【2024年調査】特許技術者の年収データを公開!給与事情や評価制度も解説
by LEGAL JOB BOARD 正田
コンサルタント
- 担当職種:
特許技術者の就職・転職支援を行う「リーガルジョブボード」の正田です。
本記事では、「特許技術者の年収」について、アンケート調査で得られたデータを用いて解説します。
特許技術者のリアルな年収を知りたい方、特許技術者への転職を検討している方はぜひご覧ください。
この記事の目次
特許技術者の平均年収は?
特許技術者の平均年収は、約600万円が目安です。一般的に、年収400〜700万円に該当する特許技術者の方が多い傾向にあります。
未経験の場合は年齢に関係なく、年収400〜450万円ほどからスタート。諸条件によりますが、初年度から年収500万円以上の方もいます。
特許技術者の年収は、年齢よりも実務経験やスキルによって評価されるケースが多いです。
そのため個人の経験値やスキル、就業先などの条件で年収はかなり変動します。
ここからは年収調査の結果を紹介します。特許技術者のリアルな年収データに興味をお持ちの方はぜひご覧ください。
現役の特許技術者に年収調査を実施
リーガルジョブマガジン編集部では、現役の特許技術者を対象に年収調査を実施しました。
- 調査対象:リーガルジョブボードの特許技術者会員
- 調査期間:2024年8月1日〜8月4日
- 有効回答数:27件
回答者の属性として、年齢は30代が特に多くなりました。
経験年数は10年以上が最多ですが、1年未満や1〜5年目の割合も高くなっています。
特許技術者のリアルな年収データ
今回の調査における特許技術者の年収分布は、以下のとおりです。
今回の調査では、年収500〜600万円の該当者が最も多く、中央値も年収500〜600万円でした。
業界的な傾向どおり、年収400〜700万円の該当者が多くなっています。
年収300〜400万円の該当者が一定数いたのは、回答者の約3割が経験1年未満だったことが関係していると考えられます。
また年収700万円以上の割合は、他のレンジに比べて少なくなりました。該当者の半数以上は経験10年以上で、やはり特許技術者の年収は経験値(経験年数)に比例する傾向にあると言えるでしょう。
経験年数別 特許技術者の年収分布
ここからは参考までに、経験年数別の年収分布を紹介します。
経験1年未満は、年収300〜400万円に該当する方が多いです。
補足として、初年度であっても年収300万円以下となるケースは稀であり、社会人経験がない方だった等の可能性が考えられます。
経験1〜5年目になると、年収400万円以上の割合が増加し、年収700万円を超えるケースもあることがわかります。
そして経験10年以上では、半数以上が年収500万円以上となりました。
一方で年収300〜400万円の該当者がいたのは、正社員ではなく業務委託などの働き方をしている、年齢などの理由で仕事をセーブしている、といった要因があると推測されます。
分野別 特許技術者の年収分布
今回の調査では、メインで担当している分野も回答いただいたため、分野別の年収分布をまとめました。
分野ごとの回答数に偏りがありますが、化学・バイオ系と機械系では、機械系の方が年収600万円以上の該当者が多くなっています。
ただ全体的に見て、分野別の年収分布に明らかな傾向があるとは言えない結果でした。
やはり特許技術者の年収は、経験年数や個人のスキル・能力によって変動すると考えられます。
特許技術者の年収事情
特許技術者の年収データを紹介しましたが、ここからは、給与体系・評価制度などを含む年収事情を解説します。
成果主義制度で給与が決まる傾向にある
特許技術者の年収は弁理士と同様に、成果主義制度に基づいて変動するケースが多いです。
特許技術者がメインで携わる明細書関連の業務は、1件ごとの区切りが明確であり、成果主義での評価がしやすいことが関係しています。
評価制度は事務所によって異なる
ただ特許技術者の年収が、完全に成果主義のみで決まるかというと、そうではないケースもあります。
実際に「給与のベースとして年齢給が設けられている」「勤務態度や上司からの評価も給与査定に影響する」といった特許事務所が一定数あるのです。
特許事務所では「弁理士資格」が重視される
特許事務所で年収を上げたい場合、弁理士資格を取得するに越したことはないでしょう。
出願手続の代行などは弁理士しか行えず、特許技術者よりも弁理士の方が年収が高い事務所がほとんどです。
また多くの特許事務所は「特許技術者が弁理士資格を取得すること」を推奨しています。
特許事務所に転職する際は、給与体系・評価制度や弁理士資格の取得に協力的かなど、入念に確認されることを推奨します。
ミスマッチを避けるため、情報収集をした上で、自分に合った職場かを検討しましょう。
特許技術者が弁理士になった場合の年収変化
実務の流れ・知識を身につけられること、多くの特許事務所は受験生に協力的なことから、特許技術者として働きながら弁理士合格を目指す方が多くいます。
では、特許技術者が弁理士資格を取得した場合、年収はどのくらい変動するのでしょうか。
年収の中央値を目安に比較してみます。
弊社が行った調査では、弁理士の年収の中央値は700〜800万円でした。一方で、特許技術者の年収の中央値は500〜600万円。
弁理士と特許技術者の年収を比較すると、中央値に200万円ほどの差があることがわかります。
また特許技術者としての実務経験があると、実務が全く未経験の弁理士に比べ、年収が高くなるケースが多いです。
企業知財部で働く場合の年収
特許に携わる仕事の一つとして、企業知財部で働く選択肢もあります。
※企業知財部で勤務する場合は、特許技術者ではなく知財部員になります。
企業知財部で働く場合、平均年収は約700万円です。
所属する企業によりますが、年収には400〜1,000万円ほどの幅があります。
あくまで企業の社員となるので、経験値だけでなく年齢や役職も年収に影響するケースが多いです。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
【実例】業界未経験で転職した特許技術者の年収
知財業界が未経験の状態から、特許技術者へと転職した事例2選をご紹介いたします。
〈Aさん〉研究職:年収530万円 → 特許技術者:年収600万円
▼プロフィール
30代・男性。研究開発の経験5年。
▼特許技術者を目指した理由
大手メーカーで研究職として働いていましたが、研究開発経験を活かして、手に職を付けて長く働ける人材になりたいと考えたため転職を決意。
▼エージェントメモ
人柄はもちろんのこと、研究開発5年という経験を評価され前職よりも年収アップで入職が決定いたしました。
〈Bさん〉大学院卒 → 特許技術者:年収380万円
▼プロフィール
20代半ば・男性。大学院生。
▼特許技術者を目指した理由
もともと知財に興味があり、自身が研究を行うよりも、他者の研究を守る立場になりたいと考え特許事務所への就職を決意。
▼エージェントメモ
知財業界に携わりたいという意欲が強く、弁理士資格取得を目指し意欲的に勉強に励んでいる点も高評価で、新卒として特許事務所へ入職が決定いたしました。
まとめ
- 特許技術者27名のうち、約60%が「年収300〜600万円」に該当。中央値は「年収500〜600万円」だった。
- 特許技術者の年収には、経験年数(経験値)が影響している傾向あり。経験1〜5年目で「年収400万円以上」の割合が増加。
- 特許技術者と弁理士の年収データの中央値には、200万円ほどの差がある。
▼特許技術者に転職するかお悩みの方はこちら
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