特許技術者
特許技術者とは?資格は必要?年収・向いている人・弁理士との違いなどを解説

特許技術者とは?資格は必要?年収・向いている人・弁理士との違いなどを解説

by LEGAL JOB BOARD 大澤

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特許技術者とは?資格は必要?年収・向いている人・弁理士との違いなどを解説

弁理士・知財専門の転職エージェント「リーガルジョブボード」の大澤です。

本記事では、「特許技術者の仕事内容や年収、向いている人」などを網羅的に解説します。

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まず、特許技術者とは、特許事務所において、弁理士資格なしで弁理士の補助業務の経験が積める職種です。
特許技術者として働きながら弁理士を目指す方が多く、令和5年度 弁理士合格者の約3割以上が特許事務所に勤務しています。

具体的には、以下のような情報を分かりやすくお伝えいたします。

弁理士・知財業界の仕事に興味をお持ちの方や、特許技術者について詳しく知りたい方に、ぜひ知っていただきたい情報を網羅した記事となっております。ぜひ最後までご覧ください。

▼個別相談を受付中です

特許技術者とは?資格は必要なのか

特許技術者とは、特許事務所で弁理士の補助業務を行う職種です。

具体的な仕事内容は、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの知的財産権を取得するための、明細書作成や中間処理等の特許庁への手続き業務のサポートです。

特許技術者として働くにあたって、必要な資格は特にありません。ただし、知的財産権を取得したい方のために、代理で特許庁への手続きを行うことは「弁理士の業務」として弁理士法で定められています。そのため、特許技術者の業務はあくまで弁理士の補助業務となります。

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一般的には、弁理士を目指す過程で特許技術者として働き始める方が多いです。

弁理士業務の流れ・知識を身につけることができるほか、特許事務所は弁理士受験に協力的な傾向にあるなど、特許技術者として働くメリットが多くあるためです。

特許技術者の仕事内容・業務

特許出願に必要な明細書の作成等を補助するのが、特許技術者の主な仕事内容です。具体的には、以下のような業務を行います。

  • 明細書作成の補助
  • クライアントや発明者へのヒアリング
  • 特許庁などのやり取りに必要な書類作成の補助

明細書には、出願を申請する技術やアイデアの詳細を細かく落とし込む必要があります。その明細書を仕上げるには、クライアントや発明者へのヒアリングが非常に重要です。

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特許の技術分野は化学・バイオ・機械・電気・ITなど様々であり、事務所によって求められる知識・バックグラウンドが変わってきます。

特許技術者に必要なスキル・向いている人

どのようなスキルが特許技術者には必要なのでしょうか?向いている人の特徴も合わせて解説します。

求められるスキル・経歴

特許には、化学・バイオ・機械・電気・ITなど様々な技術分野が存在します。特許技術者になるためには、何らかの技術分野に関する理系の専門知識が必要です。

以下のような経歴をお持ちの方や、何らかの技術分野の専門知識を持っている方は、特許技術者として歓迎されます。

  • 理系の学部・大学院の出身
  • メーカーで開発・研究職の経験がある
  • エンジニアなどの技術職の経験がある

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最近は特許技術者の中でも特に、機械・電気・ソフトウェア分野の求人数が豊富です。

向いている人の特徴

以下のような方は、特許技術者に向いていると言えるでしょう。

  • 新しい物事に興味を持てる方
  • 理論的な説明ができる方
  • コツコツと細かな作業ができる方

特許技術者の仕事は、新しいアイデアや発明が世に放たれる過程において、弁理士とともに権利などの面でサポートする仕事です。新しい物事に興味が持てる方には、面白みの感じられる仕事かと思います。

また、業務の性質上、理論的な説明ができる方や、細やかな作業が苦でない方は特許技術者に向いているでしょう。明細書作成などには論理的な思考・説明力が不可欠です。そして、書類の正確性は権利範囲に影響を及ぼしかねないため、コツコツと丁寧に作業できる方が好まれます。

「特許技術者の適性があるか知りたい」「特許技術者に転職するか悩んでいる」といった方は、リーガルジョブボードのエージェントへの個別相談を活用するのがおすすめです。

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我々、知財専任のエージェントがお悩み・疑問等をお伺いいたします。
情報収集を目的としたご利用も歓迎しております。

