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弁護士は仕事がないと言われる理由や真実|儲かる弁護士になる方法も解説

弁護士は仕事がないと言われる理由や真実|儲かる弁護士になる方法も解説

by 大阪弁護士会所属 弁護士M

弁護士(14年目)

担当職種:
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弁護士は仕事がないと言われる理由や真実|儲かる弁護士になる方法も解説

本記事では、現役弁護士の私が「弁護士は仕事がないと言われる理由や実際どうなのか」などを解説します。

弁護士を目指そうとしている方や司法修習生、就活中の弁護士の中には、「弁護士は仕事がない・儲からないと聞いたけど本当だろうか?」と不安を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論から言うと、弁護士は今も十分に仕事があり、需要もあります。一部では「仕事がない」などと言われているようですが、実態はそうではありません。

そこで本記事では、弁護士は儲からないと噂される理由や実情、稼げる弁護士になるための方法を解説します。

弁護士は「儲からない」「仕事がない」と言われる理由

まず、弁護士が「儲からない」「仕事がない」「食えない」と言われる理由を、以下に挙げます。

弁護士数の増加

1999年以降、法務省は司法制度改革に取り組み始めました。司法制度改革は要するに、国民がより容易に法的サービスを利用することができる環境を整えるための改革といえます。

法務省の説明によると、司法制度改革の目的は「社会の複雑、多様化、国際化などに加え、規制緩和などの改革による社会の様々な変化に伴って、司法の機能を充実強化し、国民が身近に利用することができ、社会の法的ニーズに的確にこたえることができる司法制度を構築すること」です。

その司法制度改革の一端として、法務省は弁護士数の増加に着手しました。

2004年にロースクールが開設され、2006年より新司法試験制度が始まり、毎年の司法試験合格者は倍増しました。現在の合格者数は、年に約1,500人で推移しています。新司法試験制度が始まるまでの合格者数は、少ない年で500人、多くても1,000人前後でした。

司法試験合格者数の増加により、2006年以降は弁護士数も増加しています。新司法試験が始まった2006年は日本全体で約2万2,000人だった弁護士数が、2019年には約4万1,000人となり、ほぼ倍になりました。

そのため、仕事がない弁護士もいるのではないか、弁護士の収入が全体的に下がってきているのではないかと一部で言われるようになった経緯があります。

確かに、弁護士数が増加したことで統計上の全体としての収入が下がったという面はあるかもしれません。

しかし、それでも大多数の弁護士が日々忙しくしており、比較的高い給与を得ています。実際に働いている弁護士の感覚としては、仕事がないとか収入が減ったという感覚はありません。

仕事がない弁護士が増えたわけではなく、仕事が少ないために収入が低い弁護士も一部にはいる、というのが正しいかと思います。

事件数の減少

司法制度改革は、潜在的な法的ニーズに応えるという目的も含まれています。

つまり、弁護士数が増えて相談しやすくなることで、これまで事件化されていなかった事案も訴訟等へと事件化される。その結果、弁護士数に見合うだけのニーズがあるだろう、というのが法務省の見込みでした。

しかし、ある調査によれば、弁護士の受任件数は減少傾向にあるようです。平成21年(2009年)頃の年間約25万件がピークで、2015年には約15万件にまで減少したというデータがあります。

法務省の見込み違いから、弁護士数が増加しても受任件数は減少傾向にあるため、弁護士には仕事がなく収入も減っていると言われることがあります。

ただ、このデータは、訴訟化されたもの等をベースにしているにすぎません。弁護士の業務には、訴訟前に示談交渉等で解決するケースもあり、訴訟化された事件数だけを参考にするのは正確とはいえないでしょう。

