弁護士のキャリア戦略|10年先を見据えたキャリアパス策定について
by LEGAL JOB BOARD 庄司
コンサルタント
- 担当職種:
弁護士・司法修習生の専門エージェント「リーガルジョブボード」の庄司です。
本記事では、10年先まで見据えた「弁護士のキャリア戦略」についてお話しします。
今後のキャリアに漠然とした不安がある方はもちろん、弁護士として長く活躍していきたい方も、ぜひご一読ください。
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この記事の目次
弁護士がキャリアパスを考える際の軸は?
弁護士のキャリアパス・キャリアプラン策定の軸は、興味のある業務分野や希望年収、ワークライフバランスを重視するかといった条件に応じて異なります。
「将来のキャリアビジョン」が明確ではなくとも、どんなキャリアを選択し、どういった経験を積むかがキャリア形成において非常に重要です。
弁護士・司法修習生の皆様とお話しする中で、「将来的にM&Aやファイナンスに専門性を持つ弁護士になりたい」というキャリア像をお持ちの方が一定数いらっしゃいます。
しかし、実態としてそれらの案件を取り扱っていない事務所に応募しているケースも多く、そのような場合、ミスマッチが要因で短期離職につながる可能性があります。
転職・就職といったキャリアの岐路に立った際には、入念なリサーチと慎重な検討が重要です。
弁護士の転職・就職先ごとに見るキャリアパス
それでは一般的な弁護士の転職・就職先ごとに、
- そのキャリアを選択すべき方の傾向
- 業務内容・特徴
- 主なキャリアの選択肢(キャリアパス)
- キャリア面でのメリット・デメリット
を詳しく解説します。キャリアについて考える際の参考にしていただけますと幸いです。
※紹介するメリット・デメリットは一般的なものであり、実際の職場によって異なる可能性があります。
①企業法務系の法律事務所
結論、こんな方におすすめ
- 現時点でやりたいことが明確ではないが、将来的なキャリアの選択肢を広げたい方
- 大規模案件の経験や海外留学を通して、自身の市場価値を向上させたい方
- 中央官庁や企業への出向を経て、他の弁護士にはない専門性を身につけたい方
- 将来的には、大手企業のインハウスローヤーを目指している方
業務内容や特徴
企業法務系の法律事務所における、主な業務内容は以下の通りです。
- コーポレート
- M&A
- ファイナンス
- コーポレートガバナンス、コンプライアンス
- 契約書の作成、リーガルチェック
- 訴訟、紛争
- IPO(株式上場)支援
- 事業再生、倒産 など
- 知的財産
- 危機管理
- 不動産取引
- 国際案件
企業法務を主に取り扱う事務所は、整った就業環境や高い報酬面から新人弁護士は希望する方が多い就職先です。4大法律事務所もこちらにあたります。
企業法務系の事務所では、大規模案件や国際的な案件を経験できる可能性が高いです。中央官庁や企業への出向を通した専門的スキルの獲得や、海外ロースクールへの留学などを通して、市場価値を向上させて将来的なキャリアの選択肢を大きく広げることができます。
企業法務系事務所でのキャリアパス
企業法務系事務所では、主に以下のようなキャリアの選択肢があります。
- シニアアソシエイト
- パートナー(一般民事系の事務所を含めた他の法律事務所に移籍する場合も含む)
- インハウスローヤー(法務部員・法務部長・CLO・執行役員など)
- 独立(起業も含む)
もちろん、独立する方やパートナーを目指す方もいらっしゃいますが、直近ではインハウスローヤーを次のキャリアとして選択される方も多い印象です。
また、企業法務系の法律事務所は報酬が高い分、非常に多忙な傾向があり、ワークライフバランスが確保できないと思われがちですが、実際には事務所毎で働き方は大きく異なり、リモートワークやフレックスタイム制の導入に伴い、働きやすい環境が整えられている事務所も多いです。
弁護士キャリアへのメリット:
- 市場価値の高い経験を通して、将来的なキャリアの選択肢を大きく広げることができる。