特許技術者の年収

特許技術者の平均年収は約600万円が目安です。ただし、経験の有無や経験年数によって変動するため、年収300~700万円程度の幅があります。

特許事務所で高収入を目指すならば、「弁理士資格の取得」を目指すのが良いでしょう。弁理士の平均年収は約700万円で、中には年収1,000万円を超える方もいます。

特許技術者の年収について、詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

特許技術者の平均年収

特許技術者のなり方・キャリアパス

特許技術者になるには、特許事務所に就職する必要があります。資格などは不要ですが、業務の性質上、理系の専門知識・バックグラウンドが求められます。

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とはいえ、未経験OKの特許技術者の求人も多く、比較的チャレンジしやすい職種となっています。特許技術者の求人は、以下のリンクからご覧いただけます。

>>特許事務所の求人はこちら

キャリアパスとしては、特許技術者として経験を積みながら弁理士を目指すのが一般的です。知財業界未経験から弁理士を目指す方の多くは、特許技術者としてキャリアをスタートします。

弁理士になる以外では、特許技術者としての経験をいかして「企業知財部で働く」という選択肢もあります。実際にそのようなキャリアを実現した方もいらっしゃいます。

「特許技術者に転職するか悩んでいる」「特許・知財業界のキャリアについて知りたい」といった方は、リーガルジョブボードのエージェントへの個別相談を活用するのがおすすめです。

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特許技術者の将来性や需要

新たな発明・アイデアが生まれ続ける限り、特許・知財関連の仕事は必要とされます。特許技術者に関しても同様に考えられるでしょう。

しかし、2013年~2022年の特許出願件数はほぼ横ばいであり、大幅な増加は見込めないとされているのも事実です。また、特許出願などに関わる一部の作業は、AIに取って代わられるのでは?とも言われています。

特許技術者や、特許・知財関連の仕事に長く安定的に携わりたい方は、「担当できる業務の幅を広げる」「弁理士資格を取得する」といった必要があるでしょう。

※参照:特許庁「特許行政年次報告書2023年版

特許技術者と弁理士の違い

特許技術者と弁理士の違いを、「業務内容」「年収」「キャリア」の3つの観点から解説します。

1. 業務内容

特許技術者と弁理士の違いとして、国家資格である弁理士には出願手続きの代行などの専権業務が存在しています。専権業務とは、弁理士のみが取り扱うことができる業務です。

特許技術者も弁理士とともに明細書作成・中間処理などの業務に携わりますが、それらは全て、弁理士の指導監督の下で、弁理士の補助業務を行っているということになります。そして、特許出願などは弁理士の名義で行われます。

また、出願手続きの中で、特許庁の審査官と電話や面接をすることを許されているのは弁理士だけです。特許技術者が単独で、審査官とのやり取りを行うことはできません。

※参照:日本弁理士会「弁理士法で定められた弁理士の業務について

弁理士の詳細はこちら

2. 年収・待遇

特許技術者と弁理士は、年収・待遇にも違いが現れます。特許事務所での経験年数に応じた年収目安をまとめました。

経験年数弁理士特許技術者
未経験年収400〜500万円年収300〜400万円
経験3年前後年収500〜600万円年収400〜500万円
経験5年前後年収600〜800万円年収500〜700万円
経験10年前後年収800〜1000万円年収700万円程度が上限

同じ未経験の場合でも、弁理士と特許技術者で年収に100万円程度の差があり、上限目安も特許技術者の方が低い傾向にあります。

弁理士の有資格者は特許事務所で重宝される存在であることや、業務幅の違いなどが、年収に影響していると考えられます。

3. キャリア形成

多くの特許技術者の方は、特許事務所で弁理士の補助業務を行いながら、弁理士合格を目指しています。一方で、弁理士の有資格者は、経験を積みながら管理職・パートナーへの昇格を目指すのが一般的です。

パートナーなど経営にかかわるポジションに就く、リーダーなどの管理職への昇進を目指す、将来的に独立するといったキャリアパスを描けるのは、基本的に弁理士のみ。

組織内での信頼が厚く、成果物が優れていたとしても、特許技術者として昇進するパターンはほとんど無いのが実情です。

「特許技術者に転職するか悩んでいる」「特許・知財業界のキャリアについて知りたい」といった方は、リーガルジョブボードのエージェントへの個別相談を活用するのがおすすめです。

