企業法務事務所に就職したい司法修習生は「地方」がおすすめな理由
by LEGAL JOB BOARD 青木
コンサルタント
- 担当職種:
こんにちは。弁護士の転職エージェント「リーガルジョブボード」の青木です。
実はいま、企業法務系の法律事務所を経験したい司法修習生から「地方エリア」が注目されています。
競争率が高くなかなか内定の出ない「都心部の企業法務系法律事務所」に比べ、地方エリアの企業法務を取り扱う事務所は比較的挑戦しやすいからです。
・都心の大手企業法務系事務所は、予備試験後すでに採用を締め切っていることが多くタイミングを逃すと応募できない
・77期からロースクール在学中でも試験が受けられるため、事務所の定員は変わらないのにライバルが増える可能性がある
上記のような背景から、都心で企業法務系法律事務所の難易度が高く、 司法修習生の就職先候補として「地方就職」が徐々に検討され始めてきているのです。
「地方エリアへの就職はちょっと..」
「地方エリアと都市エリアの違いってどうなんだろう?」
このようなお悩みを持った方にこそ、特に本記事をご覧いただきたいです。本記事を読むと、
- 地方エリアで働くメリット・デメリットが分かる
- 地方で働くイメージが湧くようになる
- 最初の就業先の候補が広がる
といった変化が訪れると思うので、ぜひご覧ください。
特に「企業法務系の事務所に就職したいけど、なかなか内定が出ない」という方も、地方就職なら内定の可能性が上がるかもしれません。
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この記事の目次
都心部の企業法務系事務所の選考が難しい理由
「企業法務系の法律事務所を受けているんだけど、希望の事務所から内定が出ない」
「幅広く業務を経験積みたいから、まずは難易度の高い企業法務系の法律事務所に行きたい」
この記事を読んでいらっしゃる方は、このような状態の方が多いのではないでしょうか?大抵の場合は、
- 弁護士事務所の数がたくさんある
- 名の知れた事務所が固まっている
このような理由から、東京、大阪を中心とした大都市での就職を考えていると思います。
しかし実際に就職活動を始めると、企業法務系事務所への就職難易度が想像以上に高い事を感じるはずです。特に5大法律事務所の選考難易度は高いです。
ジュリナビの74期司法修習生就活状況調査によると、5大法律事務所に所属している弁護士は事務所所属の弁護士の約5人に1人と全体の20%程度です。
難関な弁護士試験を勝ち抜いた中での倍率と考えると、かなりの難易度と言えます。そんな企業法務系事務所が選考難易度が高い理由は主に2つあります。
1つ目の理由は「競争倍率が高いから」です。ファーストキャリアで企業法務の経験を積みたいという方は多く、数多くの応募者の中から勝ち残らなければいけません。
2つ目の理由は「書類選考の足切り」があるからです。5大法律事務所を中心に企業法務系の事務所では、書類選考での足切りの基準が高い傾向にあります。特に以下2点での足切りが行われます。
- 司法試験の順位
- 出身大学/大学院
など、学術面でのポテンシャルを重要視しています。
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企業法務系の法律事務所に就職するなら「地方就職」をおすすめする6つの理由
都心部の企業法務系法律事務所が難しい理由をこれまで解説してきました。ここからは、「地方エリアの企業法務系法律事務所」を就職先としておすすめする理由を解説していきます。
採用の倍率が低いから
地方では、前述した大都市にある企業法務系の法律事務所と比べ
- ライバルとなる応募者の数
- 書類選考の足切り
この2点の要素で、採用の倍率が低い傾向にあります。応募者数が少なく、また書類選考の足切り人数も都心部に比べて少ないことから内定が比較的獲得しやすいのです。
また企業法務系の案件を地方で積むことで最終的なゴールとして、大都市の企業法務系事務所への転職というキャリアも実現する事が可能です。
企業法務を含めたさまざまな案件を担当できるから
地方にある法律事務所は、さまざまな種類の案件が入ってくる傾向にあります。
東京や大阪などの大都市と比べ地方は法律事務所の数が少なく、事務所間の競争も少ないです。よって地方の法律事務所は、東京や大阪のように専門特化して他所との差別化を図ろうという動きはそこまでありません。
よって地方の法律事務所のほとんどは、幅広い案件を取り扱っています。つまり弁護士にとっては、幅広い分野を経験できるというメリットがあります。
「企業法務を中心にやりたいけど、他の適性もあるか知りたい」というニーズがある方には、特に申し分ない環境と言えるでしょう。
持てる裁量権が若手から大きいから
地方エリアの法律事務所は、都心部の事務所に比べて「若いうちから裁量権を持てる」環境が多いです。そもそもの弁護士数が少なく1人当たりの案件数が多いことや、都心部の法律事務所のような大きな研修を必要としないことが多いからです。
若手の時代から裁量権を持った業務経験があると、その後の転職活動で大きく有利になります。
「地域密着」という地方ならではのやりがいがあるから
地域密着で仕事をしていくケースが多く、クライアントの距離感も近くなります。
また、地域での人付き合いから案件を依頼されるケースがあるといった点でも、地域や周囲に対してく貢献する事が出来ます。
土地や物価が安いから
給与の水準は大都市に比べると見劣りするかもしれませんが、一方で支出を抑えて生活がしやすいです。土地代が安ければ、「広い家を建てて暮らしたい」といった願いを早期に実現できるでしょう。
自然に近い環境で生活できるから
ハードワークである弁護士業務のストレス解消に、自然に近い環境で過ごすことは一つの有効策になるでしょう。
