
【2023年】弁理士試験の難易度|合格率・偏差値・勉強時間は?他資格との比較も

by LEGAL JOB BOARD 三島善太
転職エージェント
- 担当職種:

弁理士・特許技術者の転職エージェント「リーガルジョブボード」の三島です。
本記事では「弁理士試験の難易度」について、合格率や偏差値、勉強時間などの情報をまとめました。
具体的には、以下のような内容です。
弁理士という資格が気になっている方、受験しようか迷っている方、受験勉強について知りたい方など、ぜひ最後までご覧ください。疑問が解消されるはずです。
【令和5年度弁理士祝賀会のご案内】
今年も弁理士試験に見事合格された方に向けて、“合格祝賀会”を開催いたします。
オンライン・無料で参加することができ、同期になる方と一斉に交流を図ることができます!
豪華景品ありのクイズ大会も予定しております。ご参加お待ちしております。
“合格祝賀会”の詳細はこちら
この記事の目次
弁理士試験の難易度:令和4年度の合格率は6.1%

難関とされる弁理士試験の合格率は、例年6〜9%を推移しています。令和4年度の弁理士試験の合格者数は193人、合格率は6.1%です。昨年に引き続き、直近で最も低くなっています。
弁理士資格は国家資格の中でも「最難関クラス」や「理系の最高峰」と言われるだけあり、かなり難易度の高い試験であることが分かります。
※出典:特許庁「過去の試験統計」
短答式試験・論文式試験・口述試験ごとの難易度
-1.png)
合格率で比較すると、各試験の中で最も難易度が高いのは短答式試験です。
直近3年で見てみると、短答式試験の合格率は10%前後、論文式試験の合格率はそこから25%前後、口述試験はそこから95%前後となっています。令和5年度の口述試験の合格率は発表され次第、更新予定です。
受験者数の推移

弁理士試験の受験者数は、例年3,000人前後となっています。受験者数は減少傾向にあり、令和3年度に盛り返しましたが、それでも以前より少ない状況です。
これは、国内の出願件数の減少や価格競争の激化により、弁理士資格の取得に魅力を感じる人が少なくなってきたからではないか、とされています。
※出典:特許庁「過去の試験統計」
弁理士試験の偏差値は?
あくまで参考程度ですが、弁理士試験の偏差値は65~75くらいで、弁護士や司法書士、公認会計士などと並ぶとされています。
他の士業資格と完全に比較することはできませんが、弁理士の難易度は士業資格のなかでトップクラスと考えて間違いないでしょう。
弁理士を含む8士業の難易度比較
弁理士と他資格の難易度を、各試験の合格率(最新データ)で比較します。
司法試験の合格率が高いように思えますが、他試験よりも受験資格を得るのが難しいという特徴があります。合格率で比較すると、司法書士の合格率が最も低く、次いで弁理士、社会保険労務士という順です。
資格 | 合格率 |
---|---|
弁理士 | 6.1% |
弁護士(司法試験) | 45.5% |
司法書士 | 5.2% |
行政書士 | 12.1% |
税理士 | 19.5% |
社会保険労務士 | 6.4% |
土地家屋調査士 | 9.6% |
海事代理士 | 筆記試験:55.1% 口述試験:98.5% |
弁理士試験合格者の傾向(年齢・職業・性別・出身大学など)
続いて、弁理士試験合格者の傾向について、年齢・職業・性別・出身大学などの条件ごとにデータをまとめました。
合格者の平均受験回数は3.4回

令和4年度の最終合格者の受験回数で、最も多かったのは1~5回です。一発合格の方も14%いることが分かります。また、16~20回は1.6%、21回以上は0.5%でした。平均受験回数は3.4回(昨年度は3.7回)となっています。
合格者の年齢別内訳

令和4年度の最終合格者の年齢内訳を見ると、20~40代が多くなっています。10代と70代以上はいませんでした。平均年齢は34.9歳、最年少は20歳、最年長は61歳でした。ちなみに昨年度は、平均年齢が36.9歳、最年長が67歳です。
合格者の性別内訳

令和4年度の最終合格者における性別内訳は、男性が約7割、女性が約3割となりました。
合格者の職業で最も多いのは「会社員」

令和4年度の最終合格者の職業について、会社員が最も多く、続いて特許事務所、公務員となっています。法律事務所や学生、無職といった回答もありました。教員はいませんでした。
働きながら弁理士を目指すことを検討されている方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。
理系と文系、弁理士になりやすいのは?

