弁護士は英語力が必要?活かせる場面|英語ができない場合のキャリア
by 大阪弁護士会所属 弁護士M
弁護士(14年目)
- 担当職種:
こんにちは。リーガルジョブマガジン編集部です。
本記事では、大阪弁護士会所属M先生監修のもと、「弁護士に英語力は必須なのか」「どのくらいの英語力が必要か」を解説します。
法律事務所や企業によっては、募集要項に「TOEIC何点以上」「英語を用いた実務経験歓迎」といった条件が書かれている場合があります。実際に、英語力がないと就職や転職は難しいのでしょうか?
本記事ではそのあたりも含め、弁護士と英語力の関係性について解説します。
英語力は弁護士に必須なのか
結論、弁護士として働くにあたって英語力は必須ではありません。
以下のような業務を扱う場合、ほとんどが日本人間の争いであり、英語力を求められる場面は少ないです。
- 相続や離婚等の一般民事事件
- 債権回収
- 国内で起こった刑事事件
英語力が求められる業務・職場
弁護士の業務において、英語力が求められるケースを具体的に見ていきましょう。
該当するキャリアや業務・職場を希望する場合には、使用度に応じた英語力を身につける必要があります。
渉外弁護士 必要度☆☆☆
渉外弁護士は、英語を用いた法律事務所での実務経験が重視され、ビジネスレベルの英語を問題なく使える方が歓迎されます。
業務としては、顧問先の契約書作成、チェック等があります。顧問先が海外の事業者と取引を行う場合、契約書は基本的に英文です。渉外案件が主な業務になるのであれば、英語力は必須といえるでしょう。
また、契約書の修正事項等について、英語で相談できた方が良いケースもあり、スピーキング能力も必要です。
渉外案件を多く扱っている事務所のほとんどが準大手・大手の法律事務所です。これらの事務所の多くは5年ほど勤務した弁護士に限り、本人が希望する場合にアメリカのLL.M.などへの留学を支援する制度を用意しています。
留学後は、ニューヨーク州等の外国弁護士資格を取得したり、日本に戻りパートナーになるなどのキャリアを選択される方も多くいらっしゃいます。
渉外弁護士の求人
弁護士法人マーキュリー・ジェネラル
金川国際法律事務所
外資系法律事務所 必要度☆☆☆
外資系法律事務所とは、
- 海外に拠点がある事務所の日本支部
- 海外の事務所と提携した国内の法律事務所
などが、外資系の法律事務所として分類されます。
業務内容は、基本的に「国際的な法律の案件」を受け持つことが多いです。
一般的には、「一般民事」と「法人向けの企業法務」に分かれますが、外資は国際系の企業法務の案件を扱います。
外資系法律事務所で必要とされる英語力は、求人において「ビジネスレベルで英語が使える」と記載されていることが多く、英語を用いた法律事務所での実務経験が重視されます。
外資系法律事務所の求人
DT弁護士法人
企業法務系の法律事務所 必要度☆☆
企業法務系の法律事務所は、高い英語力が求められることがあります。
企業法務を扱う法律事務所では、基本的に「海外案件」や「英語案件」があるからです。
そのような案件は、名前の通り英語を用いて業務にあたるので、英語力が必須となります。
企業法務弁護士の求人
弁護士法人第一法律事務所
法律事務所ZeLo・外国法共同事業
企業内弁護士(インハウスローヤー) 必要度☆
企業内弁護士の場合は、就職・転職を希望する企業が外資系やプライム上場企業である場合、英語力を求められることがあります。
これらの企業を志望する場合はどのくらいの英語力が必要なのか、求人などで事前に確認するようにしましょう。
企業内弁護士は弁護士の就職先の中では「残業が少ない」「給与が安定している」ため、希望する方が増えてきています。
企業内弁護士の求人
TOPPAN株式会社
株式会社三菱UFJ銀行
アクセンチュア株式会社
企業内弁護士の業務内容、就職・転職方法、年収については以下の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。
合わせて読みたい記事はこちら
必要なTOEICスコア・求められる条件
一般的な法律事務所において応募条件としてTOEICスコアや英語能力が必須となることはあまりありません。一方で、英語を多用する職種・職場ではTOEICのスコアや英語経験が必須条件として定められることがあります。
例えば、渉外案件を扱う事務所の場合、ビジネスレベルの英語力や、英語での仕事経験が1年以上あることを必須条件とする事務所があります。
企業内弁護士の場合、必須条件としてビジネスレベルの英語ができることを定める企業や、歓迎条件としてTOEIC800点以上、ビジネスレベルの英語、留学経験を定める企業があります。
事務所・企業によって異なるため、詳しくはリーガルジョブボードの求人ページから気になる求人の詳細をご確認ください。
英語力を身につけるメリット
ここまで、英語力が求められる業務や職種・ケースについてお話してきました。
まとめると、英語力を身につけると以下のようなメリットが生まれることになります。
業務の幅が広がる
英語ができるようになると、業務の幅が広がります。
英文契約書の作成、チェックもそうですが、外国人労働者問題を扱えるようになったりと、英語ができることで顧客の幅が広がりますので、英語力を身に着ければ、取り扱える業務の幅が広がります。
年収・収入が上がる
上記と繋がりますが、取り扱える業務が多くなるということは、それだけ依頼が多くなり、収入アップにもつながります。
英語ができることで、外国人の顧客が新しい外国人を依頼者として紹介してくれたりするなど、結果的に業務の幅の広がりや収入アップにつながるというわけです。
ただし、英語だけが年収に大きな差を生むわけではありません。
英語が不必要な事務所でも年収1,000万円を超える場合があれば、英語必須の事務所で年収1,000万円を超えないケースも存在しています。
英語はあくまでも収入アップに繋がる手段の1つとしてとらえると良いでしょう。
英語力を活かしてキャリアアップした弁護士の転職成功例
28歳 弁護士 Aさん(リーガルジョブボードでご転職)
前職 | 現職 |
弁護士 年収:420万円 | 渉外弁護士 年収:700万円 |
Aさんは、持ち前の英語力を活かして渉外弁護士へとキャリアステップされました。年収の大幅アップに加え、業務の幅も広がりさらなるスキルアップが見込めると感じておられます。
英語力がなくても就職・転職は十分に可能
英語力がなくとも弁護士として就職・転職することは十分に可能です。
英語力があれば給与面やスキルアップの観点ではメリットが多く存在しますが、英語力がないからと言って一切仕事ができないということはまったくもってありません。
例えば、英語に自信がない方には「債権回収」「相続や離婚などの一般民事事件」「国内で起こった刑事事件」等を扱う法律事務所が一つの選択肢になります。
また、企業内弁護士の場合は所属する企業によって英語の必要とされる度合いも異なるなど、英語に自信のない方でもキャリアの選択肢は様々です。ご自身の経験やスキルを最大限活かせる職場を探してみましょう。
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