【開催レポート】代表司法書士に聞く|司法書士試験合格から独立、現在に至るまでの軌跡
by LEGAL JOB BOARD 稲田
コンサルタント
- 担当職種:
こんにちは。司法書士専門の転職エージェント「リーガルジョブボード」です。
本記事では、2022年10月に開催した「司法書士事務所の代表先生によるキャリア座談会」にてお話しいただいた内容をお届けします。
具体的には
- 新人司法書士が持つべき就職活動の心得
- 代表司法書士が独立を決めたきっかけや経緯
- 独立後に感じたギャップ
- 代表司法書士が採用で求める人物像
- 司法書士業界の未来や今後の課題について
当イベントにご参加いただいた皆さまはもちろん、現役司法書士の方や司法書士受験生の方にも、ぜひご覧いただきたい内容となっています。
登壇者の紹介
▶︎明成法務司法書士法人
代表司法書士・髙橋遼太 先生
2007年に司法書士試験に合格。合格後は都内の大手司法書士法人に勤務。2009年に明成法務司法書士事務所を設立し2013年に法人化を果たした。事業拡大を続けながら、現在は関東を中心に全国6拠点を展開。
▶︎司法書士法人みつ葉グループ
代表司法書士・宮城誠 先生
2012年に司法書士試験に合格。合格後は大手司法書士事務所で約6年勤務。2018年2月にみつ葉グループに入社し、同年10月に代表司法書士に就任。複数のグループ法人がある他、北海道から沖縄まで全国に拠点を展開。
▶︎経堂司法書士事務所
代表司法書士・高橋朋宏 先生
2004年に司法書士試験合格。都内の司法書士事務所で実務経験を積んだ後、2014年に独立し、経堂司法書士事務所の代表司法書士に就任。寄稿やセミナー、講演活動など行い、TwitterやYouTubeでの情報発信にも取り組む。
【レポート】合格から現在(独立)に至るまでの軌跡
新たなキャリアを歩みはじめる司法書士試験の合格者が今知りたい情報をメインにお届けしました。
これから独立を考えている司法書士の方や、今年度合格した司法書士受験生の方にぜひご覧いただきたいメッセージもございます。ぜひ最後までご覧ください。
※リーガルジョブボードの稲田(以下、稲田)との対談形式でお届けします。
司法書士試験合格後に戻れるなら、当時の自分に⚪︎⚪︎と言いたい
はしトモ先生:受け身ではなくて、自発的にどうしていきたいのかをいろいろ試していくことが大切だと僕は思います。自主性を大事にしたほうが良いんじゃないのと口酸っぱく過去の自分に言いたいです。
稲田:新人の頃は、わからないことが多く受け身になりがちですが、主体的に動く姿勢は大切ですよね。宮城先生はいかがでしょうか?
宮城先生:私は社会人経験がなかったので、まずは社会人としてのスキルを身に着けたいという明確な目的を持っていました。周囲の人から就職先について色々と言われましたが、自分の選択に後悔はなかったです。
稲田:就職活動の軸をしっかりお持ちだったんですね。
宮城先生:はい。周りの声で揺らいで、自分の選択が間違っていたのではないかと迷うこともあると思います。ですが振り返ると、自分がどうしたいかで人生は決まっていくと思うので、皆さんもそうしてほしいです。
稲田:周りから入ってくる情報の中でどこを切り取るのか、自分の中の明確な目的に沿って決めていくと言うことですね。
宮城先生:そうですね。正解はないと言うことを伝えたいです。
独立を決めたのは小さなきっかけとタイミング
取引先との縁から独立へ
はしトモ先生:ある時、近所の代表司法書士がお亡くなりになったんです。そこの顧問税理士さんが僕の飲み友達で、跡継ぎがいないから興味ありませんかと言っていただいて、取引先と従業員を引き継ぐ形で独立しました。
稲田:お取引先とのご縁がきっかけとなったんですね。
はしトモ先生:そうですね。日頃から目指す司法書士の姿を周囲に伝えていたので、お声がけいただけたのだと思います。そういう状況になった時、すぐに「やります」と答えたことは大きかったと思います。
稲田:求職者の方から「後継者として入りたいです」といった声をよくいただきますが、はしトモ先生のようなケースはかなりレアですよね。
はしトモ先生:そうですね。私のような事務所の引き継ぎは非常に稀だと思います。
マンネリ化した毎日に飽き、心機一転環境を変えようと思った。
高橋先生:ふとした時に毎日つまらないなと感じたんです。職場に不満はなかったのですが、自分のモチベーションはなんだろうと思った時に、いっそのこと環境を変えてみようかな?と考えたんです。当時は25歳で失うものもなかったので、家賃さえ払えればなんとかなると。
稲田:25歳という若さでの独立はかなり早い印象です。独立を最初から目的にしていたのではく、やっていくうちにそういう道が自然と見えてきたということでしょうか?
