【キャリアパス別】弁護士の年収・給与|年収アップのポイント3つとは?
by LEGAL JOB BOARD 庄司
コンサルタント
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この記事の目次
弁護士の平均年収は?
日本弁護士連合会が2020年に行った調査によれば、弁護士の平均年収(所得合計の全国平均値)は1,119万円です。また、中央値は700万円となっています。
しかし、このデータには勤務弁護士だけでなく独立開業弁護士も含まれています。また、インハウスローヤーを含む勤務弁護士は、所属する事務所・企業や扱う分野によって年収がかなり変動します。
そこで、本記事では「キャリアパス別の年収」を中心に、弁護士の年収について詳しく解説します。
※出典:日本弁護士連合会「弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査2020」
4つのキャリアパス別に見る弁護士の年収・給与
弁護士の主なキャリアパス4パターンごとに、年収やその変化を解説します。
Case1. 企業法務系からスタート
五大・準大手を含む企業法務系の事務所からは、企業法務系の別事務所やインハウスへの転職が主流。経験・スキルや転職先によって変動はあるものの、国内の企業法務系では年収が下がり、外資の企業法務系では年収キープや微増となるケースが多いです。
国内企業法務系で年収がダウンするのは、五大・準大手を含む企業法務系の給与水準の高さが要因。特に五大は1年目から年収1,000万円を超え、業界トップクラスの高給与が得られます。国内企業法務系など、他事務所でその給与水準を維持することは簡単ではありません。
対して、外資企業法務系は給与水準が高く、五大・準大手などからの転職でも年収をキープ・微増できる傾向です。外資では国際案件を扱うため、高い語学力(主に英語)や国際案件の経験が求められます。また、五大などに比べると労働時間は短いとされていますが、多忙であることに変わりはないでしょう。
五大・準大手からインハウスへの転向では9割方、年収が下がる傾向にあります。あくまで会社員ということもあり、年収1,000万円を超えるのは役員待遇の場合が大半です。しかし、業界によっては、役職なしで年収1,500万円以上といった求人も存在します。
Case2. 一般民事系からスタート
一般民事系の事務所からは、一般民事系の別事務所や国内の企業法務系の事務所、インハウスへの転職が主流。国内の企業法務系は、主に中小規模の事務所が想定されます。一般民事系から企業法務系やインハウスへの転職は、年収が下がる可能性が高いです。
企業法務系への転職は経験・スキルの有無が重視されるため、未経験だと年収が下がりやすいです。加えて、一般民事系は経験を積むほど年収が上がりやすく、転職後にさらに高年収を目指すとなるとハードルが高い傾向にあります。そのため、一般民事系から企業法務系やインハウスへの転職は、年収が下がるケースが大半となっています。
一般民事系で年収アップを目指したい場合は、より好待遇な一般民事系事務所に転職する、経験をいかしてパートナーなどの役職を目指すといった選択肢があるでしょう。また、新興系の事務所は給与水準が高く、年収1,000万円以上を超える可能性があります。
Case3. インハウスからスタート
インハウスの転職先としては、別企業のインハウス、国内の企業法務系事務所が主流。企業法務系の事務所への転職では、年収500万円~1,000万円程度を目指すことも可能です。
インハウスから企業法務系への転職では年収アップが可能です。しかし、法律事務所側からすると、インハウス出身者に大きな需要があるとは言い切れないのが現状。企業と法律事務所の業務内容の違いから、転職難易度も高い傾向にあります。
他企業のインハウスへの転職は、経験・スキルをアピールしたり、役員ポストを狙うことで年収アップの可能性があります。また、業界によっては、年収1,000万円~1,500万円を目指すことも可能です。
Case4. 総合系からスタート
総合系の事務所からは、総合系の別事務所や、インハウス、国内の中小規模の企業法務系事務所への転職が主流。総合系の事務所で経験を積んでいる場合、扱っている案件の割合によって年収が変動します。
