弁護士の初任給は?平均年収を年齢別・分野別で解説
by LEGAL JOB BOARD 増田
コンサルタント
- 担当職種:
弁護士の転職エージェント「リーガルジョブボード」です。
本記事では、弊社が独自に調査した勤務弁護士50名の初任給を、年代別や従事している分野など様々な切り口で分析し、弁護士の初年度の年収事情を徹底解剖しました。
今後の年収アップの方法についても解説していますので、現役弁護士の方はもちろん、弁護士を志している方や事務所の先生方もぜひご覧ください。
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この記事の目次
弁護士の初任給!平均提示年収の調査方法
当社(株式会社WILLCO)が保持している弁護士の平均提示年収データから、純粋な初年度の弁護士の「平均提示年収(事務所報酬のみ)」を算出しました。
◇調査対象
2019年3月~2023年5月までの間に、弊社「LEGAL JOB BOARD」を通してご入職された弁護士資格をお持ちの方のうち、提示年収の算出が可能な25歳~64歳までの50名を調査対象としました。
◇提示年収の算出方法
ご入職時に提示される雇用条件通知書(もしくは業務委託契約書)に記載された雇用条件をもとに、提示年収を算出しました。
◇調査項目
- 提示年収
- 性別
- ご入職決定時の年齢
- ご入職された事務所の分野
これらの調査内容に基づき、各項目ごとの平均提示年収を求め、分析しました。
弁護士の初任給!平均提示年収は約570万円
はじめに、上記の前提条件に該当する対象者の提示年収を算出しました。その結果、弁護士の初任給は平均提示年収¥5,663,617円でした。
この数字は個人受任での売上を含まず、事務所報酬単体のみをさしております。
法務省・日弁連・最高裁が行っている調査「法曹の収入・所得,奨学金等調査の集計結果(平成28年7月)」の、年収568万円とほぼ同じ結果となっております。
提示年収のレンジレートごとの割合は以下のグラフのとおりです。
500~599万円にあたる人が40.4%と最多でした。
次点では、600~699万円が34%、300~399万円が12.7%と続いており、それ以外は5%前後となっております。
一般的に、勤務弁護士の年収は経験年数やキャリア、また取り扱っている分野によって大きく左右されます。
法務省・日弁連・最高裁が行っている調査「法曹の収入・所得,奨学金等調査の集計結果(平成28年7月)」が出している中央値と、ほぼ同じになったのではないかと考えられます。
どういった事務所に入るのか、どういった働き方をするのかが年収を上げるためにはとても重要です。
実際、経験がある弁護士の平均年収は大きく変化します。
下記は2023年5月時点の修習期別の平均提示年収を表しています。
年齢や働き方でも変化はありますが、経験を積むほど年収が増加傾向にあると言えます。
こちらの記事では、勤務弁護士全体の年収を詳しく分析しておりますので、ぜひご覧ください。
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年齢別の平均提示年収
国税庁が調査した「令和3年 民間給与実態統計調査」によれば、弁護士に限らず、全体の年齢別平均年収は下記の通りです。
- 19歳以下 133万円
- 20~24歳 269万円
- 25~29歳 371万円
- 30~34歳 413万円
- 35~39歳 449万円
- 40~44歳 480万円
- 45~49歳 504万円
- 50~54歳 520万円
- 55~59歳 529万円
- 60~64歳 423万円
- 65~69歳 338万円
- 70歳以上 300万円
全体でみると50代後半まで徐々に上がり、定年に差し掛かる60代から徐々に下がっているという結果が出ています。
経験を積んだり役職がつくことで給与が上がることが一般的ですが、企業によっては年功序列でその年齢を加味されることもあります。
では、弁護士の初任給は年齢が反映されるのでしょうか?
一番提示年収が多いのは50代の約630万円です。今回は、50代の方に1,000万円の提示額の方も数名おり一番多い提示額という結果になっております。
20、30代と社会人経験がまだ浅い層は提示額に乖離はほとんどありませんでした。
一方、社会人豊富な40、50代は過去のご経験、スキルによっては+αの評価がされ、提示額に反映されることもあると思われます。
上記の結果から、弁護士の初年度の年収を上げるのに大事なのは年齢ではなく、今までの経験やスキルであるとわかります。
とは言え、自身のスキルがどのように活かせるかわからない方も多いのではないでしょうか?
