としてどのようなキャリアを築いていきたいのかという観点から、中長期的な視点を持って判断する必要があります。自分はどのようなキャリアを歩むべきかを多角的な視点で検討してみる必要があるでしょう。
弁護士の主な転職理由
弁護士の方から特によく聞かれる転職理由は、以下の3つです。前述した仕事の悩みが、転職を決意する理由になり得ることがわかります。
働き方
激務による心身の健康への影響や、家庭・子供のための時間の確保、在宅勤務を活用した働き方の実現などが、働き方関連の転職理由としてよく聞かれます。
激務に関しては、ある程度タフな働き方を許容している弁護士の方も多いですが、「毎日終電で帰宅している」「土日も仕事をせざるを得ない」といった場合、転職を検討する方が多い傾向にあります。
業務・キャリア
業務やキャリアに関する転職理由としては、現職の業務内容のミスマッチ、未経験業務・分野へのチャレンジ、将来を見据えたキャリア形成の見直しなどがよく聞かれます。
弁護士としてどのような経験を積み、どのような専門性を身につけていくかは、キャリアを大きく左右します。中長期的な視点を持って弁護士としてのキャリアや将来像を検討することが必要です。
人間関係
人間関係もまた、弁護士の転職理由としてよく聞かれます。具体的には職場の雰囲気や方針のミスマッチ、職場内でのパワハラやモラハラなどのハラスメント、上司のマネジメントに対する不満などが挙げられます。
人間関係や職場環境にかかわる悩みは、自力で解消することが難しい傾向にあり、現状から脱するための手段として転職を選択される方が多いです。
【あわせて読みたい記事】
弁護士におすすめの転職エージェント13選&利用者の口コミ
弁護士の転職市場・採用活動の動向は?
ビジネスや企業活動に関連した領域での弁護士・法務人材の需要の高まり、マーケティング戦略などで案件獲得を強化する法律事務所の増加、顧客ニーズに基づく新規領域の開拓など、弁護士のマーケットは近年急速に拡大しています。
弁護士ニーズの高まりや多様化に関連し、弁護士人材の需要は依然として高く、法律事務所・企業ともに採用熱は高まっています。弁護士の人数の増加数(供給)以上に、法律事務所・企業側の採用枠(需要)が拡大しているため、弁護士の転職は「売り手市場」の状況にあります。
リーガルジョブマガジン編集部による「2024年版 弁護士数が多い法律事務所ランキング」には、東京・大阪などの都市部を中心に全国の法律事務所がランクインしています。これらの大手〜中堅法律事務所の多くは、採用を積極的に行なっています。
これまで、企業法務をメインとする法律事務所が特に採用に注力している(人材を確保・増強したい)傾向にあると言われていましたが、最近では一般民事系や総合系の事務所も、新卒・中途ともに採用を強化するケースが増えています。
また企業によるインハウスローヤーの採用も、年々活発になっています。インハウスローヤーの需要が高まっている背景には、ビジネスのグローバル化や多様化、ガバナンス・コンプライアンス強化の必要性の高まりなどがあります。インハウスローヤーを含む法務人材の主なミッションは、法的リスクの観点から経営や他部門の意思決定に関与すること、事業の実現・成功のために法的観点からサポートすることです。
日本組織内弁護士協会のデータによると、インハウスローヤーを採用する企業数・採用された人数ともに、20年以上もの間右肩上がりに伸び続けています。特にここ10年ほどの増加は著しく、2024年6月末時点で、インハウスローヤーを採用している企業は1,493社、インハウスローヤーとして採用された弁護士は3,391人となっています。
リーガルジョブマガジン編集部による「2024年版 インハウスローヤー数が多い企業ランキング」からも、全国の多くの企業でインハウスローヤーの採用が進んでいることがわかります。
「好条件の弁護士求人があれば知りたい」「転職すべきか迷っている」といった方は、リーガルジョブボードの弁護士専門エージェントまで、お気軽にお問い合わせください。
弁護士の転職先の選択肢
ここからは、弁護士の転職先の選択肢について、それぞれ解説します。
企業法務系 法律事務所
