
司法書士事務所に合格する志望動機の書き方と面接対策を実例と共にプロのエージェントが解説

by LEGAL JOB BOARD 稲田
転職エージェント
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こんにちは。司法書士の転職エージェント「リーガルジョブボード」の稲田です。
本記事では「司法書士事務所の内定を取るための志望動機や面接対策」について解説します。
司法書士事務所は比較的少人数で運営されている事務所が多く、相性を重要視する傾向にあります。その「相性」を探る上で聞かれるのが、「志望動機」となります。
また志望動機と一緒に、事務所の経営方針や社風とあなたがマッチするかどうかを判断される場が、面接です。
そこで今回は司法書士や司法書士補助者の志望動機の書き方・伝え方や面接対策について紹介します。
また弊社リーガルジョブボードでは応募書類の添削や模擬面接などの対策を行っております。すぐに手持ちの書類を添削してほしい方は下記のボタンよりご相談ください。
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この記事の目次
志望動機を考える前にやるべきこと
志望動機を明確にするために、事前に整理しておくべきことがあります。それは「転職軸(転職であなたが実現したいこと・転職の理由)を明確にすること」です。
そうすると志望動機を
- 分かりやすく伝えられるようになる
- あまり悩まずに作れるようになる
ので押さえておきましょう。特に1点目が大切です。
分かりやすく伝えられないと「結局、この人は何が言いたいのか分からない」と判断されてしまうからです。
転職軸の作り方や考え方については、詳しくは下記を参考にしてください。
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注意点
転職軸が「福利厚生の充実」「給与アップ」「残業時間の縮小化」といった「条件面」だけで占められるのは避けましょう。
「条件ばかり重要視する環境依存型タイプ」と見なされる恐れがあるからです。
伝え方で迷うことがある場合は、第三者から見て条件ばかり重視する人物に映っていないかを確認してもらいましょう。もちろん弊社リーガルジョブボードのような司法書士に特化した転職エージェントにご相談いただいても構いません。
司法書士(補助者含む)の志望動機の書き方や伝え方・例文
では、司法書士の志望動機の書き方や伝え方についてお伝えします。
実務経験の有無によって伝えるべきポイントが変わるので、「未経験者の場合」「経験者の場合」それぞれについて解説しています。
司法書士の実務が「未経験者」の場合
司法書士としての業務が未経験の場合は、以下のような流れで志望動機を伝えましょう。
- 〇〇を理由に司法書士になろうと思った(原点)
- 今後(将来)は□□のような司法書士になりたい(今後のありたい姿)
- 貴所は将来的に考え、××という観点で、□□のような司法書士になるための△△のスキルや経験を積む環境が揃っていると思い応募させていただきました (動機)
この順番で内容を構成できると、未経験者でも刺さるかつ伝わりやすい内容になります。例文を以下に挙げます。
例文
高校生の頃に父の遺産相続のトラブルに巻き込まれた際に、母の知り合いの司法書士の方にご相談する機会があり、司法書士は裁判に至る前の段階で、当事者の利害を調整する公益性のある職業であると感じたため、司法書士になろうと思いました。
今後は超高齢化社会に向けて、お客様が健康であるうちに、死後に起きうるリスクの未然防止をできるような司法書士になりたいと思っています。
貴所は将来的に考え、相続業務や成年後見業務にて業界をリードしている観点で、高齢化社会に貢献できる司法書士になるための、相談対応スキルや経験を積む環境が揃っていると思い、応募させていただきました。
このような流れが好ましいです。
ただし未経験者の場合は実務経験がないため、2点目の「今後のありたい姿」をイメージするのは難しく、なかなか思いつかないのも事実です。その場合は、
「私は〇〇のような司法書士として活躍していきたく、まずは幅広く業務経験を積みたいと思っています。貴所では××という観点で、集中して幅広い業務経験を積める環境がそろっているため、志望しました。」
例えばこのように伝えるとスムーズです。
経験者の場合
