秀和特許事務所の弁理士・特許技術者インタビュー|業務内容や働き方・教育体制を聞きました
by LEGAL JOB BOARD 大澤
コンサルタント
- 担当職種:
弁理士・特許技術者の転職を支援する「リーガルジョブボード」の大澤です。
約50名の弁理士が所属する「秀和特許事務所」に職場・採用インタビューを実施し、2024年7月末に移転したばかりの東京オフィスにて、弁理士・特許技術者の方4名からお話を伺いました。
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▶︎ 弁理士・特許技術者(機械・電気・情報)
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この記事の目次
インタビューさせていただいた4名のプロフィール
今回のインタビューには、弁理士の向井先生、木曽先生、小林先生、そして特許技術者の高橋さんが参加してくださいました(※写真右から向井先生、木曽先生、小林先生、高橋さん)。
専門は機械分野で、特許調査も行なっています。知財教育にも携わっており、大阪大学知的基盤総合センターの特任准教授を務めています。
2021年に特許技術者として秀和特許事務所に転職し、2023年の弁理士試験に合格しました。主に機械構造系の案件を担当しています。
2022年に特許技術者として秀和特許事務所に入所し、その年の弁理士試験に合格。バイオや化学系の案件を主に担当しています。
2021年に秀和特許事務所に入所し、化学系の案件を担当しています。現在、弁理士試験合格を目指しながら勉強中です。
入所理由・知財に興味を持ったきっかけは?
そこから知財や弁理士に興味を持ち、30歳前後で特許事務所に転職しました。秀和特許事務所に決めた理由としては、最新の分野を含む幅広い分野に触れられると思ったためです。
職場の環境として、テレワークが定着していることや、所員の皆さんの柔らかな雰囲気にも惹かれました。
前職は研究者の方をサポートする仕事でもあったので、同じような側面を持つ弁理士の仕事を面白そうだと感じるようになったんです。
転職先を決めるにあたって、秀和特許事務所には私と同じように未経験で採用された所員の方が多くいて、ここならしっかりと指導していただけそうだと思いました。
あとは木曽先生と同じく、リモートワークなどフレキシブルな働き方に魅力を感じたことや、バイオ系の案件を担当できることも入所理由ですね。
「海外に関わる仕事がしたい」という思いからだったのですが、コロナ禍で海外出張に行けなくなり、輸入に関連したルールなども変わってしまい…。そのことがきっかけとなり、より安定した仕事がしたいと思い転職しました。
秀和特許事務所への入所理由としては、未経験かつ弁理士資格なしで受け入れてもらえたことが大きいですね。
私と同世代の20代後半〜30代前半で未経験で入所して活躍中の方も多いと聞き、教育体制が整っていそうだと感じられたことも理由の一つです。
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日々の業務内容とリモートワーク体制について
担当している案件によって、仕事の進め方や具体的な作業内容は様々ですが、基本的に1日中パソコンに向かっている感じです。
あとは若手の方の指導や教育にも携わっていますし、大学の授業期間中には週1回大学に出向いて講義も行いますよ。
ざっくりですが1日の動きは例のような感じです。
▼木曽先生の1日のスケジュール例
08:30~ メールやチャットを確認
09:30〜 中間対応
13:00〜 明細書作成、社内・社外の打ち合わせや研修
19:00〜20:00頃 退勤
中間対応や明細書作成がメインですが、1日を通して、海外代理人へ提出するレターや特許庁への提出書類のチェック業務があります。
社内や社外の打ち合わせは、1日に1回あるかないかくらいです。チームでのミーティングは週1回設定されています。
最近だと、国内クライアントの国内・外国出願の中間処理がメインです。他にも、明細書作成や国際出願の国内移行手続なども行っています。
1日の動きとしては、9時半から19時くらいで働くことが多いです。ほとんどの時間は明細書作成や中間処理などの書類作成をしていますね。
そこに時折、部内ミーティングや発明者との打ち合わせ(発明内容の相談など)、所内研修・セミナー、外国代理人の訪問対応などが入る感じです。
指導してくださっている弁理士の方に相談しながらではありますが、かなり実践的に仕事ができています。
1日の動きは例のような感じで、繁忙期など以外は9時半から18時くらいの勤務です。
▼高橋さんの1日のスケジュール例
09:30頃 出勤、メールやチャットを確認
09:30〜12:00 応答書面等の作成補助
12:00〜13:00 昼休み
13:00〜17:30 明細書などの作成補助
18:00頃 退勤
私は弁理士試験の受験勉強もしているので、週1回は退勤後に予備校に通っています。
最近ちょっと出社することが増えたんですが、それでも週1〜2回くらいです。弁理士・特許技術者の方は、皆さん大体それくらいの出社頻度だと思いますよ。
コロナ禍になる前から、所内でリモートワークに対するニーズがあったんです。子育てや介護で出社するのは難しいけど、家で手を動かすことはできる、という感じで。
そういったニーズをきっかけに、知財管理システムやTeamsを導入したり、リモートワーク環境を整えていきましたね。