令和4年度の最終合格者の出身系統は、理工系が約8割で、法文系が1.5割です。例年、理工系が7~8割程度・法文系は1.5割前後を推移しています。
弁理士に理系出身の方が多いのは、「理系で大学院卒だと、論文試験が免除になる可能性が高い」「特許弁理士を目指すなら、理系のバックグラウンドがあることが必須」といった要因が考えられます。
しかし、もちろん文系でも弁理士になることは可能です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
※出典:特許庁「令和4年度 弁理士試験最終合格者統計」
弁理士試験合格者の出身大学
令和4年度最終合格者の出身大学上位10校は以下の通りです。
弁理士試験は特に受験資格を必要としませんが、合格者数順に見ると、難関大学と呼ばれる大学名が並んでいます。これには、試験難易度が高いことが関連しているのかもしれません。
出身校 | 人数 | 合格者における割合 |
---|---|---|
東京大学 | 21名 | 10.9% |
京都大学 | 16名 | 8.3% |
東京工業大学 | 11名 | 5.7% |
大阪大学 | 8名 | 4.1% |
東北大学 | 6名 | 3.1% |
早稲田大学 | 5名 | 2.6% |
東京理科大学 | 5名 | 2.6% |
名古屋大学 | 5名 | 2.6% |
神戸大学 | 5名 | 2.6% |
筑波大学 | 5名 | 2.6% |
弁理士試験の概要
弁理士試験には受験資格がなく、誰でも受験することができます。学歴や国籍、年齢などによる制限はありません。
例年、短答式試験は5月20日頃、論文式試験の必須科目は7月頭・選択科目は7月25日頃、口述試験は10月20日頃に実施されています。
各試験の出題科目や合格基準、免除条件などの情報は、以下の記事をご覧ください。
弁理士合格までに要する勉強時間
弁理士合格に要する勉強時間は、約3,000時間と言われています。これは毎日5時間勉強しても、約1年半かかる計算になります。
実際に受験生の話を聞いていると、「平日は5時間ほど、休日は予備校の講座も含めて10時間ほど」勉強する方が多いようでした。
まずは、まとまった時間を捻出できるよう、仕事量の調整も念頭におきましょう。合格者の約3割が所属する「特許事務所」では、勉強時間確保のために残業を減らしてもらえたり、受験休暇を適用してもらえる可能性が高いです。
そのため、弁理士資格の取得を応援してくれる特許事務所に「特許技術者」として転職してから、受験勉強に本腰を入れ、短期合格を目指す人も多いです。
弁理士試験の難易度は給与・年収に見合っているか?
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本全国の平均年収(給与)は458万円です。弁理士の平均年収は700万円〜750万円なので、そういう意味では難易度に見合っているのではないでしょうか。
人それぞれの感覚によるところではありますが、弁理士は一般的なサラリーマンより年収が高い傾向にあります。裁量次第では、年収700~1,000万円以上の収入を得ることも可能です。
年収が1,000万円を超えるケースとしては、「評価が高く案件を多く任されている」「役職に就いてマネジメントも行っている」「特許事務所のパートナーとして経営に携わっている」といったケースが存在します。
合わせて読みたい記事はこちら
合格者に聞いた!弁理士試験の対策・勉強方法
弁理士試験の勉強方法について、以下にまとめました。合格者が実践していた勉強方法や短期合格のコツ、必要な教材などを知りたい方はご覧ください。
弁理士合格者が実際にやっていた勉強法
難関の弁理士試験では、効率的な試験対策が大切です。ここからは、リーガルジョブボード会員を含む合格者による実際の情報を参考に、合格に近づくための勉強のポイントを解説します。
①丸暗記をしない
例えば、マークシート式の短答式筆記試験では、「正しいものがいくつあるか」といった問われ方をすることもあり、断片的な知識での合格は厳しいです。単に法律条文を丸暗記せず、なぜそうなるのかという背景まで理解するのが大切でしょう。
また、映像授業の講義を何度も視聴し、理解を深める方法もおすすめ。独学で参考書を読んで理解するよりも、頭に入りやすく、誤った理解を防ぐこともできます。
②まずは短答式試験の勉強に集中する