弊社「リーガルジョブボード」では、その方が持っている経験やスキルを最大限にアピールできるようアドバイスさせていただけます。
ぜひそのような疑問をお持ちの方は下記よりご相談ください。
分野別の平均提示年収
弁護士の勤務先にあたる事務所の分野、またインハウスに分けて集計いたしました。
一般民事、企業法務の分野に従事している方の初年度の年収が高い傾向にあるという結果がでました。
企業法務を扱う事務所は5大法律事務所や大手法律事務所が多いので、こちらも給与水準が高いと言えます。
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また総合系(一般民事、企業法務問わず幅広くやっている事務所と定義)は年収が低めというデータが出ましたが、これは事務所の「収益性」の関係かと思われます。
幅広い分野経験できることは弁護士キャリアとしてプラスになる一方、案件ごとのノウハウ、ナレッジの量や事件処理のスピードはある分野を専門的にやっている事務所には及ばない可能性があります。
事件処理のスピードや解決(処理)数の差が、収益性の差、はたまた勤務弁護士の年収の差に繋がっていると考えられます。
実は、1年目ではなく全体の勤務弁護士を独自で調査したデータでは下記のような数値が出ています。
インハウスは経験豊かな弁護士、特に企業法務経験者を中心に採用する傾向が強いです。
インハウスとして長く働き経験を積むことで、その分給与に反映され高収入を得ることができます。
男女別の平均提示年収
OECDの統計によると、日本における男女間の賃金格差は22.1%で、世界的に見て格差が大きいとされています(フルタイム労働者の中位所得における男女間賃金格差、2021年)。
では、勤務弁護士の場合はどうでしょうか。
男女間での平均提示年収の差額は194,333円となっており、女性の方が平均提示年収が若干高い結果となりました。
今回の調査では、男女で初任給は変わらないという結果が出ました。弁護士という職種において性別による年収の変化はほとんどないと考えられます。
キャリアと年収のリアルな関係
では、実際に平均以上の年収を提示された方はキャリアにどのような特徴があったのでしょうか。
弊社リーガルジョブボードを通じてご転職された方の具体的な事例で見ていきます。
◇提示年収 1,000万円/当時50代(一般民事の法律事務所)
こちらの方は元々営業職が長く、自身でも個人事業主として働いておりました。弁護士としては新人ですが、今までの経験からクライアント対応などのビジネススキルが高い方でした。
目指している弁護士像も明確で熱意があり、その営業力とビジネススキルを評価され、高い提示年収額で入職が決定いたしました。
◇提示年収 650万円/当時30代(企業法務の法律事務所)
この方は司法試験を1回で合格された、大学院を卒業したばかりの方です。
年齢が高くとも活躍できる弁護士ではありますが、育てるならやはり若手を望むという事務所もございます。この方は、受験回数や年齢、お人柄もあり若くして平均よりも高い提示年収額で入職が決定いたしました。
法律事務所の種類別の年収事情
弁護士の収入は、働く法律事務所の規模や種類で大きく変わります。
年収の違いに特徴がある事務所の年収事情を解説していきます。
五大法律事務所や大手法律事務所(東京)
一般的な弁護士の初任給は平均年収は550万円程度ですが、五大法律事務所などの大手事務所は、1年目から年収1,000万円以上が目指せます。
2倍近い収入を得ることができるため、しっかりと稼ぎたい方は大手法律事務所への就職を希望します。
経験を積むほど年収は上がっていきますし、パートナーになればグッと年収が上がることもあります。
五大法律事務所の年収や入所するための必要な条件は下記の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
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小・中規模の法律事務所(東京)
小・中規模の事務所の場合、年収は各事務所の賃金制度に左右されるのが特徴です。
中堅法律事務所で、初年度から年収700~800万円程度を出すところもあれば、年収300万円からスタートする事務所もあるのが事実です。
そのため、小・中規模の法律事務所に転職する際は、様々な事務所の求人を比較するようにしましょう。
都市部の法律事務所(東京以外)
東京以外の都市部の法律事務所では、初年度は年収500~700万円からスタートする事務所が多い印象です。
弁護士の平均的な給与を得られる事務所が多いですが、なかには年収300万円からスタートする事務所もあります。
渉外系法律事務所であれば比較的、高給与が期待できるでしょう。
企業内弁護士(インハウスローヤー)の平均年収