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特許技術者として働きながら「弁理士」を目指す

例年、弁理士試験の合格者は、会社員と特許事務所に勤めている方が大半を占めます。「特許事務所」という方のほとんどは、特許技術者として働いていらっしゃいます。

令和5年度 弁理士試験 合格者の職業別内訳

※参照:特許庁「令和5年度 弁理士試験最終合格者統計

特許技術者として働きながら弁理士を目指す方が一定数いるのは、業界的に「実務経験」も重視されているためです。

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また、多くの特許事務所では、試験関連スケジュールを優先させてくれるなど、受験生に理解があり協力的です。

そのため、一般企業などで働くよりも、弁理士受験に集中しやすい傾向にあります。

特許事務所で働きながら弁理士に合格すれば、その事務所で弁理士として仕事を続けられます。また、転職する場合でも、特許技術者としての経験は強みになります。

>>特許事務所の求人はこちら

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【未経験】特許技術者への転職事例 2選

知的財産業界が未経験の状態から、特許技術者へと転職した事例2選をご紹介いたします。

転職成功イメージ

Aさん / 大手メーカー・研究職 → 特許技術者

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特許技術者・弁理士として活躍する方の中には、Aさんのようにメーカーで研究・開発職として働いていた方が多くいらっしゃいます。

プロフィール:20代後半・男性
技術分野:機械
特許技術者としての初年度年収:450万円

▼特許技術者を目指した理由
大手メーカーで研究職として働いていましたが、自身の技術分野に関する知識・経験を別の形で活かしたいと考えるように…。
そんな時に家庭の事情で引っ越しが決定し、良い機会だと思い、興味を持っていた特許技術者への転職を決意しました。

▼転職時のエピソード
研究職として働きながら転職活動をスタートしたものの、求人探しや選考になかなか時間が割けず…。「この調子だと、退職して引っ越し後の転職活動になるのかな」と考えていました。
そんな時、リーガルジョブボードの転職エージェントの存在を知りました。転職について話を聞いてもらい、希望に合った求人の紹介してもらい、実際に面接にも繋がっていきました。
面接は日時などの調整が必要ですが、エージェントの方が間に入ってくださり、早い段階で複数の事務所から内定をいただけました。
最終的に大手特許事務所への転職を決意し、周囲の人にも恵まれながら、新天地で特許技術者として働いています。

Bさん / 大学院卒・就職浪人 → 特許技術者

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Bさんのように、理系のバックグラウンド・専門知識がある方は、特許技術者として活躍できる可能性が高いです。

プロフィール:20代半ば・男性
技術分野:高分子化学
特許技術者としての初年度年収:380万円

▼特許技術者を目指した理由
大学院の研究室で企業との共同研究に取り組む中で、特許の重要性に関心を持ちました。また、知財戦略の面で日本企業は海外企業に後れを取っていると知り、その状況を変えたいと思うようになりました。
その時に弁理士という職業を知り、今まで学んできた技術分野の知識や英語力がいかせる弁理士になろうと決めました。
少しでも早く知財業界で働きたいと考え、まずは特許技術者として働くことを決意しました。

▼転職時のエピソード
未経験での特許技術者への就職は、まず書類選考が第一関門でした。
そのため、リーガルジョブボードの転職エージェントに相談し、履歴書だけでなく自己PR書の作成にも力を入れました。ポイントになると感じたのは以下の3点です。

①「弁理士を志した理由・今後のキャリアプラン」を明示し、弁理士になりたい熱意を伝える。
②「英語力」をアピールすべく、卒論要約を英語で行ったことや、読んだ洋書を記載する。
③「技術分野の知識」をアピールすべく、研究内容の詳細や論文要約の日本語版を記載する。

結果として、書類選考をスムーズに通過できるようになり、複数の特許事務所から内定をいただけました。

未経験から弁理士・知財業界にチャレンジしたい方へ

弁理士や特許・知財に興味をお持ちの方、転職を検討している方で、

  • 特許・知財業界の職種やキャリアについて知りたい
  • 弁理士・特許技術者の適性があるか不安
  • キャリアチェンジした場合の年収目安を知りたい

などのお悩みをお持ちの場合、弁理士・知財専門の転職エージェント「リーガルジョブボード」にご相談ください。業界知識が豊富で、高い専門性を持ったプロがご対応いたします。

情報収集のみでのご利用も可能ですので、お気軽にお問合せください。

エージェントの詳細はこちら

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LEGAL JOB BOARD 大澤

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