司法書士としての経験がある場合は、以下のような流れで志望動機を伝えると良いでしょう。
- 今後〇〇のような司法書士として活躍していきたいと思っている(今後のありたい姿)
- そのために、現在△△というスキルや経験が不足している(現状の課題)
- 前職では□□という点で、△△のスキルや経験を積むのに限界があった
- 貴所は××という観点で、△△のスキルや経験を積む環境が揃っていると思い応募させていただきました (動機)
このような流れがベストです。例文を挙げると以下のようになります。
例文
今後、来る超高齢化社会に向けて、お客様が健康であるうちに、死後に起きうるリスクの未然防止をできるような司法書士になりたいと思っています。
そのために、現在相続業務や成年後見業務の経験が不足しており、前職では不動産登記業務が中心という点で、新しい分野のスキルや経験を積むのに限界がありました。
貴所は将来的に考え、相続業務や成年後見業務にて業界をリードしている観点で、高齢化社会に貢献できる司法書士になるための、相談対応スキルや経験を積む環境が揃っていると思い、応募させていただきました。
経験者の場合、「前事務所ではあなたのやりたかったことや、ありたい姿は実現はできなかったのか?」がほぼ必ず問われます。
そのため、3点目の「前職では画策したけれど限界があったこと」を付け加えるようにしましょう。
【実例紹介】志望動機の成功例と失敗例
ここからは、実際の採用面接で聞いたことのある志望動機の実例をご紹介します。成功例と失敗例ともにご紹介しますので、今後の就活や転職活動の参考にしてください。
成功例①事務所の業務内容など特徴を掴み、的を得た志望動機
大きな司法書士法人ですと分業制になりがちですが、貴所は司法書士法人として多くの司法書士が在籍しながら、業務は担当制で行っているという環境にとても魅力を感じました。
また司法書士として業務の基礎となる不動産登記を学びたいと考えているのですが、貴所は不動産登記を多く扱っていらっしゃるので、不動産登記をしっかり学べる点も非常に魅力に感じ応募いたしました。
事前にしっかりと事務所の研究をしていることが伺え、なぜこの事務所を志望しているのかといった具体的な内容が感じ取れます。面接官は数多くの方を見てきているので、しっかりと理解しているかどうかは見抜いてしまいます。
その事務所を深く理解し、具体的にどのような体制で就業しているのか、どういった案件を数多く扱っているのかをしっかりおさえた志望動機です。
成功例②自身の今後のビジョンと事務所のビジョンがマッチした志望動機
私は司法書士として独立というかたちではなく、法人に属し、一人の司法書士として貴所の基盤を支えられるような存在になりたいと考えております。
今後事業拡大を目指している貴所に貢献できるよう努めて参ります。
ご自身が目指す方向性と働きたい事務所の方向性が一致していることは重要です。受け入れる側としても同じ方向を向いて頑張ってくれる方を採用したいので、自分はどんな司法書士になりたいのか、どんな分野の業務をしたいのかを今一度見つめなおすと説得力のある志望動機になります。
成功例③エピソードや具体例などを用いた志望動機
私は司法書士として独立というかたちではなく、法人に属し、一人の司法書士として貴所の基盤を支えられるような存在になりたいと考えております。
今後事業拡大を目指している貴所に貢献できるよう努めて参ります。
以前、親族が亡くなった際に相続関連の手続きで苦労をした経験があります。その際に、身近で相談に乗ってくださった司法書士の方に丁寧なご対応をいただき司法書士を知ったと同時に私同様に困っている方の力になれればと、司法書士を目指すことを決意しました。
司法書士として業務は多岐に渡りますが、この経験から相続を学んでいきたいという思いから相続に特化された貴所に是非入職できればと志望致しました。
ご自身の経験と重ねた志望動機は非常に説得力があります。ご自身の経験とその際に司法書士がどのような動きをしてくれたのか、そのときどう思って自分も司法書士を目指そうと思ったのか、ご自身の経験から出てくるものは厚みがあり、好感が持てます。
失敗例①志望動機が待遇面だけ
求人を拝見し、給与や福利厚生がとても魅力に感じました。
また土日出勤はないので、プライベートが充実できる環境にも魅力を感じ応募致しました。
事務所の待遇面だけを強調する志望動機は嫌煙されてしまいます。うちの事務所でなくても良いのではないか?と思われがちです。仕事に対して前向きな姿勢とその事務所で何がしたいのか、事務所のことを理解していることをきちんと伝える必要があります。