企業法務系の法律事務所では、M&A・事業承継、ファイナンス、コーポレートガバナンス・コンプライアンス、不祥事対応、知的財産などをはじめとした案件を扱います。実際に扱っている業務や得意領域は事務所によって異なるため、自身の希望やキャリアビジョンに合っているかを確認する必要があります。
専門性・市場価値の向上につながる経験を積めることや、報酬が高い傾向にあることから、企業法務系は人気が高いです。
仕事に追われて多忙なイメージが強いかもしれませんが、事務所によっては、リモートワークやフレックスタイム制が導入されるなど、働きやすい環境が整えられているケースもあります。
【あわせて読みたい記事】
企業法務系の特徴や業務内容、向いている人
一般民事系 法律事務所
一般民事系の法律事務所では、離婚問題や遺産相続、倒産処理、労働問題、債権回収、交通事故、刑事事件といった様々な案件を扱います。地域に根付いた歴史ある事務所や、規模を拡大している新興系といわれる事務所、少人数で業務を行う個人事務所などがあり、どのような案件に注力しているかは事務所によって異なります。
ある程度経験を積んだ後は独立するか、弁護士法人化した事務所などでパートナーや各拠点の支店長を目指すケースが多いです。
1つの案件が長期化するケースが多く、スケジュールに融通がききやすいことや、依頼者から直接感謝される機会も多い傾向にあることから、ワークライフバランス重視の方や個人のクライアントと深く関わって問題を解決することにやりがいを感じる方にマッチしやすいでしょう。
【あわせて読みたい記事】
一般民事系の特徴や業務内容、向いている人
インハウスローヤー(企業内弁護士)
インハウスローヤー(企業内弁護士)も、弁護士キャリアの選択肢として一般的になりつつあります。
企業に属して内部で法律関連の業務に携わるインハウスローヤーは、主に契約書等の作成・チェックや、ガバナンス・コンプライアンス体制の構築と運営、株主総会の対応、法律相談・アドバイスなどを行います。
ビジネスの現場で活躍・貢献したい方や、ワークライフバランスを確保したい方は、転職時の選択肢にインハウスローヤーを入れてみてはいかがでしょうか。
【あわせて読みたい記事】
インハウスローヤーの業務内容や法律事務所との違い
「好条件の弁護士求人があれば知りたい」「転職すべきか迷っている」といった方は、リーガルジョブボードの弁護士専門エージェントまで、お気軽にお問い合わせください。
総合系 法律事務所
総合系の法律事務所は、企業法務系・一般民事系のどちらの案件も扱う事務所です。M&Aやファイナンス、コーポレート、事業再生といった企業法務系の案件、離婚問題や遺産相続、金銭トラブルといった一般民事系の案件を幅広く取り扱っています。
中小規模の事務所では、ボス弁やパートナー、その他の在籍する弁護士の得意分野によって、メインで扱う案件や全体的な案件の割合が変わる傾向にあります。総合系でも企業法務系の案件を多く扱っていれば、企業法務系事務所への転職も視野に入れることができるでしょう。
一般民事系と同じく、中小規模の事務所に比べ、大規模な事務所の方が年収が高くなりやすいです。また規模が大きくなるほど、分担・分業制になる傾向が見られます。
より詳しい情報を知りたい方や、具体的な事務所・求人紹介をご希望の方は、リーガルジョブボードの弁護士専門エージェントまで、お気軽にお問い合わせください。
外資系 法律事務所
外資系の法律事務所とは、主に海外に拠点がある事務所の日本支部を指します。業務内容としては、国際的な企業法務案件がメインとなり、企業法務系の法律事務所と共通する部分も多いです。
日本支部とはいえ、海外の文化が根付いた環境であり、働き方や給与は一般的な国内の法律事務所と異なる点があります。
給与はグローバル基準の報酬体系もしくは、日本独自の報酬体系で支払われます。外資系法律事務所に勤める弁護士の年収は高い傾向にあり、国内の大手法律事務所に引けを取らない水準です。ワークライフバランスに関しても、海外の文化がベースとなるため、企業法務系の大手法律事務所などに比べると、働きやすい傾向にあります。
【あわせて読みたい記事】