さらに、近年は企業が弁護士を雇用したり(インハウスローヤー)、企業や法人で問題が起きると設置される第三者委員会に弁護士が含まれていることが多いです。

このような社会的ニーズにより、今までになかった弁護士の需要が拡大しており、単純な訴訟事件の数だけでは弁護士の需要が減少したとは言えません。

報酬の自由化

かつて、弁護士報酬は一律でした。弁護士報酬とは、法律相談の相談料、示談・訴訟を含めた法律案件の事件の着手金、事件終了後の報酬のことです。

以前はどの弁護士であっても、日本弁護士連合会(日弁連)が定める報酬規程に則った金額しか受け取れませんでした。

しかし、司法制度改革により、弁護士報酬を自由化しようという動きがあり、平成16年(2004年)に弁護士報酬は自由化されました。

それにより、弁護士は自由に料金設定をできるようになりました。CM等でも「着手金無料」などとうたっている法律事務所もありますね。

この報酬自由化により、弁護士間で価格競争が起き、全体的に弁護士の収入が下がったと言われることがあります。

しかし、現在でも、ほとんどの法律事務所は以前の日弁連の報酬基準を参照し、料金を設定しています。着手金無料の事務所でも、その分報酬を上げるなど、最終的な着手金・報酬の合計額は旧日弁連基準と大差ありません。

したがって、実際に執務している弁護士の感覚からして、弁護士報酬を自由化したことで価格競争が起きているという実感はありません。

法テラス経由の事件の増加

法テラス(日本司法支援センター)とは、2006年に国が設立した法務省所管の法人で、総合法律支援に関する事業を迅速・適切に行うことを目的としています。

法テラス経由の事件は、経済的に苦しい依頼者が弁護士に事件を依頼する際に、法テラスが弁護士への着手金・報酬を立て替えて支払い、依頼者は法テラスに分割で支払っていく仕組みです。

そしてこの場合、弁護士への着手金・報酬は法テラスが決定しており、その金額は旧弁護士会報酬規程の約3分の2程度となっています。

そのため、法テラス経由の事件が増加すると、弁護士が得る着手金・報酬が下がり、結果的に弁護士の収入が減ったと言われることがあります。

しかし、法テラス制度は、経済的困窮などを理由にこれまで弁護士を利用できなかった方が弁護士に依頼する途を開くものです。むしろ、弁護士の業務拡大に貢献していると言えるでしょう。

したがって、法テラス経由の事件が増えたことで弁護士の収入が減ったということはありません。

過払金バブルの終焉

消費者金融等からの借金を月々返済をしていた人が、利息制限法に則って計算すると実際は返し過ぎ(払い過ぎ)ていた場合、その払い過ぎの部分を返還を求めるのが過払金請求です。

これは、かつて利息制限法と貸金業法とで定める上限利率が異なっていたために生じていました。

弁護士が過払金請求を代理することで、弁護士会には一時過払金バブルが起きました。

というのも、過払金は借入の日付、金額と返済の日付、金額をソフトに入力すれば自動的に算定されます。この作業は事務員でも行えるので、流れ作業で簡単に金額が算定できるということです。

弁護士は代理人として返金請求を行い、返金額の20%程度を報酬として受領します。この過払金請求の増加により弁護士業界では過払金バブルが起き、過払金を専門に扱う法律事務所も現れました。

しかし、平成22年(2010年)に利息制限法と貸金業法の利率が統一され、同年以後の返済分では過払金が生じないこととなりました。

そのため、過払金請求の事件数・請求金額は年々減ってきています。過払金の消滅時効は最終返済から10年ですので、現在ではほとんど事案がなくなったと言えるでしょう。

過払金請求事件が減ったことで弁護士の収入が減ったと言われることがありますが、利息制限法と貸金業法の違いで生じた特需的な案件であり、それによって弁護士の収入や仕事がなくなったとは言えません。

結論:弁護士は稼げる

確かに昔の弁護士に比べ、弁護士数の増加や過払金バブルの終焉などを経て、相対的な収入は減っている可能性があります。

しかし、世間一般や同年代と比較すると、まだまだ弁護士は稼げる仕事と言えるでしょう。

弁護士は各都道府県ごとの弁護士会に所属しており(東京都だけは弁護士会が3つに分かれています)、弁護士会を通して、法律相談や刑事国選事件といった仕事も回ってきます。