失敗例②事務所側に自身のアピールポイントなど特徴が伝わらない
私は不動産登記をやりたいという思いから、不動産に特化した貴所で勤めたいと思います。体力には自信があります。よろしくお願いします。
文章が短く、何が言いたいのかわからないので伝えたいポイントを整理します。下記のように修正できると良いです。
私は司法書士として大切な業務の一つである、不動産登記を打ち合わせから登記の申請まで一連の業務ができればと考えております。不動産業務に特化しつつ、担当制で一から業務を学べる貴所の環境にとても魅力を感じました。
不動産は決済業務で移動の多い時期もあるかと存じますが、小学校から高校までサッカーをしておりましたので体力には自信があります。また現在も休みの日にはランニングをしたりと体力作りは継続して行っております。
自分のやりたいことと事務所の方向性をきちんと述べ、ご自身の体力のアピールへつながっていて、一貫性のある志望動機に修正いたしました。
失敗例③応募理由に特別感がなく、入職意欲が伝わらない
試験勉強の時から商業登記が好きで、商業や企業法務に関わる業務に就ければと貴所を志望しました。
こちらも文章が短く、意欲が伝わってきません。下記のように修正できると良いです。
試験勉強の時から商業登記への興味が強く、事務所で勤める際は、商業や企業法務に携われる事務所で勤めたいと考えておりました。
貴所は商業登記・企業法務の分野に長けていおりますが、中でもM&Aに力を入れていらっしゃるので他の事務所では経験できない案件にも多く携わることができる点にとても魅力を感じ志望させていただきました。
自分が何をやりたいのか、そのためにこの事務所で働きたい、といった意欲が具体的に書かれています。自分にとってこちらの事務所は特別なんだという気持ちをどれだけ伝えられるかが重要です。
司法書士の面接対策
ここからは面接対策について紹介します。
司法書士の採用面接でよく聞かれることや回答例
まずはよく聞かれる質問項目が存在するので、ありがちな質問項目を紹介します。
自己紹介
多くの事務所が面接の冒頭で、「今までの経歴を説明してください。」と自己紹介を求めます。
よって、長くても1分間で自己紹介ができるようにしましょう。
以下は自己紹介で盛り込むべき内容です。
- 名前
- 年齢
- 司法書士を目指した理由
- これまでの職歴
- (司法書士の実務経験がある人は)経験業務
- 自己PR
自己紹介の例文を以下に記載します。
この度はご面接の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。〇〇〇〇(名前)と申しまして、年齢は〇歳です。
司法書士を目指したきっかけは、私が高校生の時に祖父が亡くなった際に、親族同士が相続問題で揉めることがあり、その際に知り合いの司法書士の方が間に入って、問題を整理し、解決してくれたことがあり、それから司法書士を目指すようになりました。
これまでは大学を卒業後、〇〇司法書士事務所にて、主に大手ディベロッパーを担当し、新築マンションの不動産登記業務を担当いたしました。
この業界はミスや確認不足が命取りになる業界なので、電話や書面だけのやり取りに終始せず、対面での面談を行ってきたため、顧客との折衝力や幅広い提案力に自信があります。
どうぞよろしくお願いいたします。
退職理由
特に経験者の場合は、前事務所を退職した理由を必ず聞かれます。ここでのポイントは、「退職理由」と「志望理由」がリンクしたものになっていることです。
例えば、退職理由が「不動産売買の決済業務ばかりでスキルアップに限界があったから」とします。
しかしながら、志望動機が「福利厚生がしっかりしている事務所で、安心して長く働ける環境だから」とします。この場合、志望動機が前事務所の退職理由を払拭できておらず、「うちの事務所に勤めたとしても、スキルアップに限界を感じたら、すぐに辞めてしまうのではないか?」という懸念を採用担当者や面接官に抱かれてしまいます。
退職理由の伝え方の例を以下に記載します。
前事務所では不動産売買の決済業務が中心で、それ以外の業務のスキルを習得することが難しく、企業法務や相続といった、異なる分野のスキルアップをしたく前事務所を退職いたしました。
自己PR
