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【司法書士】令和7年(第24回) 特別研修のスケジュール・申し込み方法などを解説

by フラタニティ司法書士事務所 志村直也

代表司法書士

こんにちは。司法書士業界に特化したキャリア支援を行う「リーガルジョブボード」です。

本記事では、フラタニティ司法書士事務所 代表司法書士の志村先生に監修いただき、

などについて解説します。

司法書士合格者の方や、特別研修について知りたい方はぜひご覧ください。

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司法書士の特別研修とは?

司法書士特別研修とは、司法書士が「簡裁訴訟代理等関係業務」を行うにあたって必要な能力を習得することを目的に実施されます。講義形式のゼミナール(演習)、実務研修(講義・法廷傍聴)、模擬裁判、少人数で課題に取り組むグループ研修など、比較的実践的な研修となっています。

特別研修の修了後に認定考査に合格すると、「認定司法書士」となり、簡易裁判所で取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等で代理業務を行えます。

ちなみに、2024年4月1日時点で、司法書士登録者のうち79%にあたる18,297人が「認定司法書士」です。

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【最新】令和7年 司法書士特別研修の日程・概要

令和7年度(第24回)特別研修の日程や概要は下記のとおりです。

申込受付期間令和7年3月5日(水)午前0時~3月13日(木)午後5時
実施期間令和7年5月21日(水)~6月29日(日)
会場・定員全国10か所(総受講定員630名)
・札幌(定員30名)
・仙台(定員30名)
・東京(定員180名)
・埼玉(定員30名)
・千葉(定員30名)
・横浜(定員60名)
・名古屋(定員60名)
・大阪(定員120名)
・広島(定員30名)
・福岡(定員60名)
実施形式Zoomを利用したオンライン形式が中心で、一部を集合形式で実施。
※約20日間の研修日程のうち、集合形式の研修は10日ほど。
認定考査令和7年の実施日程は未定。
なお、前回は令和6年9月8日(日)に実施されました。

なお、実施日程の詳細は会場ごとに異なります。日本司法書士会連合会によると、令和7年4月中旬頃に追って知らせるとのことです。

集合研修の会場は、居住地にかかわらず選択できます。申込期間内でも申込者数が定員を超えた場合、受付終了となる場合がありますので、早めに申し込むのがおすすめです。

その他の詳細など、日本司法書士会連合会「第24回 司法書士特別研修 募集要項」をご確認ください。

金森 キャリアアドバイザー 金森
「研修と仕事の両立について聞きたい」「特別研修までに就活を終えたい」といった方は、リーガルジョブボードの司法書士専門キャリアアドバイザーまで、お気軽にお問い合わせください。

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司法書士特別研修の費用・申し込み方法

受講料・納付方法

特別研修の受講料は、145,000円(※振込手数料別)です。受講の申し込みを行う前に、受講料を指定口座に振り込む必要があります。

受講料には教材費などが含まれています。一方で、食事代、交通費、宿泊費、必読・参考図書費、通信費、考査受験料は自己負担となります。

申し込み方法

受講の申し込みは、日本司法書士会連合会の研修管理システムで行います。添付する書類は以下の4点です。

  • 司法書士となる資格を有することを証明する書面の写し
    合格証書・認定証書など。
  • 住民票の写し
    申込日より1ヶ月以内に交付されたもの。記載の氏名と住民票の氏名が異なる場合、予め連合会に連絡。
  • 受講料の納付を証明する書面の写し
    「振込依頼書の振込金受取書」「ATMの利用明細票」「インターネットバンキングからの振込内容がわかる書面」のいずれかの写し。
  • 証明写真
    データ容量20MB以下。 サイズは参考として、800×600 縦横比4:3の比率を推奨。

※すでに会員の場合は、必要書類が一部異なります。

受講料や申し込みに関する詳細は、必ず日本司法書士会連合会「第24回 司法書士特別研修 募集要項」をご確認ください。

司法書士特別研修の内容

特別研修には、講義やゼミナール、実務研修(法廷傍聴)、模擬裁判、グループ研修などの様々なプログラムが含まれます。「第24回 司法書士特別研修 募集要項」の記載内容をもとに、以下で詳しく解説します。

基本講義

基本講義は、特別研修の基礎となる内容です。動画を視聴する形式で行われます。

時間12時間
目的訴訟代理人としての自覚を醸成する科目や、これ以降の研修で必須となる課目の習得
内容憲法、要件事実の基礎、簡易裁判所における民事事件に特有な事項、事実認定、立証等に関する講義
方式専用サイトでの動画視聴
講師大学教授、弁護士、裁判官または裁判所書記官、司法研修所教官

グループ研修

特別研修のプログラムの中で、最も多くの時間を占めるのがグループ研修です。ゼミナールや模擬裁判に向けた内容で、10名~15名程度のグループでチューターを中心とした研修を行います。

時間37時間(グループ研修Ⅰが21時間、グループ研修Ⅱが16時間)
目的事例課題・提出起案の作成について、ゼミナール、模擬裁判・総合講義を効果的に受講するための予習
内容【グループ研修Ⅰ】訴状・答弁書の作成
【グループ研修Ⅱ】準備書面・証拠申出書、和解条項等の作成や倫理等の事例に関する討議など
方式【グループ研修Ⅰ】オンラインで実施
【グループ研修Ⅱ】各会場で集合形式で実施