- 中央官庁や企業への出向、海外ロースクールへの留学などを通して、専門的な知識やスキルが身につけられる。
- ネームバリューのある事務所に所属した場合、大手企業・上場企業を相手に仕事をすることが多く、高い企業法務スキルを評価され、将来的な転職の際も経歴面で有利に働く可能性が高い。
弁護士キャリアへのデメリット:
- 事務所から個人受任を禁止されている、もしくは事務所の案件対応に追われ、禁止されていなくても受任できないケースが多く、将来的な独立には不利に働く場合がある。
- 一般民事事件の経験を積めないことが多く、一般民事系事務所へのキャリアチェンジは年数を重ねるほど難しくなる。
- 内部競争が激しい事務所もあり、アソシエイトからパートナーを目指すハードルが非常に高い。
企業法務系の法律事務所は、将来の選択肢を広げたい方におすすめです。
希望に沿った求人紹介や、キャリアに関するご相談は、弁護士専門エージェント「リーガルジョブボード」にお任せください。情報収集・相談のみでお気軽にご利用いただけます。
②一般民事系の法律事務所
結論、こんな方におすすめ
- 将来的に独立を目標としている方
- 早期にパートナーなど責任ある立場を目指している方
- 弁護士業務の足腰となる訴訟業務で実力をつけたい方
業務内容や特徴
一般民事系の法律事務所における、主な業務内容は以下の通りです。
- 離婚
- 相続
- 倒産処理
- 労働問題
- 債権回収
- 債務整理
- 交通事故
- 刑事事件
- 売買代金請求
- 土地・建物の明渡請求
- 消費者事件
- 医事紛争事件 など
一般民事系の事務所は「街弁」と呼ばれ、法律事務所の中で最も数が多く、規模も様々です。長年にわたって地域を支えてきた歴史ある事務所から、近年勢力を拡大している新興系、数人で業務を行う個人事務所などが存在します。
小規模の事務所では、ある程度経験を積んだ後は独立、弁護士法人化した事務所などでは、パートナーや各拠点の支店長を目指す弁護士が多い印象です。
一般民事系事務所でのキャリアパス
一般民事系の法律事務所では、主に以下のようなキャリアの選択肢があります。
- シニアアソシエイト
- パートナー(企業法務系の事務所を含めた他の法律事務所に移籍する場合も含む)
- インハウスローヤー(法務部員・法務部長・CLO・執行役員など)
- 独立(起業も含む)
一般民事系の法律事務所は、企業法務系の法律事務所と比べて、1つの案件対応が長期化するケースが多い為、スケジュールに融通がききやすいです。また依頼者から直接感謝されることも多い傾向にあります。
そのため、ワークライフバランスを重視したい方や、感謝の声をやりがいの一つにしたい方におすすめです。
弁護士キャリアへのメリット
- 個人受任がしやすく、様々な案件を経験できる傾向があり、独立に有利である。
- 早期にパートナーや支店など、責任のある立場を目指すことができる。
- 訴訟という弁護士業務の足腰となる分野に強くなる。
弁護士キャリアへのデメリット
- 複数拠点を持つ事務所では収益最大化のため、特定の案件を集中的に受任する傾向があり、受任機会や受任案件の種類が限られ、将来的なキャリアの選択肢を狭める可能性がある。
- 基本的に幅広い案件を対応することに加え、案件の性質上、専門性よりも事実認定が重要な領域のため、特定の分野で専門性を極めることが難しい。
- 事務所によっては、弁護士業務以外の業務(営業活動や事務作業など)に関わる可能性もある。
一般民事系の法律事務所は、将来独立を考えている方におすすめです。
希望に沿った求人紹介や、キャリアに関するご相談は、弁護士専門エージェント「リーガルジョブボード」にお任せください。情報収集・相談のみでお気軽にご利用いただけます。
③インハウスローヤー(企業内弁護士)
結論、こんな方におすすめ
- 早期に特定の業界や領域で専門性を身につけたい方
- 企業経営や事業戦略に強い興味をお持ちの方
- 幅広く企業法務経験を積みたい方
業務内容や特徴
インハウスローヤーとして働く場合の、主な業務内容は以下の通りです。