高橋先生:そうですね。合格当時は独立したいという気持ちは全くなかったです。
合格当時は「どうやったら独立できるのか」「どうやったら提携先を増やせるのか」など、右も左もわからない状態でした。なので、まずは司法書士としてスキルを身に付け、一日も早く一人前になろうと思ってずっと仕事をしていました。
稲田:司法書士として一人前になったときに、独立の選択肢が見えてきたということですね。
独立してから感じた「ギャップ」とは
独立したことで人として成長できた
高橋先生:毎日、営業電話がものすごいかかってきたんですけど、全員呼んで話を聞いていました。あとは士業交流会に行き、交友を作って仕事に繋げてましたね。
色々な人と知り合えたことで視野が広がり、世の中の仕組みを理解できました。独立したことで人として成長することができたと感じます。
稲田:敬遠しがちな営業電話を対応し、様々な人との出会いを大切にしたことで自身の成長に繋がったということですね。素晴らしいと感じます。
マーケティングや集客について学ぶ機会がなかった
はしトモ先生:勤務時代、マーケティングや集客について学ぶ機会はなかったので集客は苦労しました。尚且つ僕が勤めていた事務所では、代表が営業をしなくても運良くお客さんが集まってくる状態で、そういうものなのかなと思ってたんです。
稲田:その時代は今よりインターネットが普及していなかったので、口コミやリピーターなどでご依頼が集まると伺ったことがあります。
はしトモ先生:そうなんです。なので、事務所を引き継いで最初のうちは待ちの姿勢でした。実務を補助者に任せてスポーツクラブで運動したり・・・笑 ただ、半年くらい経った時に、売り上げが全然上がっておらず、これはまずいと気付き行動を開始しました。
稲田:具体的にどういうことをされたのでしょうか。
はしトモ先生:交流会に出てみたり、広告を打ってみたり、皆さんが思いつくようなことは全てやりました。
試行錯誤した中でも人とのご縁が非常に大事だと感じでいます。数え切れないほどの人と会って関係性を築いていく中で、ずっとお付き合いいただける・継続して依頼してもらえるなど、光るような関係性が一つ二つ出てきたんです。なので、人とのご縁は大切にするべきたと実感しました。
稲田:一つ一つのご縁を誠実に対応することで、継続してお付き合いいただける関係性に繋がったということですね。
勤務司法書士からマネージャー(経営者)へ
宮城先生:勤務司法書士の時は評価など考えたこともなかったですが、いざその立場になると、人との働き方、また組織の中でどう動いていくのかなど、様々な視点で見る必要があり難しさを感じました。
稲田:経営者の立場でになることで、目線や価値観にも変化があったんですね。
採用では、実務経験や社会人経験を重要視しない
人生で仕事に使う時間ってすごく多いので、仕事の時間が充実していると人生は充実しているように感じています。
稲田:「楽しく仕事をすること」と「仕事を楽しむこと」は違いますよね。高橋先生はいかがですか?
