独立司法書士の平均年収(年商)は?開業者28名のアンケート結果を公開
by LEGAL JOB MAGAZINE 編集部
編集部
こんにちは。司法書士の転職エージェント「リーガルジョブボード」です。
本記事では「独立開業した司法書士の平均年収」を解説いたします。
実際に司法書士として独立開業された28名の方にアンケートを取り、その結果をもとに平均年収データを算出しました。その結果を本記事でご紹介いたします。
具体的な記事の内容は、下記の目次をご覧ください。
将来的に独立をお考えの勤務司法書士の方、司法書士を目指されている方など、多くの方にとって有益な記事となりますと幸いです。
※司法書士全体の平均年収に関しては、以下の記事で理解を深められます。
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この記事の目次
独立開業司法書士の平均年収の調査方法
独立開業司法書士の年収をはじめとした実態を探るべく、弊社リーガルジョブボードの司法書士会員の方を対象に、アンケート調査を実施しました。
具体的なアンケート項目は以下のとおりです。
- 司法書士事務所名(※アンケート結果の信憑性を高める目的)
- 事務所がある都道府県
- 年齢
- 性別
- 独立してからの年数
- 独立1年目の年商
- 独立2年目・3年目の年商(※該当者のみ)
- 取扱件数の最も多い業務
これらの調査によって得られた28件の回答をもとに、独立開業司法書士の平均年収を算出しました。
回答者の年齢・性別・取扱業務の内訳
今回、アンケート調査にご回答いただいた独立個人の状況や学習進度(知識の定着具合)に応じて、予備校と独学での学習を使い分けていらっしゃった方には、効率的に勉強されている方が多く、結果的に合格に繋がっている印象があります。開業司法書士の年齢や男女比、最も多く取り扱っている業務をご紹介します。
これらはアンケート調査の概要であると同時に、独立開業者28名分の実情をまとめた貴重なデータとなります。
年齢
回答者28名の年齢は次のようになりました。
- 20代:なし
- 30代:13名(46.4%)
- 40代:11名(39.3%)
- 50代:3名(10.7%)
- 60代以上:1名(3.6%)
30代と40代が合わせて24名で、全体の半数を占めています。
男女比
男性と女性の人数は下記のとおりで、男女比はおよそ8:2でした。
- 男性:22名(78.6%)
- 女性:6名(21.4%)
最も多く取り扱う業務
続いて回答者の最多取扱業務です。
- 1位 不動産登記業務:16名(57.1%)
- 2位 相続業務:4名(14.3%)
- 2位 過払い・債務整理・訴訟業務:4名(14.3%)
- 4位 商業登記業務:3名(10.7%)
- 5位 成年後見業務:1名(3.6%)
不動産登記業務を多く取り扱っている方が16名と半数を上回りました。
独立開業司法書士の平均年収
では、アンケート結果をここからご紹介いたします。
独立1~3年目の平均年収(年商)は?
独立1~3年目の司法書士の平均年収は、次のような結果になっています。
- 独立1年目:506万円(回答数28件)
- 独立2年目:1105万円(回答数9件)
- 独立3年目:730万円(回答数5件)
独立1年目の平均年収は506万円で、2年目はなんと1105万円。1年目から2年目にかけては、599万円もアップしており、平均年収が2倍以上になっています。
なかには1700万円も年収がアップしたという方も。
独立2年目の平均年収が突出した要因としては、2年目には年収2000万円台が3名いましたが、1年目・3年目にはいなかったことが考えられます。
独立年数別の年収レンジ
独立1~3年目の平均年収に続いて、独立年数別の年収レンジレートを見ていきましょう。
独立1年目の年収レンジ
独立1年目の年収レンジはこのようになりました。
- 0~299万円:9名(32.1%)
- 300~499万円:7名(25%)
- 500~699万円:7名(25%)
- 700~999万円:1名(3.6%)
- 1000~1499万円:2名(7.1%)
- 1500~1999万円:2名(7.1%)
- 2000~2499万円:該当者なし
- 2500~2999万円:該当者なし
全回答の半数にあたる14名は、年収300~699万円のレンジに該当。そして700~999万円が1名、1000万円~1999万円が計4名となっています。
独立2年目の年収レンジ
独立2年目の年収レンジは以下のような結果に。
- 0~299万円:1名(11.1%)
- 300~499万円:2名(22.2%)
- 500~699万円:1名(11.1%)
- 700~999万円:1名(11.1%)
- 1000~1499万円:1名(11.1%)
- 1500~1999万円:該当者なし
- 2000~2499万円:2名(22.2%)
- 2500~2999万円:1名(11.1%)
1500~1999万円のみ該当者がいませんでした。
その他の年収レンジは1~2名ずつ該当者がおり、個人によって年収にばらつきがあることが見て取れます。
独立3年目の年収レンジ
独立3年目の年収レンジは次のようになっています。
- 0~299万円:1名(20%)
- 300~499万円:1名(20%)
- 500~699万円:1名(20%)
- 700~999万円:該当者なし
- 1000~1499万円:1名(20%)
- 1500~1999万円:1名(20%)
- 2000~2499万円:該当者なし
- 2500~2999万円:該当者なし
回答者の5名全員が異なる年収レンジに該当し、年収2000万円以上はいませんでした。
