土地家屋調査士
土地家屋調査士業界で働く人のリアルな年収|106名の回答で判明

【最新版】土地家屋調査士業界のリアルな年収|資格の有無や年代、出身学部で差はあるのか

by LEGAL JOB MAGAZINE 編集部

編集部

土地家屋調査士業界で働く人のリアルな年収|106名の回答で判明

こんにちは。土地家屋調査士専門の転職エージェント「リーガルジョブボード」です。

今回は、実務経験のある土地家屋調査士・土地家屋調査士補助者、106名に年収に関するアンケートを実施いたしました。

そのアンケートをもとに本記事では「土地家屋調査士のリアルな年収」を徹底解説いたします。

具体的には、以下のようなデータをまとめています。

  • 現在の年収と初任給
  • 年代別、また経験別の年収の違い
  • 出身学歴、出身分野(理系・文系)別の年収
  • 残業時間別の年収
  • 男女比と年収の違い
  • 年収をアップする方法

▼現役で土地家屋調査士業務に従事されている方
自身の状況と照らし合わせていただき、現在の年収をデータと比較して適正なのかなどをチェックする指標にしていただけます。

▼これから土地家屋調査士業界に挑戦したい方
リアルなデータを把握することで、就業後のイメージが掴みやすくなるはずです。有益な情報となっていますのでぜひ参考になさってください。

※今回の調査は、土地家屋調査士業務に従事している方を対象に実施しており、回答者には土地家屋調査士・土地家屋調査士補助者の有資格者と無資格者が含まれています。

調査概要

◇調査対象
リーガルジョブボードに登録している土地家屋調査士・土地家屋調査士補助者の方

◇調査期間
2023年10月31日〜2023年11月23日

◇回答者
20〜60代の男女106名

土地家屋調査士の年収

早速、土地家屋調査士の年収をお話ししていきます。

今回の調査で年収は、4,428,909円という結果が出ました。

またアンケート回答者の年収の中央値は、450万円です。

内訳は下記の通りです。

  • ~299万円:15名(14.2%)
  • 300~399万円:19名(17.9%)
  • 400~499万円:29名(27.4%)
  • 500~599万円:21名(19.8%)
  • 600~699万円:8名(7.5%)
  • 700~799万円:4名(3.8%)
  • 800万円~:10名(9.4%)

今回、800万円以上と高い年収の方も多くいらっしゃいました。その方々は、独立開業されている方だけではなく、事務所などに勤務している方もおり、働き方次第で高給与も狙える職種と言えるでしょう。

現年収の満足度

先ほど紹介した現年収の満足度は下記の通りです。

  • 大変不満:27名(25.5%)
  • 不満:23名(21.7%)
  • 普通:36名(34%)
  • 満足:16名(15.1%)
  • 大変満足:4名(3.7%)

普通以上と回答した方と、不満以下と回答した方が半々と近い数字となっております。

ただデータを見た時、高給与の方が必ずしも満足と回答しているわけではありません。

LEGAL JOB MAGAZINE編集部
現場数が多い、外業が多いなど働く環境によっても年収を比較したときの満足度は大きく変化します。

土地家屋調査士の初任給

続いて、初任給は下記の通りです。

  • ~299万円:37名(34.9%)
  • 300~399万円:48名(45.3%)
  • 400~499万円:16名(15.1%)
  • 500~599万円:4名(3.8%)
  • 600万円~:1名(0.9%)

業務未経験の場合、1年目の年収相場は300万円程度と言われています。

また業務未経験者の年収の中央値も、300万円でした。

このデータを見ていただいてもわかるように、300万円台の層が半数近くを占めています・

そんな中、平均よりも高い金額の初任給であった方は、その方の今までの経験が大きく影響していると考えられます。

300万円台以下の初任給の方々は、前職が飲食系やサービス業など様々です。

400万円台以上の方々の前職は測量会社や建築関係、不動産など、少なからず土地家屋調査士に必要、もしくは関連した知識を得られるような職場であることがほとんどでした。

そのため、未経験であっても前職の経験を評価され、相場よりも高い初任給であったと考えられます。

下記の記事では、土地家屋調査士の年収についてお話ししていますので、ぜひこちらもご覧ください。

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年齢層・年代別の年収

回答者の年齢層と、年代別の年収を解説します。

回答者の年齢層

今回アンケートにご回答いただいた方の年齢は以下のようになりました。

  • 20代:12名(11.3%)
  • 30代:30名(28.4%)
  • 40代:36名(33.9%)
  • 50代:25名(23.6%)
  • 60代以上:31名(2.8%)

