
司法修習生が就職して後悔した法律事務所の特徴6選と就職先の正しい選び方

by LEGAL JOB BOARD 森田
転職エージェント
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司法修習生の就職活動支援サービス「リーガルジョブボード」の森田です。
本記事では「司法修習生が就職して後悔した法律事務所の特徴」と「就活で失敗しないための正しい就職先の選び方」について紹介します。
就活で失敗し、自分に合わない法律事務所に就職してしまうと「早期退職」に追い込まれる恐れがあります。1年以内に法律事務所を辞めてしまうと、次の転職活動で多少不利になる可能性があるのです。
早期退職すると次は第二新卒として転職することになりますが、その場合、他の司法修習生(新卒)と比べたときにどうしても見劣りしてしまう側面があるからです。また「なぜ1年で前の事務所を辞めてしまったのか」という新しい質問もマストで増えるので、そこも次回の転職活動の難易度に影響してきます。
そのため、本記事を通して私は少しでも、就活中の司法修習生の失敗を減らしていきたいと思っています。
今から紹介する司法修習生の就活失敗事例は、司法修習生から私が実際に聞いたことのあるもののみに絞り込んでいますので、よりリアルな情報を提供できるかと思います。
就職して後悔するような法律事務所の特徴を把握しておくことで、そういった法律事務所に誤って入職してしまわぬよう、事前に対策ができるようになります。その対策法もあわせて紹介しますので、就活で失敗したくない司法修習生の方はぜひ最後までご覧ください。
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この記事の目次
司法修習生が就職して後悔した法律事務所の特徴・失敗事例
では、私がこれまで聞いたことのある「司法修習生が就職して失敗した法律事務所の特徴」を紹介します。
入職前に聞いていた内容と異なる労働条件を突き付ける法律事務所
司法修習生の就活失敗事例として一つ目に「入職前に聞いていた内容と異なる労働条件を突き付けられた」という事例があります。
実際に、面接の時点では「年収600万円」と聞いていたものの、入職時に「年収400万円」という条件が出されたことも。内定受諾した直後に、聞いていた内容と異なる労働条件を後出しされるケースは意外と存在します。
基本的に内定を提示された場合、労働条件の詳細が書かれている「業務委託契約通知書」や「雇用条件通知書」もあわせて提示してもらうのが一般的ですが、それらが提示されない場合は注意が必要です。
教育制度・教育体制が整っていない法律事務所
「教育体制が全く整っていない法律事務所に入ってしまい、早期退職せざるを得なかった」という司法修習生の失敗もよく聞きます。
「教育体制が整っていない」とは、例えば以下のような教育環境を指します。
- ダメ出し「だけ」される
- 放置される
- 若い期の先生が多く教えられる環境ではない
など。もちろん受け身ばかりでは仕事の上達は見込めませんが、教育環境が一切整っていないような職場をファーストキャリアとして迎えると、上達の初速に支障をきたすことは間違いありません。
「HPに記載された業務」と「現場の業務」で内容に乖離がある法律事務所
「ホームページに書かれている取り扱い業務分野」と「実際に現場で行われている業務内容」が異なっており、希望業務ができない事務所に就職してしまったという司法修習生も多くいらっしゃいます。
例を挙げます。ホームページ上に記載のある「取扱分野」では
- M&A
- 労働法務
- 一般民事
と書かれていたものの、実際に入職してみたら
- M&A(5%)
- 労働法務(5%)
- 一般民事(90%)
というようなバランスになっており、実情は業務内容がかなり限られていた、というようなケースです。
ホームページや求人票に書かれている情報と乖離がないかどうか、入職前に入念に吟味しておく必要があります。
※どのように吟味すれば良いのか、その方法については後述します。
ワークライフバランスが全く取れない法律事務所
