
特許技術者とは?未経験から知財業界へ!仕事内容・年収・弁理士との違いを解説

by LEGAL JOB BOARD 大澤
キャリアアドバイザー
- 担当職種:

こんにちは。弁理士・特許技術者の転職支援を行う「リーガルジョブボード」の大澤です。
本記事では「特許技術者とは」をテーマに、以下のような内容を解説します。
特許技術者について知りたい方や、弁理士を目指すことを検討中の方は、ぜひご一読ください。
▼個別相談を実施中です
この記事の目次
特許技術者とは?資格は必要?
特許技術者とは、特許事務所において、特許出願に必要な明細書の作成や中間対応などに携わる職種です。弁理士の補助業務を担当し、権利化に至るまでの特許実務をサポートします。
特許技術者として働くにあたり、資格等は特に必要ありません。特許事務所で実務に触れながら、業務の流れ・知識を身につけられることもあり、弁理士を目指す過程で特許技術者として働きはじめる方が多いです。
業務の特性上、担当する技術や発明について十分に理解する必要があるため、理系のバックグラウンドがある方やメーカーで研究・開発の経験がある方、弁理士資格の取得に意欲的な方などは、特許技術者として歓迎されやすい傾向にあります。
なお、文系の学部・大学院出身の方も商標や意匠を専門として知財業界で活躍することも可能です。
あわせて読みたい記事
特許技術者の仕事内容
特許技術者は主に以下のような業務を行います。
- 明細書作成の補助
- クライアント・発明者へのヒアリング
- 特許庁とのやり取りに必要な書類作成の補助
- 出願前の先行技術調査
なかでも、明細書の作成補助は特許技術者のメイン業務です。明細書には、技術や発明に関する情報を詳細に落とし込まなくてはなりません。クライアントや発明者へのヒアリングを行いながら、最適な内容に仕上げていきます。
扱う技術分野は、化学・バイオ・機械・電気・ITなど様々です。最近は特に、機械・電気・ソフトウェア分野の求人が増加傾向にあります。

特許技術者になるには?未経験でも転職できる?
特許技術者になるには、特許事務所に就職・転職をします。資格等は不要ですが、多くの特許事務所では、選考時に筆記試験が行われます。
あわせて読みたい記事
業務柄、理系の学部・大学院出身の方や、メーカーで研究・開発職の経験がある方、エンジニア等の技術職の経験がある方などは、特許技術者として歓迎されやすいです。
また、特許技術者に向いている方の特徴として、以下のようなものがあります。
- 論理的な説明ができる
- コツコツと地道に作業を進められる
- 新しい技術・アイデアなどに興味を持てる
なお、未経験から知財業界・特許事務所へ転職するキャリアステップは一般的です。
知財・特許業界は、他の業界と比べて新卒採用の実施が少なく、特に特許事務所ではその傾向が際立っています。そのため、多くの方が未経験から中途採用を通じて特許事務所にて知財業界でのキャリアをスタートさせています。