また、破産管財人や後見人等、裁判所から選任される事案もあります。他に自身が受任する事件もありますので、仕事がなくて困窮している弁護士は少ないように思います。多くの弁護士は日々仕事に追われています。

こうした弁護士の実態からしますと、生活に困窮している弁護士というのはごくわずかだと考えられます。

弁護士の将来性

前述してきた内容から、弁護士の将来性はまだまだあると言えます。

弁護士は法律業務全般を担っており、社会で起きるほとんどの出来事には法律が関連しています。法律が関連するところには常に、弁護士としての業務が発生する可能性があります。

また、かつての「過払金バブル」のような事態が、今後は別の分野で起きる可能性も十分にあります。

どこの分野でどのようなニーズが発生するかは、弁護士各人の努力次第でしょう。弁護士業務自体が先細りで斜陽産業であるということは決してありません。社会において、発見されていない弁護士の潜在ニーズはまだまだ在るものと感じます。

以下の記事では、弁護士の将来性について詳しく書かれているのであわせてご覧ください。

弁護士の平均年収

2018年に日弁連が全国の弁護士を対象に行った調査によると、新司法試験制度が始まった2006年当時の弁護士の平均所得は年収1,748万円でしたが、2018年の弁護士の平均所得は959万円と、半分近くにまで減っています。

この平均所得が低くなったとはいえ、他の業種と比較して高いことに変わりありません。

また、この調査はアンケートであり、事務所の賃料などの経費を控除した金額も含まれており、弁護士所得の実態としてはもう少し高いでしょう。

将来性のある弁護士の勤務先や事務所

ここからは、将来性のある弁護士の勤務先や事務所についてご紹介します。

弁護士は多種多様な業務を行えます。どこの法律事務所に就職するかは自由ですし、就職せずに独立すること、企業内弁護士になることもできます。

なかでも、法律事務所への就職や企業内弁護士になることを考えている方は、以下のような視点で探すのも一つの方法でしょう。

AIや電子化を積極的に導入している法律事務所

弁護士の業務は専ら文書作成ですが、こうした作業にパソコンは不可欠です。

かつての「町弁」といわれる法律事務所では、手書きで文書作成しているところもありましたが、現在では皆無といえます。

司法制度改革の中で、裁判所の手続きも電子化していっています。

現状、訴訟等では電話会議が導入されているだけですが、今後はオンラインによる期日開催、電子データによる訴状・証拠の提出なども導入される予定です。法律相談なども、今後はオンラインでも行われるようになっていくでしょう。

現在の社会の動きからして、AIの活用や電子化への対応は不可欠です。そういった動きに柔軟に対応できる事務所は、将来性がある法律事務所といえます。

弁護士の採用活動を積極的に行っている企業

AIの活用や電子化とは真逆と言えるかもしれませんが、やはり契約事等の最終的なところでは、人と人の人間関係が不可欠です。

AIの活用などでむしろ、これまで以上に人と人のつながりは重要になってきます。SNSの活用も良い例です。

こうした人と人とを結びつける業務というのは、これからも社会において必要とされるでしょう。そして、そこには当然、法律も関わってきますので、弁護士としての業務が発生する可能性は十分にあります。

仕事がない弁護士の対策

弁護士の中には、仕事がない人もいるでしょう。

ただ、弁護士業務自体がないわけではありません。自身の活動領域を広めていけば、自ずと仕事に結びつくはずです。

そこで以下では、具体的な仕事獲得の方法をご紹介します。

弁護士会の活動への参加

まずは、弁護士会の活動に積極的に参加しましょう。

経験のない、あるいは乏しい分野について、弁護士会がOJT(弁護士会が選任する先輩弁護士と一緒に事件を処理したりする制度です)を行っていたり、研修を実施していたりします。

