
【令和5年度】司法書士合格後の流れ│就活のタイミング・研修でやることを解説

by 司法書士法人グラティアス 志村直也
代表所長 司法書士
- 担当職種:

こんにちは。リーガルジョブマガジン編集部です。
本記事では、司法書士法人グラティアス 代表所長の志村先生監修のもと、令和5年度 最新版の「司法書士合格後の流れ」を解説します。
具体的には、
- 研修の概要・スケジュール
- ベストな就職活動のタイミング
- 司法書士事務所の選び方
などをお話しします。
司法書士合格後の研修・就職において、知っておきたい情報がまとまった記事となっています。受験生の方はぜひご覧ください。
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この記事の目次
司法書士試験合格後の流れ・やること
令和5年度 司法書士試験の最終合格発表日は、11月10日(金)午後4時から。
法務局・地方法務局での掲示、法務省ホームページを通して、合格者の受験番号を確認できます。また、11月29日(水)の官報に、合格者の受験番号・氏名が掲載されます。
司法書士試験の合格後にやることは、以下の通りです。
- 「中央新人研修」を受ける
- 「ブロック新人研修」を受ける
- 「司法書士会新人研修」を受ける(※単位会によって時期は様々)
- 「特別研修」を受ける(※認定司法書士になるための研修)
- 司法書士としての就職・転職活動を進める
研修は時期が決まっていますが、就職・転職活動は人によって時期が異なるのがポイント。おすすめの就活スケジュールは、この記事の後半で解説します。
各研修の概要
試験合格後、多くの方が4つの研修を受けることになります。それぞれのスケジュールや内容を、下記で解説します。
※スケジュールは令和4年度の内容です。令和5年度のスケジュールが発表され次第、更新いたします。
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中央新人研修
中央新人研修は、例年12月初旬にスタートします。
PCやスマートフォンから受講できる“eラーニング研修”で、期間内に全て受講し、レポートの提出をもって修了となります。
研修内容は、司法制度の歴史や、司法書士の主な業務、司法書士としてのマインド・職責・倫理など。
視聴グループは、ブロック新人研修の受講会場に応じて決定され、選択することはできません。
視聴グループ | ブロック | 受講期間 |
---|---|---|
第1グループ | 北海道・東北・近畿 | 令和4年12月3日 0時00分~ 12月19日 23時59分 |
第2グループ | 関東 | 令和4年12月20日 0時00分~ 令和5年1月5日 23時59分 |
第3グループ | 中部・中国・四国・九州 | 令和5年1月6日 0時00分~ 1月22日 23時59分 |
受講料は44,000円で、ブロック新人研修の受講料とあわせて支払います。
令和4年度の申し込みは11月7日~11月20日でした。新人研修申込専用サイトから申し込めます。
※指定された期間内に視聴する必要があり、スマートフォンを使用する場合、受講期間中にOSのアップデートをすると受講継続ができないようなので要注意です。
ブロック新人研修
ブロック新人研修は、全国8ブロックごとで、1~3週間程度行われます。
受講するブロックによって、集合形式のほかにWeb形式も併用するケースもあります。
実務を意識した研修となっており、実践的な内容が学べるほか、開業に関する知識も得られるようです。
ブロックは、北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の8つ。受講するブロックは希望を出すことができます。将来的に独立開業を考えている方は、開業予定地での受講が推奨されています。
ブロック | 受講期間 |
---|---|
北海道 | 令和5年1月23日~1月29日 |
東北 | 令和5年1月15日~1月23日 ※1月19日は休暇 |
関東 | 令和4年12月18日~1月15日 |
中部 | 令和5年1月9日~1月15日 |
近畿 | 令和4年12月10日~11日、15日~17日、23日~25日、 令和5年1月7日、9日、13日~15日 |
中国 | 令和5年1月7日~1月14日 |
四国 | 令和5年1月7日~1月13日 |
九州 | 令和5年1月13日~1月20日 |
受講料は33,000円で、中央新人研修の受講料と一緒に支払います。
令和4年度の申し込みは11月7日~11月20日でした。定員が決まっている会場もあるため、早めに申し込むのが安心です。新人研修申込専用サイトから申し込めます。
司法書士会新人研修
司法書士会研修は「集合研修」と「配属研修」に分かれて実施され、司法書士会によってはどちらか一方のみの場合もあります。
「集合研修」は座学で司法書士実務を学ぶ研修です。
司法書士会によって内容も異なりますが、司法書士倫理、不動産登記、商業登記、相続登記、裁判書類作成等の業務について、先輩司法書士が実務経験を交えて話してくれます。また、抽選になりますが、裁判所見学や法務局見学もあります。
なかでも、東京司法書士会の新人研修は、特にテキストが実務においても使えると言われており好評です。そのため、他県の方も多く参加します。
受講料も司法書士会によりますが、30,000円前後が一般的なようです。
「配属研修」は司法書士事務所へ配属され、1~3ヶ月ほど実務を学ぶ研修です。
一般的に、研修費用はかかりませんが、その間給料が支給されるわけではありません。
申し込みの際には、登録予定の司法書士会を選ぶことが推奨されています。研修先の事務所は希望を出せますが、希望者が多い場合は抽選が行われることもあるようです。
司法書士会新人研修の詳細は、司法書士会によって異なります。気になる点などがあれば、各司法書士会に問い合わせるのが良いでしょう。
特別研修
特別研修は「認定司法書士」になるための研修です。特別研修を受けないと、認定考査試験が受けられません。
受講は必須ではありませんが、全司法書士のうち約8割が「認定司法書士」となっています。
特別研修後、認定考査試験に合格すると、140万円以下の民事訴訟案件に対応できる認定司法書士として活躍の場を広げられます。
140万円以下の民事訴訟案件を受注する予定がなくても、過去に要件事実を学んだことがなければ、できる限り特別研修は受けた方が良いでしょう。要件事実の理解がなければ、本当の意味で法律を使いこなすことはできないからです。
例えば、不動産登記の登記原因証明情報の「登記の原因となる事実又は法律行為」は、まさに要件事実を書く欄です。売買・贈与・抵当権設定等の一般的なものは、ひな形を参照にすれば問題ありません。しかし、少し複雑な原因に基づく登記原因証明情報を作成する際には、要件事実を学んでいるかによって、登記原因証明情報の作成能力にも大きな差が出ます。
詳しい研修の内容は、以下の記事をご覧ください。
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新人研修は受けないといけない?受けないとどうなる?
合格後1年以内に司法書士として働く予定の方は、原則として新人研修を受けるべきです。
新人研修は、合格後1年以内に司法書士として登録・司法書士会への入会をする方を対象としています。参加は義務ではないため、受けなかったり、翌年以降に受けることも可能です。
しかし、司法書士として働く(登録する)のであれば、新人研修の受講は避けられません。
司法書士登録をしたいが、やむを得ない事情があり、新人研修を受けるのが難しい方は、各司法書士会に問い合わせることをおすすめします。
“働きながら”新人研修を受けることは可能?
司法書士の新人研修は、働きながら受けることができます。
実際に、司法書士事務所での仕事と研修を両立している方が、例年多くいらっしゃいます。司法書士事務所は研修への理解があるため、必要があれば休みをもらうことも可能です。
ただし、企業で働いている方の場合、仕事と研修の両立は難しい可能性が高いでしょう。そのため、司法書士試験に合格する見込みがあれば、司法書士事務所への転職を早めに準備するのがおすすめです。
司法書士補助者として働きながらであれば、新人研修を受けることは十分に可能です。
弊社「リーガルジョブボード」では、司法書士補助者の求人も多数ご紹介できます。働きながら研修を受けたいと考えている方、司法書士補助者に興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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司法書士合格後の就職活動のベストタイミング
司法書士が就職活動をスタートするタイミングは、以下の3つです。
パターン①:合格見込みのうちに就職活動を始める(一番おすすめ)
パターン②:合格後、最短で就職活動を始める
パターン③:新人研修が終わった後
それぞれのスケジュールを解説していきます。
①合格見込みのうちに就職活動を始める(一番おすすめ)