短答式筆記試験に合格しなくては、先の試験へと進むことはできません。もし合格できれば、2年以内は免除制度も適用となります。また、出題科目は論文式筆記試験(必須科目)と共通しており、勉強した内容は無駄になりません。
まずは、短答式筆記試験の合格に重点を置いて対策に集中しましょう。
③問題演習をしっかり行う
参考書や映像授業などで各条文について理解した後は、必ず問題演習を行い、自身の理解度を把握することです。ここで大事なのは、点数を取ることではありません。
間違えた問題は解説を読んで誤答の原因を把握し、間違えが多い分野に戻り、理解を深めましょう。合っていた問題も、なぜその解答を選んだのかを人に解説できる程度に理解することで、迷うことなく回答できるようになるでしょう。
弁理士試験対策に必要な教材
ここからは、弁理士試験対策をするのに持っておくべき教材を紹介します。
知財法文集
弁理士試験は条文を元に参考書が作られているため、知財法文集はマストアイテムです。特に『知的財産権法文集』、『四法対照法文集』、『論文式筆記試験用法文集』は持っておくべきでしょう。
過去問
参考書や映像授業で得た知識の定着度を確かめるため、過去問は必ず買うことをおすすめします。短答式筆記試験に関しては、解説内容まで暗記できるほどやり込むのが良いとのことです。
弁理士試験に短期合格するコツ
難関の弁理士試験ですが、受験生のなかには一発で合格する方もいます。弊社が64名の弁理士の方に行った調査(※)では、うち7名が1回の受験で弁理士試験に合格していました。
その7名の勉強方法の内訳は、以下のとおりです。
- 予備校:4名
- 通信:1名
- 独学:2名
そして、「勉強方法のモチベーション維持方法」としては、
- 日々のノルマを淡々とこなす
- TODOを確実にこなす
などの回答が寄せられました。モチベーションの維持というものそれ自体を考える暇すらないくらい、ストイックに勉強を黙々とし続ける方が多いです。
一概には言えませんが、「予備校などで確実に時間を確保し、勉強を進める」「勉強を習慣化し、日々のTODOを着実にこなす」などが有効でしょう。
合格者が実践していた勉強法について、詳しくは次項をご覧ください。
※リーガルジョブマガジン編集部が「弁理士の年収や経歴に関する匿名調査」として、2022年1月21日~2022年2月3日に実施。リーガルジョブボードの弁理士会員(20~60代の男女)64名から回答を得ました。
独学での弁理士合格は可能?
独学で弁理士試験に合格する方もいますが、かなり難しいでしょう。
一般的には、予備校や通信で勉強しながら合格を目指す方が多いです。実際に、弊社が64名の弁理士の方に実施した調査(※)で「弁理士試験の勉強方法」を聞いたところ、
- 独学:4名
- 予備校:46名
- 通信:14名
という結果でした。ちなみに独学で合格した4名は、
- 勉強年数:平均4.5年(最短1年・最長7年)
- 受験回数:平均3回(最小1回・最大7回)
でした。独学で合格を目指す場合、勉強方法の工夫や勉強の習慣化、モチベーション維持などが重要になると思われます。
※リーガルジョブマガジン編集部が「弁理士の年収や経歴に関する匿名調査」として、2022年1月21日~2022年2月3日に実施。リーガルジョブボードの弁理士会員(20~60代の男女)64名から回答を得ました。
弁理士を目指すべきかお悩みの方へ
弁理士の仕事が気になる方や、弁理士試験の受験を検討している方など、以下のようなお悩みはありませんか?
- 自分の経歴・経験で、弁理士を目指せるのか知りたい
- 転職で年収がどれくらい変動するのか知りたい
- 自分に「弁理士としての適性」があるのか気になる
これらのお悩みは、弁理士・知財専門エージェント「リーガルジョブボード」にご相談ください。業界知識が豊富で、高い専門性を持ったプロが、あなたのお悩みにお答えします。
気軽なご相談、情報収集のみでのご利用も歓迎です!
合わせて読みたい記事はこちら
データ等の出典元
- 特許庁「令和4年度弁理士試験の結果について」
- 法務省「令和4年司法試験の採点結果」
- 法務省「令和4年度司法書士試験の最終結果について」
- 一般財団法人 行政書士試験研究センター「令和4年度行政書士試験実施結果の概要」
- 国税庁「令和4年度(第72回)税理士試験結果」
- 厚生労働省「第55回社会保険労務士試験の合格者発表」
- 法務省「令和4年度土地家屋調査士試験の最終結果について」
- 国土交通省「令和4年海事代理士試験実施状況について」