外資系法律事務所の業務内容や求められるスキル
弁護士の転職活動における注意点・ポイント
弁護士が転職活動を成功させるために、特に外せないのは「応募先の内情を詳しく把握すること」です。
応募先(転職先)の情報として、以下の項目は確認しておくことを推奨します。これらの項目は転職先でミスマッチが生じやすいため、事前に確認しておくことがリスク低減につながります。
- 具体的な案件の割合
- 案件の獲得方法
- 昇給基準
- 実際の勤務時間
- 組織内の人間関係
例えば、具体的な案件の割合は「事務所HPでは企業法務から一般民事まで幅広い案件を受任しているように記載があるが、実際は企業法務案件は全体の数%(年に数件)程度の受任で経験を積むのが難しい」といったケースもあるので注意が必要です。
また案件の獲得方法には、事務所の色が出ます。マーケティングに力を入れているのか、人脈を基盤に案件を獲得しているのかなど、事務所の特徴が掴めるだけでなく、将来性や持続可能性を計ることにも役立ちます。
インハウスローヤーの場合は、特に組織内の人間関係について確認いただきたいです。法務部門がボトムアップの組織なのかトップダウンの組織なのか、チームプレーを重視した組織なのか、特定の領域に専門性を有する個人のスタンドプレーを歓迎する組織なのかといった違いがあり、長く働くことを考えたときに、自分にフィットする環境であるか否かを見極める必要があります。
指導体制・マネジメント体制も要確認
上記の項目に加え、若手の方は特に「マネジメント体制が整っているか」や「どのような組織・環境か」も確認しておけると安心です。
マネジメントや指導の体制が整った職場であれば、上司のマネジメントに不満を感じたり、指導を受けられず過度に叱責されたりといった可能性は低いでしょう。
また職場の組織や環境は、入職後の評価・昇進・キャリアアップなどに影響を与える要因の一つになり得ます。自分の強みを活かせる環境があるか、キャリア目標を叶えられそうかなど、入職後まで見据えて確認しておきたいところです。
転職時に業務内容や収入、労働環境などの条件面だけにフォーカスせず、入職後のことにも目を向けて判断できると、ミスマッチで後悔する可能性はグッと下げられると思います。
「好条件の弁護士求人があれば知りたい」「転職すべきか迷っている」といった方は、リーガルジョブボードの弁護士専門エージェントまで、お気軽にお問い合わせください。
弁護士の転職に年齢は影響するのか
弁護士は一般的な職業に比べ、年齢によって転職が不利になることは少ない傾向にあります。年齢よりも経験やスキル、人柄などが重視されるケースが多いです。
とはいえ、40代以降からは年齢がネックになる可能性も否めません。特に未経験分野への転職は、比較的若い方が歓迎されやすいです。弁護士として「どのようなキャリアを歩みたいか」「どのような専門性を身につけたいか」を早い段階で検討し、希望に沿った経験を積んでいくことをおすすめします。
転職活動の流れ・準備すべきもの
応募・選考などに費やす期間は1~3ヶ月程度、内定受諾~入職までは2~3ヶ月程度が一般的です。また、内定を受諾するかを検討できる期間は、基本的に1~2週間程度となります。
応募先が複数ある場合、選考をできるだけ同時期に進めるのがポイントです。内定を受諾するか否かの判断(ベストな転職先の見極め)がしやすくなるでしょう。
転職活動にあたって、履歴書・職務経歴書が必要になります。以下の記事でフォーマット・例文サンプル付きで解説しています。ぜひ参考になさってください。
【あわせて読みたい記事】
・履歴書の書き方やサンプル
・職務経歴書の書き方やサンプル
弁護士の求人・転職情報
弁護士の転職を支援するリーガルジョブボードでは、法律事務所から企業まで豊富に求人を扱っています。実際の求人一覧は以下よりご確認いただけます。
リーガルジョブボードは、弁護士専門エージェントが必ず担当につき、求人紹介や職場に関する情報共有、キャリア相談、選考の日程調整などを行います。ぜひお気軽にお問い合わせください。
【あわせて読みたい記事】
弁護士におすすめの転職エージェント13選&利用者の口コミ