①が最もおすすめの就活スケジュールです。採用担当者と早い段階で接点を持つことができ、ライバルが少ない中で就職活動を進めることができます。
筆記試験に合格していれば、口述試験も合格する確率が高く、この時点で内定を出す司法書士事務所は多くあります。(※昨年の口述試験の合格率は100%でした)
そのため、筆記試験合格発表後の10月に、求人応募や面接選考を進めるのがベストです。詳しくは以下の記事をご覧ください。
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②合格後、最短で就職活動を始める

②は合格を確認してから就職活動を始めるスケジュールです。最終合格発表のある11月で合格を確認したのち、資格者として求人応募を開始します。
③新人研修が終わった後

③は新人研修が終わる2月頃に就職活動を始めるスケジュールです。兼業の方や、研修と仕事の両立に懸念を感じる方がこのスケジュールで就職活動を行います。
自分に合った就職活動のスケジュールを見極めたい、就職活動に不安がある、周囲に差をつけて就職活動を有利に進めたい、といった方は、ぜひ一度「リーガルジョブボード」にご相談ください。
司法書士事務所の選び方
就職活動では、自己分析が非常に重要です。
- 将来的にどんな司法書士になりたいのか
- どんな業務に携わっていきたいのか
- 独立したいのか、司法書士事務所で働きたいのか
こういった考えをまとめることで、入るべき事務所が明確になっていきます。
事務所の選び方や、正しい自己分析の方法は、以下の記事をご覧ください。
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司法書士合格後に“即独立”するのは可能?
新人研修中に司法書士登録をし、即独立開業をする方も一定数います。
しかし、例のようなバックボーンがない限り、まずは司法書士事務所に就職した方が無難です。少なくとも配属研修は受けておくべきでしょう。
- 司法書士事務所での補助者経験が長い
- 親や知り合いが司法書士事務所を経営している
- 前職が不動産会社勤務・金融機関勤務等で仕事を受注するあてがある
理由として、司法書士試験は実務家登用試験のため、実務経験がないと分からないことも多々あります。
例えば、委任状に「登記識別情報の暗号化の件」が委任事項に含まれていないと補正になります。これは受験知識だけでは分からないと思います。(私も実務に出て初めて知りました。)
どうしても即独立開業をしたい場合は、先輩司法書士や同期の司法書士に助言やチェックをしてもらうなど、徐々に実務を学んでいくという方法もあります。
司法書士の就職には“エージェントの活用”がおすすめ
司法書士としての就職を成功させるためには、自己分析やキャリアパスの策定、事務所選び、応募書類の準備など、“やるべきこと”が多くあります。
しかし、試験や研修がある中で、就職活動を一人で完璧に進めるのは簡単ではありません。
就職活動に少しでも不安のある方は、司法書士専門の転職エージェント「リーガルジョブボード」をぜひご活用ください。
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また、就職活動が本格化する前から登録しておくと、求人への応募・選考をスムーズに進められます。
まずは業界に精通するエージェントと話し、業界理解を深めたいというご相談でも結構です。お気軽にご登録ください。
ちなみに、転職エージェントを介して求人に応募すると、内定の可能性がグッと上がることをご存知でしょうか。理由は以下の記事をご覧ください。
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