- 契約書審査や作成
- 社内法律相談
- 社内規定の作成や管理
- 株主総会対応
- M&Aの法務対応
- 知的財産権の管理業務
- 資金調達
- 訴訟対応
- 危機管理・不祥事対応
- 不動産取引
- 債権回収・保全 など
「特にファーストキャリアでインハウスは避けるべき」という意見もありますが、将来的に企業内で弁護士の力を発揮したい方や、早期から特定の業界・分野で専門性を身に着けたい方、ワークライフバランスを重視したい方はインハウスローヤーがおすすめです。
インハウスローヤーを募集しているのは上場企業が多い傾向にあり、ワークライフバランスを大切にできたり、福利厚生の充実が期待できたり、中には会社が費用を負担する留学制度を設けている企業もあります。
インハウスローヤーでのキャリアパス
インハウスローヤーとしては、主に以下のようなキャリアの選択肢があります。
- キャリアアップ(法務部長・執行役員・社外取締役など)
- 法律事務所のアソシエイトもしくはパートナーへ転籍
- 独立
法律事務所で経験を積んでいても、企業での法務実務経験がない状態で企業のマネジメント層(法人部長など)を目指すのは難しいのが現状です。それは一般企業と法律事務所では、求められるスキル・能力が異なるためです。
またインハウスローヤーの需要は今後も増加する見込みなので、将来的に企業で働きたいのであれば、早い段階で経験しておく方が良いでしょう。
弁護士キャリアへのメリット
- 特定の業界・企業での法務業務に専念するため、早期に専門性を獲得しやすい。
- 経営層と直接やりとりする機会が多く、自身の法的意見が経営戦略に反映されることに加え、経営側の視点を身につけやすい。
- 社内外で発生する様々な法的課題に対応するため、幅広い企業法務経験が可能である。
弁護士キャリアへのデメリット
- 法律事務所へのキャリアチェンジが難しい傾向にある。
- 訴訟業務の経験が限られるケースが多く、一般民事案件はほとんど経験できない。
- 企業によっては、法務以外の業務(総務など)も兼任することがある。
インハウスローヤー(企業内弁護士)は、企業の経営や事業戦略に興味をお持ちの方におすすめです。
希望に沿った求人紹介や、キャリアに関するご相談は、弁護士専門エージェント「リーガルジョブボード」にお任せください。情報収集・相談のみでお気軽にご利用いただけます。
掲載中の弁護士求人をご紹介
リーガルジョブボードで掲載中の弁護士向け求人を、一部ご紹介いたします。
企業法務系の法律事務所
▼某大手法律事務所
経験弁護士/東京事務所募集/高い専門性をお持ちの方歓迎/大手事務所/幅広い企業法務を経験可
▼弁護士法人北浜法律事務所
《準大手事務所/企業法務経験者限定》40年以上の歴史を持つ、就労環境抜群の法律事務所から経験弁護士の募集です
▼弁護士法人わかさ
企業法務未経験OK!/企業法務を中心に取り扱う総合型法律事務所/個人受任OK/正社員雇用相談可能
一般民事系の法律事務所
▼弁護士法人東京新宿法律事務所
司法修習生/個人受任OK/債務整理・遺言・相続・労働問題・交通事故等幅広い案件に対応している法律事務所
▼弁護士法人オーシャンズ総合法律事務所
弁護士/年収1,000万可/個人受任可能/保険会社のクライアント多数/企業法務/一般民事
▼弁護士法人イージス法律事務所
弁護士/年収1,000万円可/インセンティブあり/個人受任可(経費負担なし)/債務整理/離婚・相続/交通事故
インハウスローヤー(企業内弁護士)
▼アクセンチュア株式会社
営業法務(営業チームと連携した契約法務)/法務経験1年以上/英語が活かせる/大手コンサル会社/在宅週2回
▼株式会社三菱UFJ銀行
リモートワーク実施中/実務経験2年程度以上/早くから企業内弁護士の重要性を認識し、国内有数の法務陣容を整備
▼某有名企業
カジュアル面談可/コーポレート(経営支援)/年間休日145日/フレックスタイム制/売上規模が2兆円を超える事業会社
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