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弁理士の平均年収を年齢別や勤務先別(特許事務所/企業知財部/特許庁)で解説

by LEGAL JOB BOARD 三島善太
転職エージェント
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こんにちは。弁理士の転職エージェント「リーガルジョブボード」の三島です。
本記事では「弁理士の平均年収や年収を上げる方法」について解説します。具体的な内容は以下です。
- 弁理士の平均年収
- 弁理士のなり方
- 弁理士の業務内容
- 弁理士試験の難易度
- 年収を上げる方法
年収について気になっている現役弁理士の方はもちろん、弁理士になることを検討中の方も、ぜひご覧ください。
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この記事の目次
弁理士の年収は700万円〜750万円
弁理士の平均年収は700万円〜750万円です。日本の一般的な平均年収(約420万円)と比較すると、弁理士の年収は高給であると言えます。
ただしもっと細かく言うと、弁理士の年収は「勤務先」や「自分のスキル」によって大きく変わります。そのため、弁理士になれば平均年収を確実に得られる、とは言い切れません。
そこで弁理士の年収についてさらに詳しく解説していこうと思いますが、その前に、弁理士の仕事や役割について触れておきます。
弁理士の仕事内容や役割
弁理士の仕事は、特許の申請や出願を代理で行うことです。要するに「知的財産」の専門家と言えます。「知的財産」とは、特許権・実用新案権・意匠権・商標権など。専門性を求められる職業のため、「とある分野のスペシャリストになりたい」という気持ちが強い方は向いている仕事かもしれません。
弁理士の仕事内容やなり方、魅力については以下の記事で詳しく解説しています。
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弁理士試験の難易度
弁理士になるには、弁理士試験を突破しなければなりません。合格率が7%ほどである弁理士試験は、非常に難関な試験だと言えるでしょう。弁理士試験は誰でも受けられますが、求められる勉強時間は膨大で、乗り越えるべきハードルは高いです。
弁理士試験の難易度や勉強時間についての詳しい情報は以下の記事で解説されています。
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弁理士の年収は勤め先の「事務所・法人種別」によって変わる
さて、弁理士の年収のお話に戻ります。実は弁理士の年収は、所属先や地域、報酬制度によって大きく変わります。
特許事務所 | 企業知財部 | 特許庁 | |
平均年収 | 700万円 | 700万円 | 750万円 |
20代 | 350万円 | 350万円 | 400万円 |
30代 | 個人による | 600万円 | 650万円 |
40代 | 個人による | 800万円 | 850万円 |
50代 | 個人による | 1000万円 | 1000万円 |
弁理士の主な所属先は
- 特許事務所
- 企業知財部
- 特許庁
です。所属先で年収は変わるということです。特に「特許事務所」の年収は大きく変わります。理由は、特許事務所に勤める場合、年齢ではなく個人スキルが圧倒的に年収に影響するからです。特許事務所は弁理士の一番主要な所属先です。
「特許事務所」に勤めた場合の平均年収
特許事務所の場合の平均年収は、約700万円です。ただし特許事務所の年収は、実務経験の有無や勤続年数によって大きく変わるため、個人によって本当にさまざまです。年齢別で平均年収を出せないのはこのためです。
例えば未経験の弁理士の場合、年齢がいくつであっても、平均的に年収450万円程度からスタートします。そこから徐々にアップしていくケースが多いです。
ただここ最近、事務所の若返りを図ることを目的に、30代までの若手弁理士採用に力を入れている事務所も多くなってきました。そのため一流大学出身の方や大手企業にて研究開発などに従事された若手の方は、初年度から年収550万円~600万円が支給される、というケースもあります。
また、自分一人で案件の担当を任せてもらえるようになると、経験値・案件量・報酬制度次第で年収800万円~1000万円以上も可能な業界となっています。
成果主義による年収の変動
特許事務所に勤める場合、弁理士の年収は成果主義制度によって決まるケースが多いです。なぜならば、特許事務所における弁理士の業務内容は、出願書類作成がメインであるからです。
そういった仕事は1件1件の区切りが非常に明確で、1つの案件を1人が最初から最後まで担当するため、成果主義での評価がしやすく、多くの事務所で成果主義が採用されています。
成果主義の歩合率
特許事務所の歩合率は基本的に「売上の30%」であるところが多いです。すなわち「自分が担当した売上の30%が年収になる」と言えます。例えば成果主義である特許事務所で年収1000万円を目指す場合、単純計算で3000万円の売上を作る必要があります。
また、成果主義を採用している事務所の場合、各案件の売上額をそのままダイレクトに賞与や給与に反映させる完全歩合制の事務所もあります。
補足として、下記は年収に関わるとても重要な項目です。
- 国内案件、内外出願案件、外内出願によって出願費用額が異なる
- クライアントによって請求する費用額が異なる
そのため、転職時に「国内出願時の書類作成をどれぐらいのペースで仕上げていたのか」「国内対応をしながら内外案件はどの程度対応していたのか」を確認し、希望年収に対してのポテンシャルがあるか採用担当者は見極めています。