男女別の平均年収
続いて、男女別に見た独立1~3年目の平均年収です。
勤務司法書士の平均提示年収を取り上げた調査では、男女間で12万円の差額がありましたが独立開業者はどうでしょうか。
- 独立1年目:【男性】501万円【女性】525万円
- 独立2年目:【男性】1064万円【女性】1250万円
- 独立3年目:【男性】616万円【女性】900万円
今回の調査では、独立1~3年目にかけての平均年収は総じて女性の方が高くなりました。
また、男女間の差額が年数を追うごとに大きくなる傾向もうかがえました。
取扱業務別の平均年収
取扱業務と年収の相関を探るべく、最多取り扱い業務別の平均年収も調査しました。「過払い・債務整理・訴訟業務」と「不動産登記業務」、「商業登記業務」、「相続業務」の独立1~3年目の平均年収は以下のような結果に。
- 過払い・債務整理・訴訟業務:715万円
- 不動産登記業務:690万円
- 商業登記業務:400万円
- 相続業務:698万円
過払い・債務整理・訴訟業務の平均年収が4業務のなかで最も高くなりました。不動産登記業務と相続業務はともに690万円台で、商業登業務記を除く3業務の平均年収に大きな差異は見られませんでした。
商業登記業務は、独立1年目の年収データのみで算出されており、他の業務よりも平均年収が低くなった可能性があります。
独立開業司法書士と勤務司法書士の年収比較
仕事のペースや収入の安定性など、独立開業司法書士と勤務司法書士は様々な点で比較できますが、今回は年収に焦点を当てて考えます。
以前公開した勤務司法書士の年収に関する記事を参考に、比較してみましょう。
平均年収 | 最高年収 | |
勤務司法書士 | 4,000,000円 | 7,000,000円 |
独立開業司法書士 | 6,661,667円 | 27,000,000円 |
全司法書士にこの傾向がみられるとは断言できませんが、平均値と最高値はともに独立開業者の方が高くなっています。
独立にはリスクが伴いますが、実力次第で勤務時よりも稼げる可能性が十分にあるといえるでしょう。
独立開業して成功するための必須スキル
司法書士として独立を考えている場合、どのようなスキルや能力が必要なのか気になるところ。
独立したものの思ったように業績が伸びず閉業…といった事態を避けるため、年収をアップさせるために身につけておくべき必須スキル3つを解説します。
①最重要スキルは「営業力」
独立開業すれば案件獲得のために自ら営業し、取引先を開拓することになります。
多くの場合、開業後はまず金融機関や不動産業者に営業に出向くことになるでしょう。
金融機関や不動産業者は、既に取引をしている司法書士がいるケースが多いので、コミュニケーション能力・提案力を活かして自身を売り込み、相手との信頼関係を築いて案件を獲得しなくてはなりません。
その他に、仕事を回してもらえる関係を構築すべく、近隣の他士業の先生に挨拶に出向くことも多くの方が行っています。
営業力の要となるコミュニケーションスキルやヒアリング能力、課題分析能力などを、独立開業の前に身につけておきたいですね。
また、勤務司法書士時代から、金融機関やハウスメーカー、不動産業者などの取引先となり得る相手との人脈を広げておくことも非常に有効です。
②「豊富な業務経験・知識」は必須
豊富な業務経験や知識があるほど、年収をあげられる可能性が高くなります。
依頼された案件を通して顧客から信頼を得るためには、それまでに培った経験や知識をフルに活用し、迅速かつ確実な対応・業務処理を行わなければなりません。
何より、業務拡大につながるような幅広い経験・知識があれば、取り扱える業務も増えますから、仕事量にも大きく関係してきます。
将来独立をお考えの勤務司法書士の方で、経験や知識をさらに強化したいという方は、スキルアップ・キャリアアップのための転職を検討してみてはいかがでしょうか。
弊社LEGAL JOB BOARD(リーガルジョブボード)では、独立歓迎の求人やスキルアップのための求人もご紹介しております。
③業務も経営も「計画性」
業務における計画性はもちろんですが、独立開業した場合には、事務所の経営における計画性も大変重要になります。
事務所の経営や今後の方針について、「これくらいの期間でこのステップに到達、その次はこの業務を拡大」といったビジョンが明確なほど、成功されている方が多いようです。
担当している案件においても、追加で修正が入らないよう調整しながら業務に取り組む、案件ごとにスケジュール管理を徹底するなど、計画的に仕事を進める必要があるでしょう。
独立開業者自身の実力や裁量が売上に直結するのが、独立開業のメリットであり、リスクでもあります。
開業前から「初めはどこに営業をかけて、売り上げを安定させるか」という計画も立てておきたいですね。
独立のための準備や、開業後スムーズに経営を軌道に乗せる方法などは、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
司法書士の独立開業後すぐに事務所経営を軌道に乗せる方法
独立前のスキルアップが最重要
将来的に独立開業司法書士となることをお考えの方は、前述したようなスキルを身につけることが非常に重要です。
- 独立前にさらなるスキルアップを目指したい
- 独立を歓迎してくれる職場で働きたい
- キャリアアップに繋がる求人が知りたい
これらのうち、1つでも当てはまるという方は、エージェントの個別キャリアカウンセリング(オンライン・オフラインどちらも可)を受けていただくのがおすすめです!
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