【司法修習生】給付金はいくら?給与と違う?引っ越し費用・タイミングも解説
by LEGAL JOB BOARD 横山
コンサルタント
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こんにちは。 弁護士・司法修習生に特化したキャリア支援を行う「リーガルジョブボード」の横山です。
本記事では、「司法修習生の修習給付金や引っ越し」に関連し、以下のような内容を解説します。
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この記事の目次
司法修習生は給与がもらえる?
司法修習生には、月13万5,000円~17万円の修習給付金が支給されます。給付期間は、修習の開始日から最終日までです。厳密に言うと給与ではありませんが「給費制」なので返還は不要です。
司法修習生は国家公務員に準じた身分として扱われ、「修習専念義務」が課されます。兼業・兼職(アルバイトや副業など)が原則禁止のため、修習給付金は重要な収入源です。
2011年に一度、修習給付金が「貸付制」に変更されました。しかし、貸与制だと司法修習生の負担がかなり大きく、2017年に再度「給費制」が導入されたという経緯があります。
修習給付金の詳細・内訳
司法修習生の修習給付金には、基本給付金・住居給付金・移転給付金の3種類が含まれます。それぞれの概要や金額を解説します。
住居給付金と移転給付金の詳しい要件、届出に関するルールなどは、「修習給付金案内(第77期)」でご確認ください(※78期の案内が発表され次第、更新いたします)。
基本給付金
基本給付金は月13万5,000円で、全員に一律に支給されます。
ただし、次の期間を含む給付期間は、日割りによって計算された額の支給となります。
(1)通常修習期間の末日の属する給付期間
(2)司法修習生としての身分を保有しない期間
(3)修習停止期間
基本給付金は修習地・居住地などに関係なく、一律額での支給となっています。「兼業禁止でこの額では生活が苦しい」といった声も上がっているのが実情です。
住居給付金
住居給付金は月3万5,000円で、「自ら居住するため住宅を借り受け、家賃を支払っている場合」に届出を行うと支給されます。
ただし、以下の期間を含む給付期間は、日割りによって計算された額の支給となります。
(1)通常修習期間の末日の属する給付期間
(2)司法修習生としての身分を保有しない期間
(3)修習停止期間
(4)司法研修所において修習(導入修習、集合修習)をするために住所又は居所の移転をした司法修習生が最高裁判所が設けた寮、自宅等に居住した期間
(5)上記(4)に準ずる期間として最高裁判所が定める期間
居住地などの諸条件によりますが、家賃は月4~7万円前後が一般的でしょう。住居給付金のみで家賃を賄うのは難しい可能性が高いので、基本給付金と合わせてやり繰りする必要がありそうです。
移転給付金
移転給付金は、修習に伴う引っ越しが必要と認められ、現に移転し、届出を行った場合のみ支給されます。
支給額は以下のように、最高裁判所の定める路程に応じて決定します。
区分 | 支給額 |
---|---|
鉄道50km未満 | 4万6,500円 |
鉄道50km~100km未満 | 5万3,500円 |
鉄道100km~300km未満 | 6万6,000円 |
鉄道300km~500km未満 | 8万1,500円 |
鉄道500km~1,000km未満 | 10万8,000円 |
鉄道1,000km~1,500km未満 | 11万3,500円 |
鉄道1,500km~2,000km未満 | 12万1,500円 |
鉄道2,000km以上 | 14万1,000円 |
引っ越し費用のみであれば、基本的に移転給付金でほとんど賄うことができそうです。しかし、敷金・礼金を支払う場合などは、移転給付金のみでは厳しいかもしれません。ちなみに、敷金・礼金それぞれ家賃の1~2ヶ月分程度が相場のようです。
給付金だけでは足りない?司法修習生の経済事情
司法修習に関連する費用として、以下のものが考えられます。
- 交通費・宿泊費:場所によるが、数万円単位でかかる可能性あり
- 引越し代:転居をともなう場合に必要
- 参考書代:毎月8,000円程度、年間では10万円前後
ほとんどの司法修習生は、月13万5,000円~17万円の修習給付金を収入源に生活します。特に一人暮らしの方や貯蓄が多くない方などは、経済的に余裕があるとは言えないでしょう。
そのため、修習専念資金の貸与を受ける方もいます。修習専念資金は、最高裁判所が司法修習生に対して無利息で貸与しています。貸与額は一貸与単位期間につき10万円(基本額)です。例年、最大で計13回の交付があるため、130万円の貸与を受けることができます。
また司法修習生は修習専念義務により、兼業・兼職などが原則禁止されています。一部、予備校での答案添削などのアルバイトは、申請が許可されると行えるようです。