今回の調査で平均年齢よりも若い20.30.40代層も多い理由は、調査対象が転職支援を行っている弊社にご登録がある土地家屋調査士になるため、転職の活発な年齢層も多くいるためです。

年代別の平均年収

年代別の年収は下記の通りです。

  • 20代:4,133,333円
  • 30代:4,273,333円
  • 40代:5,371,666円
  • 50代:4,812,000円
  • 60代:1,166,666円

一般企業であれば、年齢が上がると給与も上がる傾向にあります。

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しかし、今回のデータを見る限り、土地家屋調査士の場合は必ずしも年齢で年収が大きく変化するというわけではないようです。

経験年数別の年収

では年齢ではなく、土地家屋調査士業務の経験年数別の平均年収はどのようになるのでしょうか。

  • 1年未満:3,329,230円
  • 1年以上~3年未満:3,664,285円
  • 3年以上~5年未満:4,593,750円
  • 5年以上~10年未満:4,581,538円
  • 10年以上:5,661,567円

「3年以上~5年未満」「5年以上10年未満」がほぼ横ばいではありますが、経験年数が増えるにつれ右肩上がりに年収が上がっていくのがわかります。

土地家屋調査士業界は実力主義のため、実務経験やスキルを重要視しています。そのため、転職の際も経験を気にされる採用側が多数です。

年収を上げるためには土地家屋調査士業務に長く携わり、能力を上げることがとても大切です。

自分の年収が相場低いと感じている方は、ぜひ転職エージェントにご相談ください。経験年数だけではなく、あなたのスキルをお伺いし適性な金額なのかどうかチェックさせていただきます。

資格の有無別の年収

続いて、土地家屋調査士資格の有無で年収は変わってくるかどうかをお話ししていきます。

  • 資格あり:5,134,814円
  • 資格なし:4,186,538円

上記の結果では、やはり資格がある方が年収は高い傾向にあります。理由としては資格手当などの福利厚生の部分があります。

しかし、資格なしの中には、年収600~800万円と平均を遥かに上回る年収を稼いでいる方が何人もいらっしゃいます

下記では土地家屋調査士補助者でも稼げる理由や方法を解説しておりますのでぜひご覧ください。

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学歴別の年収

土地家屋調査士業界に入るために、学歴は関係ありません。とはいえ、他の業界では学歴により年収が異なるケースもあります。

では、学歴は年収に関係があるのでしょうか?下記が調査結果です。

  • 高等学校:4,779,310円
  • 専門学校:4,957,500円
  • 4年制大学:4,547,857円
  • 大学院:4,626,666円
  • その他:4,250,000円

この結果を見ていただいた通り、土地家屋調査士の年収は学歴で大きな関係はないようです。

やはり、学歴よりも経験がとても重要だということがわかります。

出身学部別の平均年収

土地家屋調査士を希望する方から「自分は文系出身ですが、土地家屋調査士を目指せますか?」とよく質問をされます。

実は、今回アンケートに回答してくださった方の出身学部の内訳は下記の通りです。

  • 文系:59名
  • 理系:42名
  • その他:5名

文系の方が半数以上となっており、一番多い結果でした。

LEGAL JOB MAGAZINE編集部
理系の知識を持っていた方が業務上での理解が早いという利点はあるものの、土地家屋調査士になるのに理系も文系も関係ないようです。

出身学部別の年収の違いはこのようになりました。

理系・文系別で年収を出しましたが、結果はほぼ年収は変わらずという結果でした。

このように出身学部は関係なく、土地家屋調査士業界で活躍できます。

男女比と男女別の年収

男性のイメージが強い業界ですが、男女比や男女別の年収の変化はあるのでしょうか。

下記で男女比とそれぞれの平均年収をご紹介します。

男女比

男女比は、下記のとおりです。

  • 男性:100名(94.3%)
  • 女性:6名(5.7%)

屋外の仕事や力仕事も多いため、昔から男性が多い職種です。今回のアンケートに回答してくださった方の6名中3名が有資格者でした。

平成18年度の土地家屋調査士試験合格者は男性94.2%、女性5.8%でしたが、令和3年は男性90.8%、女性9.2%になっているので徐々にですが女性土地家屋調査士も増えつつあります。