就業先によって評価制度が異なる
ここまで「特許事務所は成果主義であり、成果の歩合によって年収が決まる」と解説しました。そのため「どの事務所でも出願件数に応じて年収が評価される」と思われがち。しかし実は就業先によって評価制度が異なる場合もあります。
職場によっては、
- 年功序列形式で年収が上がっていく
- 事務所の業績に応じて賞与が均等に支給
- クライアントからの評価に応じて昇給
というふうに年収を決めているところも。「出願数重視で自分の価値が評価されるのが合わない」と感じられる方は、成果主義での昇給を行っていない事務所へ転職をすることもおすすめします。
どの評価制度にもメリット・デメリットがあるので、特許事務所に入職する前に、年収の評価基準について入念に検討しましょう。
成果主義か成果主義でないのか、どちらが自分に合っているかを考えておくことが重要です。
「企業知財部」に勤めた場合の平均年収
企業知財部の場合の平均年収は、約700万円です。弁理士の転職先として特許事務所の次にメジャーなのが企業知財部(一般企業の知財部)です。
企業内の弁理士の平均年収も特許事務所と同じく、一般的に700万円程度です。近年はグローバル化やIT革命に伴って、企業における弁理士の需要も高まりつつあります。
企業内弁理士は役職が付くと年収アップ
企業の中では、弁理士だからといって年収が大きく変わるケースはあまり多くはありません。月に数万円の資格手当が支給される程度となります。
※弁理士資格手当は2万円~10万円程度(企業によって異なる)
しかし、知財部長や法務部長などの役職に就き、通常の知財業務だけでなくマネジメントも行えるようになると、年収1000万円以上になるケースもあります。
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大手企業は最初から年収800万円以上の場合もある
大手企業の知財部の場合、年収800万円以上の求人も存在します。しかし高年収の求人は、未経験での採用ではなく、企業の知財部にて実務経験が豊富な方を即戦力として採用するケースが多いです。
また、英語力や年齢制限も応募条件として設けている場合も多く、非常に狭き門となっています。ただその分、給与も安定的に上がっていく傾向が強く、安心感があることが特徴でもあります。
最近は、特許事務所である程度経験を積んできた方が企業知財部への転職を目指をしたいと考える方が増えてきて、「年収が少し下がっても良いので働いてみたい」と考え、特許事務所から転職をされる方もいらっしゃいます。
住宅手当や福利厚生で可処分所得が変わる
企業知財部のメリットとして、職場環境や福利厚生が整っている点が挙げられます。知財部で働く場合、年収面だけで見ると、成果報酬型を採用している特許事務所よりも低く見える場合があります。
しかし住宅手当や家族手当が豊富であるため、社員食堂がある企業を選べば、可処分所得はむしろ特許事務所よりも大きくなるケースも。
最近ではオフィス内に託児所やバーがある企業や、ユニークな福利厚生を採用している企業も増えてきているので、年収だけでなく職場環境や手当なども確認してみましょう。
「特許庁」で働く弁理士の年収
特許庁の場合の平均年収は、任期付き審査官として働く場合は約850万円、審査官補助として働く場合は約550万円です。特許庁で「任期付き審査官」「審査官補助」として働く弁理士もいます。
任期付き審査官として働く場合の平均年収は700万円~1000万円、審査官補助として働く場合は500万円~600万円です。任期は5年~10年で、5年で契約満了または更新ができる可能性があります。
発明内容の理解や先行技術調査といった特許審査業務に加え、発展途上国へ制度調和の推進や制度の見直し、ベンチャー企業や大学の支援なども行っており、特許事務所などで働く場合とは仕事の内容も変わります。
独立弁理士の年収ケース
独立した弁理士の年収は、案件量も担保し続けられれば1000万円を超えるケースはよくあります。事業が波に乗れば年収2000万円、3000万円を超える弁理士もいらっしゃいます。クライアントの数や営業力によっては、特許事務所や知財部よりも稼ぎやすくなると言えます。
独立は、個人の裁量で規模を拡大できるという点が魅力です。ビジネスの才覚があり、事業を拡大していける方であれば、勤務弁理士の限界を超えて稼ぐことができます。もちろん、その分のリスクもあります。
開業資金は1000万円程度を推奨されていますが、その初期費用を考えても、クライアントを抱えている弁理士からすると独立という道もありなのではないでしょうか。その反面、クライアントの獲得が難しく満足に稼げないこともあり、出願業務以外の部分でのビジネス力が試されます。
年収アップを目指したい弁理士の方へ
職場ごとの年収アップ方法は前述しましたが、転職もまた、年収を上げる一つの手段です。
弁理士・知財専門エージェント「リーガルジョブボード」が、あなたの市場価値やスキルをふまえ、年収アップが見込める求人をご紹介いたします。
以下のようなお悩みをお持ちの方も、お気軽にご相談ください。
- 自分の市場価値を知りたい
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まとめ
本記事をまとめると下記のようになります。
- 弁理士全体の平均年収は700万円程度で、他の職業と比べると高め
- 平均年収は働く場所によって大きく変わる
- 就職や転職によって年収が大幅に変わる
弁理士は働く場所によって収入だけではなく、福利厚生などの待遇面も大きく変わってきます。世の中には、必ず自分の働きやすい環境がありますので、まずは情報収集から始めることを推奨します。