残業過多によって身体が持たず早期退職に追い込まれてしまった司法修習生も多数いらっしゃいます。
もちろん弁護士業界は基本的にハードワークが強いられがちなので、ワークライフバランスが取れないのは仕方がない側面もあります。ただその中でも特にハードワークに追い込まれる職場に身を置いてしまい、身体が持たなかったというケースはよくあります。
例えば、事務所選びの軸で「年収」を一番重視していたため大手や中堅事務所だけ選考を受け、高年収は実現できたもののまともに休息が取れず早期退職というパターン。
入職後はどれくらいの労働時間が想定されるのか、あらかじめリサーチしておくことがこちらも重要となります。
思っていたのと異なる働き方が強いられた法律事務所
働き方が想定していた内容と異なる法律事務所に就職し、失敗してしまった司法修習生もよくいらっしゃいます。
特に刑事事件が多い法律事務所でよく聞くお話になりますが、例えば「業務がいつも緊急で発生するため、息をつく間もなく、不規則な業務リズムが強いられることに疲弊してしまった」というケース。
業務の進め方や働き方が自分に合っているかどうかも、事前に把握しておきたいところです。
良好な人間関係が築きにくい法律事務所
「入職してみたら、ボス弁や周りの所員の方々が異質でコミュニケーションが取りにくく、今すぐにでも辞めたい状況です..」といったようなお話もよくおうかがいします。
例えば「”言った”や”言ってない”が頻発」「指示通りに動いたらなぜか怒られた」「何度もウソをつかれ建設的な話が全くできない」など、あらゆるエピソードを聞いてきました。
これは法律事務所に限らず、職場ではそういった「コミュニケーションが取りにくい」方も一定数存在することがあります。
上記のような法律事務所を回避する方法は「自己分析」と「事務所リサーチ」
ここまで、就活中の司法修習生が失敗によく陥るケースや法律事務所の特徴について紹介してきました。ここで皆さまが思うのは「どうやったら自分に合わない法律事務所を回避することができるのか?」という「対策法」だと思います。
司法修習生が就活で失敗しないために大切なのは以下2つです。
- 自己分析の「徹底」
- 事務所リサーチ
それぞれ詳しく説明します。
自己分析の「徹底」
自己分析とは、「弁護士として実現したいこと」と「やりたくないこと」を明確にすることです。そしてその中から「絶対に譲れないこと」を洗い出すことが重要です。
例えばですが、以下のような軸を洗い出したとします。
- 幅広い業務分野を経験したい
- 企業法務系の法律事務所に所属したい
- 高年収を実現したい
- ワークライフバランスを整えたい
そしてここから、絶対に譲れない軸を見つけます。何もかも実現できる就職先は滅多にないのが実情ですが、一つや二つなら叶えられる可能性があります。
他にも「教育体制がしっかりしているところがいい」「専門性を身につけられる環境がいい」「裁量を持たせてくれない上司の元では働きたくない」など、人によってさまざまな軸が考えられると思います。とにかく細かく挙げてみてください。
ここがブレるとミスマッチが生じ、自分に合わない法律事務所に就職することになってしまいます。
転職エージェントとディスカッションする
自己分析の質を高めるには「弁護士キャリアに詳しい相手とディスカッション」しながら壁打ちすることをおすすめします。自分の価値観や考えを適度にアウトプットしながら熟考することで、より質の高い自己分析が行えるようになるからです。
そこでおすすめなのが「弁護士専門のキャリアエージェント(転職エージェント)」の活用。たくさんの弁護士や司法修習生のキャリアパスを見てきた立場から、最善なキャリアプランの策定・提案をしてくれます。
私もリーガルジョブボードの転職エージェントとして、自己分析や転職相談について日々承っておりますので、お気軽にご連絡いただけると嬉しいです。基本的にWEB通話で実施しているので、全国どこからでもご相談いただけます!
※また転職エージェントはあなたの自己分析の結果に合った求人のご紹介もいたします。求人紹介を受けたい方もお気軽にご連絡ください!
