
バンダイの法務チームを徹底解剖!“遊び”の未来を支える法務の仕事に迫る

by LEGAL JOB BOARD 山﨑雅彦
エグゼクティブアドバイザー
- 担当職種:

弁護士・法務専門のキャリア支援を行う「リーガルジョブボード」の山﨑です。
この度、株式会社バンダイ 法務・知的財産部 法務チームで働く3名に、仕事内容や働き方に関するインタビューを実施いたしました。
エンタメ業界の超有名企業で、近年では海外展開にも力を入れているバンダイ。その法務の現場では、どのような挑戦や工夫が行われているのでしょうか。
玩具、フィギュア、カードゲーム、ガシャポン、ECサイトなど、多様なビジネスを展開する同社の根幹を支える法務チームに迫ります。
この記事の目次
インタビューさせていただいた3名のプロフィール

法務チーム マネージャー
小野寺 絢子 氏

法務チーム チーフ・弁護士
山本 漱人 氏
弁護士資格を持つインハウスローヤー(74期)。司法修習後、企業法務・一般民事の案件を扱う法律事務所に入所。1年半ほど経験を積み、ロースクール時代から興味があったエンタメ法務ができるバンダイに2024年1月に入社。

法務チーム メンバー
小倉 景子 氏
2024年4月より、グループ会社のバンダイナムコビジネスアークから出向。総務として個人情報保護法関連の対応をしたことで、法務に興味を持つ。「事業部を法令面からサポートしたい」と考え、バンダイの法務チームに異動。
グループ内での立ち位置と事業の広がり


事業としては、玩具に限らず、カードゲームやガシャポン、アパレル、食玩、プラモデル、フィギュア、ECサイトなど、幅広く展開しています。


海外展開にも積極的で、業績も伸び続けている印象があります。なぜ、こうした好調を実現できているのでしょうか?

おうち時間が増えたことで、ガンプラなどがよく売れるようになりましたし、『ワンピース』のトレーディングカードもヒットしました。あとは、ガシャポンの売上も非常に伸びてきているところがありますね。

「BANDAI SIRITS受付前に飾られているガンダムフィギュア」
©創通・サンライズ
チームの組織体制やメンバーのバックグラウンド


年齢層は20代から40代の幅広い年代で構成されています。
法務チームは全員が中途入社で、私や小倉は2024年からの在籍ですが、他のメンバーは入社4年前後の方が多いですね。
また、バンダイの法務チームは、バンダイおよびBANDAI SPIRITS(出向兼務)の法務機能を担っております。




弊社の業務は広範囲にわたるので、異業種の知見が活きる場面も多くあります。もちろんエンタメ経験者も歓迎ですが、何より「エンタメ業界に興味があるか」が大切だと考えています。


ただ、業界的に「弁護士としてのファーストキャリアは法律事務所」という風潮があったこともあり、修習後は企業法務・一般民事の案件を扱う法律事務所に就職しました。
1年半ほど経験を積んだところで、「やはり以前から関心を持っていたエンタメ業界の法務をやりたい」と思うようになって…。リーガルジョブボード経由でバンダイに応募しました。

一次面接で法務の面接官と話した際、想像以上に多様な業務を扱っていることを知り、そこにとても魅力を感じました。
法務チーム内の業務分担や担当領域について


事業部という単位で見ると、バンダイ、BANDAI SPIRITS(バンダイ法務が対応している)で10の事業部があり、その他管理間接部門は10個ほどあるので、各メンバーが複数の事業部を担当する形になっています。
私たちは、景品表示法、下請法、独占禁止法、個人情報保護法、著作権法、特商法、消費者契約法、風営法、製造物責任法、労働関連法規など、幅広く対応しています。


そのため、担当する事業部が変われば、その都度キャッチアップが求められます。前任者や上司に教えてもらったり、セミナーを受けたり、業務を通じて学ぶことが多いですね。

あとは明文化された制度があるわけではないのですが、「これはチームで共有しておいたほうがいいな」という情報をチャットで発信する文化もあります。専用スレッドに実務に関する気づきや法改正の情報などが随時シェアされています。
バンダイの法務は「挑戦の伴走者」というスタンス


違法行為を防ぎながら、「どうすれば事業や企画を進行できるか」を一緒に考えるのが私たちの仕事です。
景品表示法に抵触してしまう可能性のあるキャンペーンが企画されたとして、「これは違反してしまうのでやめてください」と言うのは簡単です。
しかし、当然ながら事業部は「なんとか実現したい」という思いがあります。そこに対して、「どうすれば適法な形で実現できるか」を考えて提案していくのが法務の仕事です。
例えば、景品表示法の価格規制に抵触する場合に、「景品」ではなく「アンケートへの報酬」という形で消費者に提供することを提案するといったように実現可能な形に整えていく。そういった業務が日常的に多くありますね。


事業部からの提案に、どうしてもイエスとは言えないケースもあります。でも、「無理です」と突き返すのではなく、「こうしたらできる」と提案していくのが私たちの役割だと思っています。

このスタンスを法務チーム全体で大切にしていて、強い意志を持って取り組んでいると日々感じます。
法務としての成長実感と“当事者”としての働き方


また、海外における個人情報保護法対応のプロジェクトにも携わっています。海外展開を進める中で、現地在住者の個人情報を取得する必要がある際に、どんな法的論点があるかを洗い出し、外部の法律事務所と連携しながら対応方針を固めていきます。
この分野は専任の担当チームがあるわけではなく、私を含む4人のメンバーが担当部署にかかわらず対応しています。