自己PRとは、「入職した場合、その事務所にどのように貢献できるか?」を表現することです。よって、先方があなたを採用するメリットを伝えることが必要です。
コツは「これまでの業務内容を振り返り、得意な業務を洗い出す」ことです。それをもとに、即戦力になれる業務や領域について伝えましょう。
また、前職ではどの範囲まで1人で業務を行っていたのかを合わせて伝えることで、入職後の期待値を調整することも可能です。
自己PRの例文を以下に記載します。
登記業務に関しては、効率的に業務を進めていくかという点に注力していました。具体的には、依頼時に全体の業務フローを書きだし、各実施項目の所要時間を推定し、推定時間と実働時間にずれがないかを都度確認していました。またずれがある場合の原因と対策をあぶり出し、対策を実行してまいりました。その結果、定型的な登記業務の作業日数が2日間ほど短縮することができました。
もし司法書士業務が未経験の場合は、これまでの職歴や業務・経験を洗い出した上で
- 正確さ
- 対応スピード
- コンプライアンス遵守の姿勢
- 新規開拓力
いずれかをアピールできないかどうか、振り返ってみてください。
希望の業務内容
希望する業務内容についてもよく聞かれます。こちらは志望動機と関連付けて、理由を持って伝えることができると良いでしょう。
ただし、希望の業務は特にない場合でも「特になし」と伝えることは避けたいです。なので、希望業務がない場合は例えばですが
「今は幅広いスキルを身につけたく、経験値を積みたいので、与えられた業務内容を忠実に行います。」と伝えることで、積極性をアピールすることができます。
面接で好印象を与えるための大事なポイントや注意点
面接では話す「内容」も大切ですが「好印象を与える」ことも大切です。
メラビアンの法則によると、話し手が聞き手に与える影響力は話す内容よりも、聴覚情報や視覚情報の方が大きいとされています。話す内容がたった7%なのに対して、聴覚情報と視覚情報を合わせて90%を占めています。
またハロー効果と言って、人は、突出した一つの特徴が他の特徴の評価を歪める性質も持っています。
ここから分かることは、「第一印象が、面接官へ与える印象に大きな影響を与える」ということです。
以上を踏まえここからは、面接前~中~後のそれぞれの場面においての大切なポイントを紹介します。
面接前の注意点
面接が始まる前に、以下を意識すると好印象を与えられます。
- コートは事務所に入る前に脱ぐ
- 受付時は自ら挨拶し、面接に来た旨を伝える
- 着座の許可が出るまで座らず、立って待っている
- 履歴書と職務経歴書を机の上に出しておく
- メモが取れるように、ノートと筆記用具も机の上に置いておく
- 携帯電話の電源は切っておき、静かに待つ
面接中の注意点
面接中は、以下のポイントを守りましょう。
- 面接官が入室したら、立って挨拶をする
- 面接官が座ってから、「失礼します」と言って着席する
- 自分から、挨拶と面接の時間を取ってくれたことのお礼を伝える
- 履歴書と職務経歴書は自分から渡す
- 面接中は相手に聞こえる声で、はきはきと話す
- 相手の目もしくは鼻のあたりを見ながら話す
- 笑顔で会話をする
- お茶をいただいた際にはお礼を伝える
- お茶は勧められてからいただく
面接後の注意点
- 面接の時間を取ってくれたことのお礼を伝える
- オフィスを出るまでは静かに行動する
- エレベーターにてお見送りがある際には、エレベーターが閉まるまでお辞儀をする
- オフィスを出てからコートを着る
- (ご自身で応募している場合)お礼状またはお礼メールを送っておく
一見すると当たり前のことも含まれていますが、緊張すると忘れてしまったりすることが多々あります。備えあれば憂いなし。
転職エージェントを活用すると志望動機や面接対策をさらに徹底できます
司法書士の就職・転職活動をより有利にするには、転職エージェントを活用することです。転職エージェントとは「あなたの転職活動を全面的にサポートしてくれる転職アドバイザー」です。例えば
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- 年収を交渉してくれる
- キャリアステップの相談に乗ってくれる
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中でもリーガルジョブボードは「司法書士に特化した」転職エージェントなので、就職活動や転職でお困りの際はお気軽にご相談ください。