ゼミナール

ゼミナールは、実践的な知識・能力を身につける目的で実施されます。双方向形式の講義のため、講師から指名されて回答する場面があります。

時間18時間
目的簡易裁判所で訴訟代理人として活動するために必要な実践的知識・能力の習得
内容(要件事実に関する講義を踏まえ)不動産訴訟・金銭訴訟に関する事例研修など
方式30名程度でのゼミナール方式、オンラインで実施
講師弁護士
金森 キャリアアドバイザー 金森
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実務研修(法廷傍聴を含む)

実務研修は、簡易裁判所に係属する実際の事件に関する研修です。法廷傍聴と講義で構成されています。

時間16時間
目的これまでの研修で得た知識や能力をより実践的なものにする
内容法廷傍聴、簡易裁判所での基本事務や簡易裁判所特有の法廷活動等に関する講義など
方式【法廷傍聴】地方裁判所本庁所在地の簡易裁判所で実施
【講義】各会場により異なる
講師裁判官または裁判所書記官

模擬裁判

模擬裁判では、実際に訴訟代理人や裁判官等の役割を体験します。

時間13時間
目的訴訟代理人としての実践的な知識・能力の習得
内容金銭訴訟・不動産訴訟に関する模擬裁判など
方式受講者を配役した模擬裁判を各会場で実施
講師弁護士

総合講義

総合講義は、訴訟代理人としての倫理や訴訟代理人として事件受任から終結に至るまでに必要な意識・自覚などに関する内容です。

時間4時間
目的実務に役立つ重要事項の習得
内容訴訟代理人としての倫理、事件受任〜終結までの全般に必要な意識・自覚に関する講義
方式各会場で講師からの質問に受講者が応答する方式で実施
講師弁護士

ここまで解説した特別研修のすべてのプログラムの受講時間を足すと、計100時間になります。特別研修が「100時間研修」と称されるのはこのためです。

特別研修は働きながら受けられる?就活との両立は?

結論としては、司法書士事務所などで働きながら特別研修を受ける方も、特別研修と並行しながら就職活動を進める方も例年いらっしゃいます。

特別研修のゼミナールや模擬裁判、総合講義は土日に行われます。そのため、講義動画視聴の時間確保、平日に研修が入ってしまった場合に仕事を休むことが可能ならば、働きながらでも特別研修を受けられるでしょう。

しかし、働きながらの特別研修をハードに感じる方もいらっしゃるかと思います。そのような場合は、就職先への入職時期の調整、休ませてもらえるかの確認をしてみてください。

金森 キャリアアドバイザー 金森
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特別研修は受けないとどうなる?

特別研修を受けないと認定考査が受けられず、認定司法書士になれません。

特別研修の受講は必須でないため、受けないという選択も可能です。債務整理・簡易裁判業務に携わらないのであれば、認定司法書士でなくても仕事はできるでしょう。

しかし、債務整理に携わらない場合も、裁判関係の相談を受けることがあります(建物明け渡しの相談など)。お客様からすれば、繋がりのある司法書士に裁判関係の相談もできた方が良いでしょう。

また、合格年度に特別研修を受けないと、特に民事訴訟法等の知識が抜けやすいです。個人的には、合格後すぐに特別研修を受けておくことをおすすめします。

特別研修までにやっておきたいこと(予習・課題)

特別研修のために、民法と民事訴訟法を復習しておくのがおすすめです。

特別研修は筆記試験の合格から3~4ヶ月経った頃で、民事訴訟法の知識が抜け始めている可能性があります。特別研修では予習と課題が必須のため、そういった意味でも民法と民事訴訟法の復習をしておくのが良いでしょう。

課題の注意点

特別研修のテキストは、研修開始の1ヶ月以上前に届くことが多いので、予習期間は十分にあると言えます。

しかし、以下のような課題は、特に時間がかかるので早めに取りかかるのがおすすめです。

  • 貸金等請求事件の訴状を作成
  • 答弁書を作成

特別研修の前に予習をしておくことで、研修内容をより理解することができ、知識を習得しやすくなるでしょう。

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特別研修におすすめの参考書

特別研修にあたり、日本司法書士連合会から必読図書・参考図書が提示されています。その中でも、特におすすめの参考書を紹介します。

『司法書士 簡裁訴訟代理等関係業務の手引-令和5年版-』

▶司法書士 簡裁訴訟代理等関係業務の手引 令和5年版

特別研修・認定考査における司法書士倫理はこれ一冊あれば十分です。

認定考査に関しては、この本から出題されているのでは?と思うほど、この本に記載されている事例がよく出ます。そのため、特別研修だけでなく、認定考査対策としても必須で買っておいた方がよい書籍です。

『要件事実の考え方と実務』(第4版)

▶要件事実の考え方と実務〔第4版〕

いわゆる「カトシン本」です。これ一冊で要件事実の基礎や考え方が身に付きます。ただ、受験用のテキストではないので、人によっては向き不向きがあるかもしれません。

【番外編】『認定司法書士への道』

▶認定司法書士への道[入門編]

必読図書・参考図書には含まれていませんが、「道」の愛称で親しまれているテキストです。[入門編][理論編][実践編]の3冊構成で、伊藤塾の講師が執筆しているだけあり、認定考査対策に非常に役立ちます。

特別研修の参考テキストとしても使用でき、実際に「カトシン本」より「道」の方が使い勝手が良いという人も多い印象です。

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この記事の執筆者

フラタニティ司法書士事務所 志村直也

代表司法書士

フラタニティ司法書士事務所の代表司法書士で、業界に関する知識やトレンドを発信中。不動産登記を中心に後見・相続業務に注力している。

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