外部の弁護士は基本的に助言をして終わりですが、今は「その助言をどう社内での運用に落とし込むか」まで考える必要があります。

具体例として、フリーランス法が施行された際には、社内運用の整備に主担当としてチーム員を巻き込みながら関わりました。経理や情報システム部門と協議しながら、フリーランスの方への発注書式のルールを定めるなど、会社の業務プロセス全体を理解したうえでの対応が求められます。
こうした経験を通じて、自分が“会社の一員”として動いていることを実感でき、それが成長につながっていると感じています。
「動きながら学んでいく」バンダイの法務の現場


日々の業務としては、それらの部門から依頼される契約書の確認や、法律相談への対応・検討を行っています。
それ以外では、個人情報保護法に関する案件にも取り組んでいます。新しいユーザーサービスの個人情報の取り扱いなどについて相談が来ることもあり、プライバシーポリシーなどのリーガルドキュメントの確認・修正も行っています。
その他、キャラクターのライセンス契約などの契約書のリーガルチェック、景品表示法に関連した相談も多く、たとえば商品のパッケージに記載された内容が法令に違反していないか、といったチェック業務なども担当しています。


事業部の方などから「この件を相談したくて、時間ありますか?」と連絡が来たら、「今日の午後空いているので、対面でお話しましょう!」といった感じで対応することもあります。

1回の打ち合わせは短くても、数件こなす日もあります。ある日のスケジュールでは、打ち合わせが2件入っていましたが、それ以外にもチャットでのやりとりやフォローも多く、かなりアクティブに動いています。




OJTでは必ずサポートしてくれる方がついてくれて、配属されたばかりの時は上司や先輩社員が一緒に契約書を読んでくれるなど、丁寧に時間をかけて教えてくれました。
「この条文はどういう意味か」「なぜこう書くのか」といったところまでじっくり説明してもらえたのが、すごくありがたかったですね。

組織的にも、教育とダブルチェックの両方が機能する仕組みになっていて、何かあればすぐ相談できる環境です。サポート自体が役割として定義されているので、全体として教える文化が自然と根づいています。
バンダイだからこそ感じられる「法務の面白さ」


扱う商材がキャラクター商品といったワクワクするものである分、社内にも自由で伸びやかな空気があり、アイデアも活発に飛び交います。こういった点は、バンダイの法務だからこそ感じられる面白さですね。

街中で自分が法務審査をした商品のディスプレイを見かけたり、商品を手に取るお客様の反応を肌で感じられるのは、大きな魅力だと思います。

以前、開催するにあたって法的な相談に乗ったイベントに私も当日会場に足を運んだのですが、大勢の来場者が集まって非常に盛り上がっている様子を見た時は、大きなやりがいを感じました。
また、印象的だった案件としては、業界団体に対するヒアリングや協議を行った上で、法務として当該案件の可否を判断した経験が印象に残っています。専門の弁護士が極めて少ない業界で、その業界団体の方との対話を通じて法的判断をすることは企業法務ならではの仕事だったのではないかと思っています。
ワークライフバランスや職場の雰囲気について


チームでは各自の裁量でスケジュールを調整できる文化があります。担当している事業部等との打ち合わせの時間を各メンバーが自分で調整して設定できるので、スケジュールの自由度が高いです。




今後のビジョンと求める人物像


若いメンバーが多く、SNSや新しいサービスに抵抗がない人も多いため、そういった感度の高い人たちが中心となって、新しい分野にも積極的に取り組んでいます。知識を蓄積して活かすことで、法務としても事業部のチャレンジを支えていきたいと考えています。
もう1つのテーマは、グローバル対応です。海外案件も増えている中で、グローバルな視点を持ち、実務経験のある方が加わってくださると、チームとしてさらに強化できると感じています。
会社全体が成長している今、前向きに仕事を取りに行くマインドを持った方と一緒に働けると嬉しいです。


ベタなようですが、やはりコミュニケーション能力は重要です。事業部には個性豊かなメンバーが多く、そういった人たちと積極的に関わることを楽しめる方が向いていると思います。


だからこそ、いろんなことに挑戦したい方にとって、非常に楽しく働ける職場だと思います!


私自身もゲームやアニメが好きですし、そういう意味でもエンタメ業界に関心のある方には、本当にやりがいのある職場だと思います。
そして何より、バンダイの法務は仕事に飽きることがありません。常に刺激があり、楽しいです。新しいことに挑戦したい方や、今まで同じ仕事ばかりで物足りなさを感じていた方には、ぴったりだと思います。

本日はありがとうございました!

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※本件の取材は株式会社BANDAI SPIRITSの本社(三田オフィス)で実施しました。
※法務チームは株式会社バンダイの本社(浅草オフィス)でも勤務しており、打ち合わせなどの実施場所に応じて三田オフィスにも法務専用サテライトを利用して勤務しています。
浅草オフィスにて、特許・意匠チームにも取材を行っております。こちらの記事もぜひご覧ください。
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外資系IT企業、メーカーを経て2022年2月にバンダイに入社。 国際法務の豊富な経験を活かして、海外グループ会社との法務連携やグローバルコンプライアンス体制の構築などに取り組む。