高橋先生:視点が一緒なので私も似てますね。一緒に働く以上は、仲間なので何でも言い合えるような関係だと尚良いなと思います。
一方で仕事をするってことは何らかの価値を生み出して、お金を貰うことです。司法書士に依頼をする時は、人生のターニングポイントがほとんどです。そこに生まれるお金であって、当然仕事はシビアに真摯に誠実にしなくてはいけません。
そこを理解した上で、司法書士として働いていくんだと心に決めているような人がいいです。
稲田:お二人の意見から事務所の先生方は司法書士としての実務経験ではなく、マインドセットや前向きな気持ちが求められているんだと感じました。はしトモ先生はいかがでしょうか。
はしトモ先生:ビジョンに共感できる方ですね。僕のビジョンは、一筆結びの軌跡です。要するに、遺言書を書くと筆跡ができて、その上に自分や家族、周りの人の笑顔が連鎖して浮かんでくるといったイメージです。
そういった明確なビジョンを持って、僕は活動しています。そこに共感できる人は必ず目指す方向が同じなので、途中で障壁があったとしても一緒に乗り越えていけるはずです。
他の事務所でも言えることで、経営者さんがどういう想いを持って運営しているのか、どこを目指しているのか、そこに共感できるかどうかが超大事だと思います。
皆さんこれから色んな事務所の面接を受けると思いますが、経営者さんがどんな想いを持っているのかを引き出して、そこに自分が共感できるかどうか、一緒に頑張っていきたいかをポイントにしてほしいですね。
今後司法書士の仕事はなくなるのか?
高橋先生:僕も当然明るいと思っています。
僕が受かった当時は、オンライン申請が始まった頃で司法書士の仕事は無くなると言われていましたが司法書士の仕事は今も続いてます。社会的地位があって認められている資格・仕事なんです。
司法書士は120年続いている資格として価値があって、その価値は崩れないと思っています。より司法書士という資格に価値を生み出せるように行動していけば明るい業界になるんじゃないかなって思います。
色々な情報があると思いますが、それに惑わされず自分の価値観で判断することを大事にしてもらいたいです。
はしトモ先生:僕も明るいと思っています。これには明確な根拠があるんです。
司法書士が携わる手続きはここ最近便利になってきていて、今後もボタン1つで何か手続きができるようになっていくかと思います。
でも、それを使うのは結局人間です。その人間がどういう風に進めていけば良いのかを判断するためには、皆さんが学習してきた実体法の知識が必要になってくるんですよね。
色々な相談業務をしていると、自分で登記申請してみたいと頑張って手続きの部分をまとめてくる方もいますが、実体の方を全く理解していないと、そもそも設立する法人は一般社団法人よりも合同会社の方が良いのでは?なんてことになります。
なので、どれだけ便利になろうと専門家である司法書士のサポートは絶対に必要になります。司法書士としての役割は手続き以外の所で残っていくので、未来は明るいのではないのかと考えます。
▼最後にはしトモポーズで撮影させていただきました!
今年も代表司法書士による座談会を開催します!
昨年大好評でした座談会を今年も開催します!
◾️開催日時:10月28日(土)10:00〜12:00
◾️会場:ベルサール飯田橋ファースト
◾️参加費:無料
◾️対象者:令和5年度司法書士試験 筆記試験合格者、および司法書士有資格者
詳細は下記よりご覧ください。
なお、同日・同会場にて東京に支店を構える事務所が一同に集まる合同説明会が開催されます。
司法書士の合同説明会の詳細はこちら
司法書士の就職は“エージェントの活用”がおすすめ
司法書士としての就職を成功させるためには、自己分析やキャリアパスの策定、事務所選び、応募書類の準備など、“やるべきこと”が多くあります。
しかし、試験や研修がある中で、就職活動を一人で完璧に進めるのは簡単ではありません。
就職活動に少しでも不安のある方は、司法書士専門の転職エージェント「リーガルジョブボード」をぜひご活用ください。気軽なご相談・情報収集のみを目的としたご利用も歓迎です!
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