もちろん、都心部に比べて商業施設や飲食店などが充実していない点もあるので、どちらが自分にとって快適と感じるのかは見極めが必要です。
司法修習生が地方エリアに就職するデメリット
魅力的な選択肢として映る地方就職ですが、一方でデメリットもあります。
最も大きなデメリットに「弁護士業務以外での雑務の対応時間の多さ」が挙げられます。例えば弁護士会の運営人数は地方の方が少なく、一人辺りの雑務処理が増えてしまいます。
しかしながら、弁護士会を通した横のつながりを作りやすいというメリットも存在し、共同受任の誘いや、現場間での情報交換の機会が広がります。
それ以外のデメリットは以下が挙げられます。
- 車がないと移動が厳しい
- 定性的な評価が広まりやすい
- 特殊な案件が対応できない可能性がある
まず1点目ですが、地方エリアに就職すると通勤を含め基本的には車移動が多いです。一方で満員電車のストレスがない為、働きやすくなったと変わる方もいらっしゃいます。
また2点目ですが、弁護士としての活動を行ううちに、相手方の弁護士や、その他司法関係者共がお互いを認識しているのはもちろん、顔と名前もだいたい一致する事も多いようです。そのため良い噂も悪い噂も評判は広まりやすい傾向にあるでしょう。
3点目ですが、最先端の技術(メタバース)や、知的財産、加えて「大企業」の案件 などは、人口や主要機能が密集している東京、大阪でないと経験を積むことが難しいケースが多いです。既にやりたい案件が明確な場合は、地方事務所でその業務を担当した過去の実績があるか面接時に確認してみましょう。
地方の企業法務系法律事務所に就職した実例
実際に「地方エリアの企業法務系の法律事務所に就職した実例(Aさん)」をご紹介いたします。実例を見ることで、地方就職した際のイメージがつきやすくなるかと思います。
※Aさんは、弁護士の転職サイト「リーガルジョブボード」で地方就職をされた司法修習生です。
▽Aさんのプロフィール
年齢:20代後半
性別:男性
家族構成:婚約済み
▽地方就職を考えたきっかけ
地方就職を考えたきっかけは「優先順位の見直し」。
当初は「東京エリア」かつ「企業法務もしくはインハウス」を就職先候補として考え就活を進めていたが、都心部では一般民事系事務所に比べ企業法務系事務所の求人が圧倒的に少ないことを痛感。数少ない求人に応募し続けるも「お見送り」の結果が続いていた。
そんな時にもう一度自己分析を行う。結果、将来実現したいキャリアから逆算して考えた時、優先すべき就活の軸は「勤務地」より「経験業務」であると判断。「東京以外の勤務地」にて、一般民事と企業法務・インハウス両方が経験できる法律事務所を新たに応募し、内定を獲得。
▽地方就職後は都心部の企業法務系事務所に入職
地方エリアの法律事務所にて、一般民事と企業法務の実務経験を積んでいき、4年後に転職を決意。司法修習生の当初実現できなかった「都心部にある企業法務系の法律事務所へ就職」を叶えるべく、複数の選考を受ける。若くして企業法務の経験があることが評価され、東京都内にある企業務系事務所(インハウス)に転職。
▽地方就職をする上での懸念点
地方就職を考えようとした際、次の3つを懸念に考えていた。
- 地方事務所から東京に行けるのか
- 案件が本当にあるのか
- 地方の先生が東京の先生と比較してレベルが高いのか
これらは求人ごとに必ずチェックしていた。自分での情報収集は限界があったので、職場口コミサイトや転職エージェントから情報を聞き出し、可能な限りリサーチ活動を実施した。
▽地方就職をファーストキャリアとして迎えてみての所感
「将来のキャリア」を最優先とし、そこから逆算して考えた時に「勤務地に囚われる必要はない」と気付けたのが大きかった。将来的なキャリアを考えた際に重要だった点が「一般民事・企業法務ともに幅広く経験すること」だったため。
また今振り返ると、一点ちょっと勘違いしていた点が「企業法務=大企業」というイメージ。実際は、企業法務の本質的な業務は大企業以外でもできる。それこそ地方エリアでも。
また、企業法務は一般民事と比較し難易度が高いため、若手ではあまり経験できない印象があるが、地方だと限られた人員の中で案件をこなすため、早い段階から企業法務を経験できるというチャンスもまた地方就職の決め手となった。
おすすめの地方エリアの求人
充実した教育体制と働きやすさが魅力の事務所です。企業法務を中核として一般民事や刑事事件も扱っているため、幅広い案件を担当することができます。初年度は種々の案件を担当し、その後本人の意向を踏まえて専門分野を伸ばすことができます。事件を先輩弁護士と共同で受任しながら指導を受けられるため、安心して働けることも特徴です。
中小企業の抱える諸問題の解決に強みを持つ事務所です。地域の中小企業支援を積極的に行っており、企業法務を中心に個人の案件も数多く手掛けています。個人の裁量が重視され、自由度の高い環境で働くことができます。20~30代のメンバーが多いことや、個人受任が可能なことも特徴です。
地域に根差した法律事務所として、県内最大規模を誇る事務所です。民事・商事・家事・刑事などさまざまな分野に力を入れているため、特定の分野に限定されず若手のうちから多様な案件に携わることができます。福利厚生が充実しており、ワークライフバランスを実現しやすいことも魅力です。
司法修習生の就職相談を毎日承っています
都心部の企業法務系の法律事務所はなかなか難易度が高いですが、企業法務系の実務経験が積める法律事務所自体は、都心部以外にも多数存在します。
地方就職を経てから都心部の企業法務系法律事務所へ転職を実現するというキャリアパスもございますので、司法修習生のファーストキャリアを考える際は広い視点で求人を見ていただくことをおすすめいたします。
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