例えば、企業法務の案件を多く扱っていれば、企業法務系への転職で年収アップの可能性が高まります。別の総合系事務所へ転職する場合も、扱っていた案件の割合や、経験豊富な分野によって転職先・年収がある程度定まってくるでしょう。新興系の事務所は給与水準が高く、年収1,000万円以上を超える可能性があります。
インハウスへの転職は年収が下がるケースがほとんどです。他のケースと同様に、インハウスローヤーはあくまで会社員ということもあり、事務所レベルの高収入を得るのが難しい傾向にあります。
我々エージェントにご相談いただきますと、ご経歴・ご希望に沿ったベストな転職先や、転職後の年収についてお伝えいたします。
年収アップのために知っておきたい3つのこと
年収アップを目指す場合に抑えておきたいポイントを紹介します。
企業法務の経験は高年収に繋がりやすい
弁護士として高年収を目指したい方は、できる限り企業法務の経験を積むのがおすすめです。前述のキャリアパス別の年収目安からも分かるように、企業法務系の経験があると、年収が比較的高水準で安定する傾向にあります。
これには、企業法務系の案件は報酬額が高い傾向にあることや、需要が拡大していることが関連しています。また、大規模案件や海外案件などの経験があれば、より高年収を目指せるでしょう。
何かを極めるのも選択肢の一つ
キャリアパスを定めた上で、特定の業界・分野で専門性を極めることが、高年収に繋がるケースもあります。とがった経験・専門性は周囲との差別化に繋がり、求められる人材となれる可能性が高いです。
例えば、以下のようなパターンが考えられます。
- 企業法務系の事務所から、中央官庁・企業などへの出向を経験する
- インハウスローヤーとして、IPOや知的財産関連などの経験を積む
- 一般民事系の事務所で、詐欺や刑事事件などの経験を積む
特定の業界・分野を極めたい方は、キャリアパスの策定が非常に重要です。将来的に後悔することのないよう、キャリアの軸を定めた上で進むべき道を判断しましょう。
キャリアプランから逆算した転職を
とにかく「キャリアプランから逆算した転職」をすることが、何よりも大切です。弁護士は経験・スキルによって、キャリアの選択肢が絞られていく傾向にあります。
年収アップだけを考えて転職し、「多忙すぎる」「業務内容がイメージと違う」といったミスマッチで早期退職するケースが多くあります。キャリアパスに沿って経験を積み、市場価値を高めることが、年収アップにも繋がっていきます。
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ワークライフバランスと年収、両立できる?
「ワークライフバランスを大切にしたい場合、年収は諦めるしかないのか?」というと、結論そんなことはありません。
ワークライフバランスを大切にしたい弁護士のうち、8~9割程度がインハウスローヤー(企業)に転職します。その他には、総合系や街弁といわれる事務所で働く弁護士もいます。これらの職場では、業務量や労働時間を比較的コントロールしやすい傾向にあるためです。
高年収とワークライフバランスの両立は簡単ではありませんが、経験・ポテンシャルが評価されたり、副業で賢く稼いだりすることで、年収アップ(もしくはキープ)が可能でしょう。
特に、今の働き方と年収が見合っていない場合、ワークライフバランスと年収どちらも改善できる可能性が高いです。ぜひ一度ご相談ください。
就職先別に見る“弁護士の初任給”
弁護士の初任給は、就職先や業務分野によって異なります。主な就職先別に、初任給の目安額をまとめました。
就職先 | 初任給(目安) |
---|---|
企業法務系 法律事務所 | 五大・大手:1,000万円~ 中小:500万円~ |
一般民事系 法律事務所 | 400万円~ |
総合系 法律事務所 | 500万円~ |
インハウスローヤー(企業) | 400万円~ |
一般的な法律事務所の初任給は、400万円~600万円程度が目安です。対して、五大法律事務所などは、初任給から1,000万円を超えます。
一般民事系やインハウスローヤーは、企業法務系に比べて初任給が低い傾向です。また、インハウスローヤーは、他の新卒社員に合わせて年収400万円スタートといったケースもあり得ます。ただし、企業法務部での勤務経験がある場合、初任給が比較的高くなるでしょう。