特許技術者の年収・収入
特許技術者の平均年収は約600万円が目安ですが、経験年数などの条件次第で年収400~700万円程度の幅があります。
特許技術者の年収は、弁理士と同様に成果主義制度に基づいて決定されることが多いです。そこで、特許事務所での経験年数に応じた年収目安をまとめました。
経験年数 | 弁理士 | 特許技術者 |
---|---|---|
未経験 | 年収400〜500万円 | 年収300〜400万円 |
経験3年前後 | 年収500〜600万円 | 年収400〜500万円 |
経験5年前後 | 年収600〜800万円 | 年収500〜700万円 |
経験10年前後 | 年収800〜1,000万円 | 年収700万円ほどが上限 |
年収について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
あわせて読みたい記事
特許技術者と弁理士の違い
特許技術者と弁理士の違いとして、国家資格である弁理士には出願手続きの代行などの専権業務が存在します。専権業務とは、弁理士のみが取り扱うことができる業務です。
特許技術者も弁理士とともに明細書作成・中間処理などの業務に携わりますが、それらは全て、弁理士の指揮監督の下で補助業務を行っているということになります。
また、特許出願は弁理士の名義で行われるほか、特許庁の審査官と電話や面接などで直接やり取りすることを許されているのは弁理士だけです。
専権業務について
①出願代理業務・鑑定業務
弁理士の最も中心的な業務は、特許庁に対する出願や手続きの代理です。
また、鑑定業務では主に以下の内容をおこないます。
- 特許性の鑑定:新たな技術が特許要件である新規性や進歩性を満たしているかを評価
- 侵害の有無に関する鑑定:ある製品やサービスが他者の特許・商標・意匠権を侵害していないかを調査
特許庁への出願手続きは発明者本人が行うことも可能ですが、出願書類の作成や手続きには専門的なノウハウが求められ、十分な知識がなければ大切な技術やアイデアを正しく守れないリスクがあります。
そのため、特許制度や申請の流れに精通した弁理士が、専門家として出願手続きをサポート・代行し、権利化をスムーズに進めていきます。
②特許庁への審判・審決取消訴訟の代理
出願が拒絶されたり、権利が無効とされるなどの判断に対して争う際も、弁理士が中心的役割を果たします。
たとえば、特許や商標の出願が拒絶された場合、弁理士は拒絶査定不服審判を請求し、特許庁の判断を覆すよう主張できます。また、登録済みの特許や商標について、その有効性を争う無効審判を代理することも可能です。
(業務)
第四条 弁理士は、他人の求めに応じ、特許、実用新案、意匠若しくは商標又は国際出願、意匠に係る国際登録出願若しくは商標に係る国際登録出願に関する特許庁における手続及び特許、実用新案、意匠又は商標に関する行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定による審査請求又は裁定に関する経済産業大臣に対する手続についての代理並びにこれらの手続に係る事項に関する鑑定その他の事務を行うことを業とする。
引用:弁理士法(平成十二年法律第四十九号)
特許技術者として働きながら弁理士を目指すメリットとは?
前述のとおり、特許技術者は弁理士業務の流れ・知識を身に付けたい方に適した仕事です。
加えて、多くの特許事務所では、特許技術者に対して弁理士資格の取得を推奨しています(※有資格者である弁理士にしかできない専権業務がある等の背景から。詳細はこちら)。
そのため、受験に理解のある事務所では、「受験生は残業なしや少なめ」といったサポートが受けられるケースが多いです。詳しくは以下の記事をぜひご覧ください。
あわせて読みたい記事

特許技術者の求人・転職情報
特許技術者の仕事内容や、職場(特許事務所)などのイメージを掴むためにも、ぜひ実際の求人をご覧ください。

特許技術者の将来性
国内では案件獲得の競争が激化しつつある一方で、PCT国際出願は例年高い水準を維持しているほか、海外でも知財の重要性が再認識される機会が増えており、弁理士の世界的な需要は高まっています。そのため、特許技術者も同様に、十分将来性のある仕事だと言えます。
しかし、キャリア面での将来性については、組織内での信頼が厚く成果物が優れていたとしても、特許技術者として昇進するパターンはほとんど無いのが実情です。
いずれは弁理士資格を取得して経験を積み、専門性や語学力などに強みのある弁理士を目指すのが望ましいでしょう。そうすることで、パートナーなど経営にかかわるポジションに就く、リーダーなどの管理職への昇進を目指す、将来的に独立するなど、キャリアの選択肢が広がります。
まとめ
本記事のまとめは以下の通りです。
- 特許技術者とは、弁理士の補助業務を行う職種で、特許出願に必要な明細書の作成や中間対応などに携わる。特許技術者になるにあたり、資格は特に必要ない。
- 特許技術者と弁理士の違いとして、国家資格である弁理士には専権業務が存在する。特許出願は弁理士の名義で行われ、特許庁の審査官と直接やり取りすることを許されているのも弁理士のみ。
- 多くの特許技術者は、働きながら弁理士資格の取得を目指している。
弁理士・特許技術者や知財業界への転職に関連し、以下のようなお悩みをお持ちではありませんか?
- 働きながらの弁理士受験について詳しく知りたい
- 自分の経歴で特許技術者になれるのか知りたい
- 転職に最適なタイミングを相談したい
といった方は、リーガルジョブボードの弁理士・知財専任キャリアアドバイザーにご相談ください。

あわせて読みたい記事
▼リーガルジョブマガジンとは
弁理士・特許技術者などの転職・キャリアに関するお役立ち情報や、業界知識・動向、インタビュー記事などを発信するメディアです。
記事一覧を見る