新卒の初任給は大体、年収400万円程度と言われています。今回の調査と比べると低いように思われますが、これは弁護士資格を持っていても企業内の新人という扱いになるためです。
しかし、企業のルールに従って昇給で給与がアップしていくため、収入が安定しているという利点があります。
とは言え、経験や年齢によって大きく差が出てしまうのが実情です。
1年目のインハウスローヤーの実態が気になる方は、下記の記事をご覧ください。
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開業・独立弁護士の平均年収
開業・独立弁護士の平均年収は1,000~1,500万円程度です。
しかし年収300万円以下の方や1億円を超える方も混ざっており、年収の幅がかなり広くなっています。
自身の売り上げがそのまま収入に反映されるため、高所得の方ほど労働時間が長くなっている傾向にあるようです。
とは言え、1年目から独立開業をする方は少ないと思います。
開業・独立を目指す弁護士の方は多いですが、収入やワークライフバランスなどの条件を比較し、自身に合った働き方を考えることが大切です。
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弁護士が年収を上げる方法
弁護士が年収を上げる方法について、下記で解説していきます。
年収が高くなる事務所への転職
最も多くの方が選ぶ方法は、年収が今よりも高くなる事務所へ転職することです。
何年か仕事をすると、案件のボリュームや年収の上がり方によって、今後どのように昇給していくか、ある程度予想できます。
年収アップを現事務所に交渉しても実現されない場合、自分をより高く評価してくれる事務所への移籍がベストでしょう。
外資系企業でインハウスローヤーとして働く
これまでのデータから、インハウスローヤーは年収が高い印象です。
とはいえ、一般企業で働くため、法律事務所のように一個人で案件を受注しないので、裁量をもって働ける事務所の方が稼げると考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、働く企業によっては、更に高給与を実現することができます。
特に、外資系企業は実力次第で高給与を目指すことができ、なかでも外資系証券会社は給与水準が高いです。具体的には、ゴールドマン・サックス証券、UBS証券、JPモルガン証券など。
企業によりますが、役員クラスで3,000~4,000万円プラス賞与という高収入を得ることができます。
パートナー弁護士になる
今の事務所で働き続けながら年収を上げたいのであれば、「パートナー」に昇格する方法もあります。
パートナー弁護士になれば、給与形態が変わって年収が上がるケースが多いです。
もしパートナーを目指すのであれば、該当事務所で経験を積み、実力を認められる必要があります。
また、弁護士としての実力に加えて、経営知識も必要です。
独立・開業する
独立・開業も、年収を上げる方法の一つでしょう。
独立・開業するには、弁護士としての豊富な経験や案件見込のほか、経営知識や開業準備も必要です。
自身の案件が収入にダイレクトに反映されるため、頑張り次第で高給与を目指すことができます。
弁護士キャリア1年目の就職・転職活動は転職エージェントがおすすめ
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ご登録いただくと、ウェブサイトには掲載されていない、登録者限定の「非公開求人」も数多くご紹介いたします。
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法務省・日弁連・最高裁が行っている調査
平成28年には法務省・日弁連・最高裁が収入や所得に関しての調査を行っております。
その調査「法曹の収入・所得,奨学金等調査の集計結果(平成28年7月)」によると、弁護士の初任給は平均年収(平成27年)568万円、中央値は543万円となっております。
新65期・現行65期(平成26年) | 66期(平成26年) | 67期(平成27年) | |
年収(平均値) | 621・607 | 577 | 568 |
年収(中央値) | 583・575 | 530 | 543 |
所得(平均値) | 354・288 | 330 | 327 |
所得(中央値) | 328・303 | 301 | 317 |
年収は売り上げ全体の金額を指しており、所得は売り上げから必要な経費等を差し引いた金額です。
この調査を行った年の平均年収は若干の減少はあるものの、所得などを見ている限りほぼ横ばいな印象です。
令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況によると、弁護士に限らず新卒の年収を算出すると、中央値は約200~285万円というデータがでました。それをみてもわかるように、やはり難関資格である弁護士は高給与を目指せると言えます。