弁護士の初任給について、詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
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経験年数(修習期)ごとの所得変化
ほとんどの弁護士の経験年数は、修習期と比例しています。ここでは、日本弁護士連合会が2020年に行った調査における「修習期別の所得」を参照し、所得の平均値と中央値を見ていきます。
修習期 | 平均値 | 中央値 |
---|---|---|
40~44期 | 1,863万円 | 910万円 |
45~49期 | 1,518万円 | 1,043万円 |
50~54期 | 1,621万円 | 1,101万円 |
55~59期 | 1,514万円 | 1,000万円 |
60~65期 | 955万円 | 799万円 |
66~69期 | 860万円 | 550万円 |
70期~ | 519万円 | 461万円 |
50~54期までは、所得の平均値・中央値ともに経験年数に比例して上がっています。年収レンジの変化としては、経験年数が上がるほど、500万円未満が減って750万円未満~2,000万円未満が増加する傾向が見られました。
独立開業した弁護士の平均年収
独立開業した弁護士の平均年収は1,000万円~1,500万円程度が目安です。
しかし、当然ながら年収は個人によってかなり異なります。年収が300万円以下の方もいれば、数千~数億円を超える方もいらっしゃいます。独立開業の場合、売上が収入に結びついていることもあり、高所得の方ほど多忙な傾向にあるようです。
弁護士の独立について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
弁護士は稼げなくなっているのか?
結論から言うと、弁護士は十分に需要がある仕事で、稼げないといったことはありません。弁護士は稼げないと噂される理由として、以下が考えられます。
- 弁護士数の増加
- 報酬の自由化
- 事件数の減少 など
確かに、これらの影響も多少はあるかもしれません。しかし、世間一般や同年代に比べると、まだまだ弁護士は稼げる仕事と言えるでしょう。詳しくは以下の記事で解説しています。
年収アップを実現した転職事例
転職でキャリアや働き方の悩みを解消すると同時に、年収アップも実現した事例を紹介します。
約300万円アップ|企業法務→企業法務|73期・20代男性
顧問業務メインの法律事務所に勤務していましたが、強みとなるような専門性が身に付かないと感じ転職を検討。ファイナンスや企業間紛争の経験を積むため、大手の企業法務系法律事務所に転職しました。約300万円の年収アップを実現。
約300万円アップ|一般民事→一般民事|72期・40代男性
一般民事系事務所で働いていましたが、幅広い案件を扱うがためにノウハウ不足で業務が非効率的でした。また、多忙なのに年収が伸びず転職を決意。得意領域が明確な事務所に転職し、扱う案件が安定したことで業務効率が向上。年収も約300万円アップしました。
約200万円アップ|企業法務→インハウス|74期・28歳男性
企業法務ほぼ100%の中小規模事務所で、かなりハードな環境の中で2年勤務。条件・待遇面を改善すべく転職を決意。大手企業から経験が評価され、役職付きでインハウスローヤーとして内定。約200万円の年収アップを実現しました。
約180万円アップ|一般民事→一般民事|74期・40代女性
小規模の一般民事系事務所で働いていましたが、評価・昇給制度が不明瞭で将来に不安を感じていました。キャリアの見通しを明確にすべく、人事制度が整った事務所に転職。経験が評価され、結果的に約180万円の年収アップが叶いました。
年収アップ&キャリアアップどちらも叶えたい方へ
転職で「年収アップ」と「キャリアアップ」どちらも実現したい方は、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職活動において、以下のようなことを一人で行うのは簡単ではありません。現職が多忙な方などは、なおさら難しいでしょう。
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