出典:日本全国あなたの近くの土地家屋調査士

男女別の平均年収

  • 男性:4,777,800円
  • 女性:2,866,666円

女性の年収が男性に比べ低いという結果がでました。

このアンケートで女性の年収が低かったのは、ご回答いただいた女性は経験があるものの、時短やパートなどフルタイムの正社員雇用ではない方も多かったのが理由でしょう。

LEGAL JOB MAGAZINE編集部
実際弊社が転職支援を行っている中では、同じ条件の男女で年収の変化があるということはありません。

ただ、やはり女性の場合、結婚や出産でライフスタイルを変える方も多いため、今回はこのような結果になったと考えられます。

土地家屋調査士の転職では、まだまだ男性が多い職場故、働きやすさなどを気にされる女性も多くいます。

もし、そのようなお悩みがある方はぜひ転職エージェントにご相談ください。希望の働き方や雰囲気に合わせて、あなたに合う求人をご紹介いたします。

業務や現場数での年収の変化

土地家屋調査士業務と言えば、測量など外業のイメージが強くあると思います。しかし、実際は外業だけではなく内業もとても大切です。

下記では外業・内業の割合で年収は変化するのかをお話ししていきます。

業務割合

  • 外業多め:62.3%(66名)
  • 半々:21.7%(23名)
  • 内業多め:16%(17名)

WEB上で見かける記事では「外業と内業は半々であることが魅力」と書いてある記事が多いですが、実際は半々ではなく外業が多いことが判明しました。

測量の後は、事務所などに戻り書類や図面などを作成するため内業も行う場合がほとんどですが、どうしても移動や測量で拘束されている時間が長くなるため外業が占める時間が多くなります。

業務割合別の平均年収

つづいて、業務割合別の平均年収です。

  • 外業多め:4,473,939円
  • 半々:5,239,130円
  • 内業多め:4,658,823円

上記の結果から、外業・内業どの業務が多いからといって年収が変化することはないようです。

では、純粋な測量件数で比較した時、年収の変化はあるのでしょうか。

下記は1週間に行く平均的な現場件数と年収です。

  • 1~4件:60.8%
  • 5~9件:27.5%
  • 10~14件:7.8%
  • 15~20件:3.9%
  • 1~4件:4,514,516円
  • 5~9件:5,212,857円
  • 10~14件:4,437,500円
  • 15~20件:5,530,000円

今回の結果では、一番件数の多い「15~20件」が年収が高い結果となりました。

数多くの現場をこなせると高い評価を得られることは間違いありませんが『現場件数=年収が高い』とはなかなか言えません。

残業時間

土地家屋調査士の月の残業時間は繁忙期と閑散期で大きく差がでます。

▼繁忙期

  • 10時間未満:13.2%
  • 10〜20時間未満:18.9%
  • 20〜30時間未満:16.9%
  • 30〜40時間未満:19.8%
  • 50時間以上:28.4%
  • 該当なし:2.8%

▼閑散期

  • 10時間未満:53.7%
  • 10〜20時間未満:21.7%
  • 20〜30時間未満:14.2%
  • 30〜40時間未満:4.7%
  • 50時間以上:5.7%

上記を見てもらってもわかるように閑散期は残業時間10時間未満が多いのに対し、繁忙期は50時間以上の方が多い傾向です。

では、残業時間による年収の変化はあるのでしょうか。

▼繁忙期

  • 10時間未満:3,892,307円
  • 10〜20時間未満:4,345,000円
  • 20〜30時間未満:4,382,222円
  • 30〜40時間未満:5,173,636円
  • 50時間以上:5,209,333円
  • 該当なし:2,833,333円

▼閑散期

  • 10時間未満:4,400,000円
  • 10〜20時間未満:4,481,739円
  • 20〜30時間未満:5,506,666円
  • 30〜40時間未満:5,500,000円
  • 50時間以上:5,166,666円

今回の調査では、残業時間が多ければ年収も高いというデータがでました。

また、土地家屋調査士事務所などはみなし残業のイメージが強い方もいらっしゃいますが、中には残業代を全額支給する事務所などもありますし、残業でこなした案件件数が評価につながっている場合もあります。

しかし、中には長時間残業をしているのに全然給与に反映されないこともあります。

LEGAL JOB MAGAZINE編集部
経験者の方から、特に残業時間と年収を比較したときに、「残業代を出してほしい」「評価して昇級してほしい」「年収アップではなく、残業を減らしてほしい」といった不満を聞きます。