色んな法律事務所の面接選考を受ける
自己分析を深めるもう一つの手段として「さまざまな法律事務所の面接を受けてみる」ことがおすすめです。
たくさんの弁護士先生との対話を通して、壁打ちしていくことで、あなたの本当の価値観や軸が見出せるようになります。
例えばですが「企業法務系の法律事務所を受けたい」という軸があっても、いったん「一般民事の法律事務所」の面接を一度受けてみたりすると「一般民事の面白さや魅力」に対する理解が深まり、実は一般民事の方があなたによって本当にやりたいことである、というような答えも見出されるかもしれません。
「長い時間をかけて」自己分析する
また自己分析で重要なのは、自己分析の「徹底」を意識することです。軸を洗い出したら、その軸があなたにとって本当に実現したいことなのかどうか、必ず吟味しましょう。
「高年収を実現したい」という軸を洗い出したとしても、実は突き詰めると「そこそこの年収があれば、自分の時間やほどよい休息の方が重要」であることが導き出せたりすることがあります。
実際、私はこれまでたくさんの司法修習生のキャリア相談を承ってきましたが、最初の軸と、じっくり話し合ったあとの軸とで結構内容が変わっていることがあります。
何が自分にとって一番幸福度が高いのか、時間をかけながらじっくり吟味してみてください。
事務所リサーチ
自己分析を終えたら、次に行うのは「事務所リサーチ」です。自己分析で実現したい軸を洗い出したら今度は、その軸が叶えられる法律事務所を見つけなければなりません。自己分析に沿って、求人を探しましょう。
自己分析に沿って求人を見つけたら、その求人の法律事務所が「本当にあなたに合っているのかどうか」を「リサーチ」しましょう。
ここでいう「リサーチ」とは、求人票に書かれているような内容「以外」の内容が重要になってきます。
例えば以下のような内容です。
- 代表弁護士の性格や価値観
- 実際の業務時間(何時出社何時退勤・休日出勤の有無など)
- 雇用条件通知書や業務痛く条件通知書を提示する事務所かどうか
- 取り扱い業務分野のバランス
- その事務所で過去に退職した人の退職理由
- 教育体制の充実具合
など、細かく挙げるとキリがありませんが、こういった「求人票では見えてこない情報」のリサーチが非常に重要です。これらの情報を集められるかどうかで、自分に合わない法律事務所を回避することができます。
「求人票にない情報収集」は以下のようなやり方で実施できます。
転職エージェントに聞く【確実性が高い】
法律事務所のリサーチや情報収集で一番活用していただきたいのが「転職エージェント」です。
多くの法律事務所や求職者さまと関わりのある転職エージェントであれば、その事務所の実態や早期退職した人の口コミなど、たくさんの情報を持っていることになります。
自力での情報収集は限界があります。弁護士業界に精通した転職エージェントを情報源とし、就職活動を有利に進めていただきたく思います。お取引のある法律事務所に関しては、前述したような
- 代表弁護士の性格や価値観
- 実際の業務時間(何時出社何時退勤・休日出勤の有無など)
- 雇用条件通知書を締結する事務所かどうか
- 取り扱い業務分野のバランス
- その事務所で過去に退職した人の退職理由
- 教育体制の充実具合
これらの情報はできる限り共有してくれるでしょう。
そのため、逆に言うと「弁護士業界に詳しい転職エージェントでなければあまり意味をなさない」とも言えます。あくまで法律事務所の内情を把握している転職エージェントに相談することをおすすめします。
弁護士業界に強い転職エージェントは以下の記事で紹介しています。
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一番おすすめは、手前味噌となりますが「リーガルジョブボード」です。法律事務所側と求職者側、両方を同じエージェントが担当していますので、抜け漏れのない密な情報を迅速にお届けさせていただきます。
先輩弁護士や同期の方にヒアリングする
気になる法律事務所について、司法修習期の同期の方に聞いてみるのもおすすめです。その法律事務所に勤めている方を知っているかもしれませんし、紹介してくれることもあるかもしれません。
また事務所リサーチからは少し外れますが、同期の近況と自分自身とを比べることで、自分の現状を客観的に把握できるのも良いですね。
同じような経験年数の弁護士からお話を聞くことで、今どのようなところでつまづいていて、どのようなところに課題を感じているのか聞けるので、そういった情報を自身の就職活動に役立てられます。
職場口コミサイトを徹底的に閲覧する
法律事務所に限らず、気になる求人の職場口コミをチェックすることは必須となりつつあります。受けようと思っている法律事務所が有名であればあるほど、大きければ大きいほど口コミ数も比例して存在するはずなので、くまなくチェックしてみてください。
ここで大事なのは、口コミをすべて鵜呑みにしないことです。あくまで参考情報として受け止め、その情報が正しいかどうかを、自分の目で見て(実際に面接を受けてみて)確認することが大事です。
もちろん、面接ですべての情報の正誤を確認することはかなり難しいです。しかし雰囲気を肌で感じ、自分自身で判断するという姿勢が大事です。気になる職場がネガティブな情報で包まれていたとしても、可能であれば面接を受けて自分の目で見ることをおすすめします。
司法修習生の就職活動をお手伝いします
リーガルジョブボードは司法修習生の就職活動を毎日サポートしています。
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