司法修習生の引っ越し費用・タイミング
導入修習と集合修習は埼玉県和光市の司法研修所で、実務修習は全国各地の修習地で行われます。そのため、人によっては修習中に複数回引っ越す可能性があります。
修習中の住宅事情・引っ越しのタイミング
例年、導入修習と集合修習では、通える範囲外に居住する修習生たちは、司法研修所の寮に入るケースが多いです。その他には、マンスリーマンションやホテル、賃貸住宅から通う選択肢もあります。実務修習は全国各地で実施されるため、多くの修習生が賃貸住宅を借りて生活します。
78期は以下の「移動日」と導入修習前が、引っ越しのタイミングになり得ます。
引っ越しが必要な場合は、2025年2月頃~3月19日の導入修習開始までに物件探しをすることになるでしょう。そして、実務修習地への引っ越しは、分野別実務修習の開始日である2025年4月14日に間に合うように行います。
導入修習中は司法研修所の寮や自宅等に居住する場合、実務修習地等に住宅を借りていても、第1回(導入修習前の移動日~導入修習後の移動日まで)の住宅給付金はもらえません。
引っ越しの費用・注意点
単身者の引っ越し価格相場は以下の通りです。相場価格は「荷物小の場合~荷物大の場合」で記載しています。
距離 | 2~4月 (繁忙期) | 5~1月 (通常期) |
---|---|---|
~50km未満 | 4万8,673円~ 6万6,636円 | 4万511円~ 5万2,243円 |
~200km未満 | 5万7,725円~ 8万7,398円 | 4万8,789円~ 6万7,238円 |
~500km未満 | 6万7,726円~ 10万7,143円 | 5万8,267円~ 8万5,566円 |
500km以上 | 7万9,501円~ 12万8,764円 | 7万504円~ 10万3,573円 |
78期の分野別実務修習前の引っ越しは、4月上旬に行う方が多いかと思います。4月は引っ越しの繁忙期ですので、できる限り余裕をもって見積もりや予約を進めましょう。
上記の引っ越し料金以外に、賃貸住宅の初期費用として礼金や敷金、前家賃、仲介手数料、火災保険料などが必要になる可能性が高いです。これらの費用は合計で家賃4~6ヶ月分ほどが相場とされています。
また、引っ越し費用や新生活の初期費用などを抑えるため、家具家電付き物件を検討する司法修習生も一定数いるようです。
修習給付金は課税対象?雑所得で確定申告が必要?
修習給付金のうち、基本給付金と住居給付金は、所得税法における「雑所得」に該当し、所得税・住民税の課税対象となります。
そのため、基本給付金と住居給付金は、確定申告の対象になります(移転給付金は確定申告の対象外)。
源泉徴収は行われず、必要経費として控除できる経費はありません。司法修習中の交通費なども、必要経費として控除できないとされています。
ただし、具体的な手続きが必要か否かや、時期・方法などの詳細は、個人によって異なります。不明点や詳細については、税務署などに問い合わせる、市区町村のウェブサイトを参照するなどしてご確認ください。
修習中のお金・暮らし関連のよくある質問
Q1. 現在、親族に扶養されています。修習給付金をもらうにあたり必要な手続きはありますか?
扶養者の控除対象配偶者・扶養親族などになっている場合、原則として控除対象から外れます。
そのため、扶養親族などを変更するための申告書を、扶養者の勤務先に提出するといった手続きが必要です。手続きの詳細などは、扶養者の勤務先等にご確認ください。
Q2. ウィークリーマンションやマンスリーマンション、ホテルなどに居住する場合、住居給付金はもらえますか?
賃借期間によっては支給されるケースもあります。疎明資料の提出などが必要になる可能性がありますので、詳細は司法研修所総務課人事係にご確認ください。
Q3. 司法研修所の寮に入る場合も、移転給付金はもらえますか?
導入修習・集合修習にあたり、司法研修所の寮に入る場合も移転給付金の申請対象です。移転届を提出し、要件を満たしていれば移転給付金が支給されます。
Q4. 友人名義の住宅でルームシェアをしており、家賃を半分負担しています。住居給付金はもらえますか?
住宅が友人名義の場合、要件を満たしていないため住居給付金は支給されません。住宅を自ら借受けしている場合は、住居給付金の支給対象です。
Q5. 司法修習にあたって健康保険の手続きは必要ですか?
勤務先企業の健康保険組合等の被用者保険に加入している場合や、家族が加入している保険制度の被扶養者として認定されている場合、国民健康保険への加入手続きが必要になることがあります。
詳細は、健康保険組合や市区町村等に問い合わせるのが良いでしょう。
また、すでに国民健康保険に加入している方は、司法修習生の期間も加入を継続することになります。
※詳細やその他の質問については、「修習給付金案内(第77期)」をご確認ください。
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