同じお悩みがある方は、就業先を変えることによって改善できることがありますので、お気軽にエージェントにご相談ください。

弊社の転職エージェントがあなたの希望をお伺いし、希望にマッチした求人をご紹介いたします。

働く環境による年収の変化

土地家屋調査士が働くところは土地家屋調査士事務所だけではありません。

実は公務員や株式会社などの一般企業で働いている方もいらっしゃいます。

そして、働いている職場の形態だけではなく、地域での違いはあるのでしょうか。

下記ではそれぞれの平均年収をご紹介します。

勤務形態ごとの平均年収

土地家屋調査士の勤務形態別平均年収
  • 株式会社、有限会社:4,322,727円
  • 土地家屋調査士事務所(個人事務所):5,047,741円
  • 土地家屋調査士法人:4,597,272円
  • 公務員:5,000,000円

上記のように、土地家屋調査士事務所勤務の年収5,047,741円が一番高く、公務員の方が年収5,000,000円と続いています。

地域別の平均年収

  • 北海道:6,100,000円
  • 東北:3,200,000円
  • 関東:4,888,709円
  • 中部:4,966,666円
  • 関西:4,416,666円
  • 四国:4,000,000円
  • 九州:3,145,000円

地域別で見た時の平均年収の違いですが、今回のアンケートでは北海道が一番多い年収6,100,000円となっており、続いて中部の年収4,966,666円、関東の年収4,888,709円と続きます。

北海道の方の年収が多い理由の一つとして、今回ご回答いただいた方の大半が経験10年以上のベテラン層だったことが考えられます。

土地家屋調査士が年収を上げる方法

今回のアンケートから、土地家屋調査士が年収を確実に上げるためには経験値を上げることが重要だということが見えてきました。

では具体的にはどのように年収を上げていくのかを解説いたします。

業務が一人前にできるようになる

当たり前ですが、未経験や経験が浅い方はまず確定測量・現況測量が十分にできるようにしましょう。

「確定測量・現況測量を一人前に出来るようになる」というのが1番はじめの目標となります。

そして、登記関係や図面作成も行えるようにしておくことで一気に市場価値が上がります。

LEGAL JOB MAGAZINE編集部
一通りの業務を一人前に出来るようになると、年収の交渉や転職をしようと思った時、現在の年収をアップさせる材料となるので、まずはここを目指しましょう。

チーム・社内のマネジメント力のスキルをつける

測量の際、チームメンバーに円滑に指示出しができるリーダーシップ性が、土地家屋調査士には求められます。

チームだけでなく、部署内などの社内のマネジメントに携わってきた経験も非常に歓迎されます。

マネジメント経験をしてしっかりと評価されると、将来的に新しい支店を展開するときの支店長や、役員など役職がついたりすることがあり、さらに年収アップが見込めます。

クライアントや境界立ち合いの際、近隣住民の方と話をする場面もあるためこちらも重要なポイントです。

営業力をつける

営業力があればかなり歓迎されます。営業力とは、仕事や案件の受注力です。

エンドユーザーとの会話から新しい仕事を引き出し、インセンティブにより年収を上げることも可能になります。

案件が増えて嫌がる事務所はありません。営業力をつけることで、勤務先からも評価され昇級にもつながります。

ダブルライセンスの取得

ADR土地家屋調査士や宅地建物取引士、行政書士や司法書士など、土地家屋調査士業務に活きる資格の取得も年収アップには有効です。

土地家屋調査士として専門性を高めるのと同時に、自身の価値を高めることができます。

下記では年収アップや昇給に繋がる資格についても詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

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自分の年収は適正なのか気になっている方へ

現在の年収で、以下のようなお悩みはありませんか?

  • 自分の年収は相場と比べどのような差があるのか
  • 転職すればどの程度の年収アップが見込めるのか知りたい
  • そもそも自身が年収を上げるためには何が必要なのか知りたい

これらのお悩みは、土地家屋調査士専門の転職エージェント「リーガルジョブボード」までご相談ください。

業界に精通したプロが適性に関するご相談のほか、年収、残業などの様々な疑問にお答えいたします。

※転職意思の有無にかかわらず、キャリア相談や情報収集のみでお気軽にご利用いただけます。

この記事の執筆者

LEGAL JOB MAGAZINE 編集部

編集部

士業専門の業界・転職情報メディア「LEGAL JOB MAGAZINE」の編集部。 司法書士や弁護士、弁理士、知財職種、土地家屋調査士、測量士などの職種を取り扱っています。 転職・就職ノウハウと業界知識に関する記事を中心に、インタビュー記事やイベント情報も発信します。

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