また、弁護士会では一定の専門分野ごとに委員会を設けて委員会活動を行っています。

委員会活動に積極的に参加して、先輩弁護士の話を聞いたり、繋がりができてくれば、委員会の弁護士と共同で事件を受任したりできます。

OJTや研修、委員会活動に参加すれば、他の弁護士の仕事ぶりを見たり学んだりして、弁護士としての腕を磨くこともできるでしょう。

さまざまな交流・集まりに参加

全く知らない弁護士に事件を依頼する人は少ないです。色々な人と接点を持っておくことが、仕事獲得につながります。

そのためには積極的に、多様な人々が集まる「交流会なるもの」に参加しましょう。

例えば異業種交流会や、起業家の集まりです。私の周りでは、日本青年会議所(JC)に参加している弁護士も多いです。

できれば1回限りの会ではなく、月に1回や半年に1回などの定期的に行われている会に参加してください。このような交流から、依頼につながるケースは少なくありません。

ネットワークを広げるのも弁護士の仕事のうちの一つなので、積極的に交流を行いましょう。

業務内容の拡大

弁護士は資格上、税理士・司法書士・行政書士を兼ねており、法律業務全般を扱うことができます。ですので、既存の弁護士業務に捉われる必要はありません。

当然、他業の業務を何らの経験もないまま取り扱うことは危険です。十分な法的サービスを提供できない危険性があります。

ですので、弁護士が着手できる範囲内の分野については、とことん勉強しましょう。ご自身が興味あることならば何でも良いと思います。

既存の分野(例えば医療訴訟や、交通事故訴訟等)でも深く勉強していけば、専門性が高まり、キャリアとして評価されて仕事獲得につながる可能性も十分にあるでしょう。

稼げる弁護士になる方法やキャリアの積み方

最後に、稼げる弁護士になるための方法やキャリアの積み方について解説します。

以下を踏まえることで、仕事がないような状況には陥らなくなるでしょう。

まずは事件を誠実に処理すること

弁護士業界では、「依頼者に勝る紹介者はいない」と言われたりします。

受任している事件を誠実に処理し、依頼者が満足すれば、新たに何か起きた時に再度依頼してくれますし、新しい依頼者を紹介してくれることもあります。

自身のキャリアアップのために上を見るだけでなく、取り組んでいる事件を誠実に処理することが何よりも重要です。

勉強を重ねる

弁護士の業務は多岐にわたります。今現在は弁護士の仕事とされていないことも、新たに弁護士業務へとつながる可能性もあります。

そのためには、日々勉強することが重要だと考えます。法律図書や弁護士会の研修を受けて自身の専門性を高めていくというのも一つの方法ですし、一見すると法律に関係のないことでも、学んでみると法律が関連してくるということもあるでしょう。

他業士の仕事を学ぶというのも方法の一つです。

目標を定めて勉強していくことが、将来の仕事獲得につながります。

高年収の法律事務所に入職する

五大法律事務所外資系法律事務所企業法務系の法律事務所は、高年収が実現できる事務所です。

入職難易度は高いですが、一度これらの事務所でキャリアを積むことで、弁護士としての市場価値が大きく向上します。まず、仕事がなくなることはないでしょう。

企業内弁護士(インハウスローヤー)にキャリアチェンジする

企業内弁護士(インハウスローヤー)という道もあります。

所属先が法律事務所ではなく企業になるため、安定して仕事を引き受けることができます。

もちろん、勤め先の企業の経営状況にはよりますが、安定・選択肢の多さという面では企業ならではのメリットが多いです。

弁護士は転職エージェントを活用すると内定が出やすい理由

現在、司法修習生や転職活動中という方は、転職エージェントの活用をおすすめします。

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この記事の執筆者

大阪弁護士会所属 弁護士M

弁護士(14年目)

担当職種:
  • 弁護士

大阪弁護士会に所属する、登録14年目の弁護士。大阪大学法学部卒業後、一般民事事件を主に取り扱う法律事務所に勤務。弁護士業務に従事しつつ、法的内容を扱う記事監修も行っている。

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