その動きがコロナ禍で加速して、一気に所内に定着したので、結果的に他の事務所に先駆けてフルリモート体制が整いました。
“考えること”は大変だけどやりがいがあって面白い
私は機械系の案件担当ですが、物の構造や仕組みなどを含めて文字だけで説明する必要があります。図などを使わずにどう表現するか、余計な文章は含まれていないかなど、ずっと検討できてしまいます(笑)。
これはクレーム作成だけでなく明細書作成にも共通しますが、基本的に文字で表さないといけないのが大変であり面白いです。
一旦作成しても、次の日に見ると「なんか違うな」となることもしばしば…。
複数の案件を抱えているので、時間に限りがある中でもブラッシュアップして良い内容に仕上がると嬉しいし、達成感があります。
改めて「ここまで日本語に向きあうことはないな」と感じます。
あとは特許調査を得意としていて、やりがいがあるというか楽しくやれていますね。特許調査では、文献をスクリーニングしながら、調査対象の構成と合致するか否かや、文言の意味内容を常に考えています。
様々な特許公報や文献を見ること自体が面白いのですが、他の業務よりも比較的アウトプットにあてる労力が少ないため、考えることを純粋に楽しめるように思います。
今は指導する立場でもあるので、教育や指導にもやりがいを感じます。
学生時代や前職でやっていたことは、今思えば狭い範囲のことだったと感じていて…。この仕事をしていると、本当に色々な技術や発明を知ることができます。
内容が難しいかどうかは別として、「こういう問題点があり、発明者はこうした」といった知識やプロセスを聞くのが面白いです。その上で自分なりに解釈をして、明細書などを作っていくのも面白いですし、やりがいを感じますね。
中間処理に関して、自分が明細書を書いていなくても途中から対応することがあるんです。その際に内容を理解して、どうすればうまく権利化まで進めていけるかを考えて、自分なりに挑んでいくのもやりがいを感じます。
あとは中間対応の補助業務などでも、結構苦戦することがあって。そういう時に「私の技量が足りないから苦戦してしまうんじゃないか」と思ったりするんですが、そういう案件こそ無事に特許になると安心します。
苦戦する案件では「同じ出願内容でも、携わる人によって権利化できるか否かが変わってしまうのではないか」と感じることも多々あります。
自分のスキルや技量次第で、クライアントの発明がどうなっていくか行く末が変わってしまうのは、この仕事ならではの大変なところではないでしょうか。責任があるからこそ、やりがいや喜びがありますね。
私は良い議論ができた時や、こちらが提案した内容に対して「それいいですね!」と反応をいただけた時にも、やりがいを感じますね。
業務中、「考えること」は常に走っている感じですかね。特にクレーム案を考える時には、時間を忘れていくらでも没頭できてしまいます。
とはいえ、考えている時にずっと楽しいかと言われるとわかりませんが…(笑)。考えた先に良い結果が待っていると、「良かったな、楽しかったな」と思えます。
業務中は考えながら作業をしている時間がいちばん長くて。とりあえず考えながら書いてみたり、手を動かしてみたりという感じです。
今は担当する案件数が増えて、考えることだけに集中する時間は取りづらくなっていますが、最初の頃は担当する案件も少なめにしていただけるので、結構納得いくまで考えられていましたね。
後になれば、それを間引いて短くしていく作業が必要になりますが、最初のうちにしっかりと考えることができるようになって欲しい、身につけて欲しいという思いがあります。
また新規の案件は、挙手制で担当者が決まることもあるので、新しい業務や多様な業務にチャレンジしやすい環境だと思います。
未経験でも安心のサポート体制で成長できる
また、分からないことがある時や困っている時に、放っておかれるようなことは決してありません。聞いた先で解決しなくても、代わりに分かりそうな人を探してくれたり。困っていれば絶対に誰かが助けてくれます。
部署によって空気感というかノリなどは違うかもしれませんが、「他の部署のことは知らない」といったことは一切なく、事務所全体で密にコミュニケーションを取れていると感じます。私は関西オフィスですが、それでも疎外感を感じることはないですね。
お互いに助け合う文化や空気感はしっかりあるので、未経験でも安心して入所いただければと思います。
リモートワークで一人でパソコンと向き合っていると、世界が狭まってしまうというか…。苦しくなってしまうので、自分が困っている時は早めに自分から発信するようにしています。
そういう時に、しっかりと助けてもらえる環境が整っていることがすごくありがたいと感じますね。
がっつりOJTで教育担当の方が一人付いて、教育やフォローをしてくださっていましたね。
詳細な教育方法は人によると思いますが、困った時に誰に頼れば良いかが最初からはっきりしていたのがありがたかったです。不安になることや、悩みすぎてしまうことはなかったように思います。
明細書などの文章作成を一から行うのは、難易度が高いので。すでに出来上がっている明細書、それに対する審査官からのコメント、引例など、材料がそろっている状況で判断できる中間対応の応答案からやってもらっています。
事務所の名前を出して仕事をするので、「事務所としての型があった方が良い」ということで。ある程度は統一された、ベーシックな考え方やアウトプット方法を伝えています。1〜2年目までに、一度は必ず参加する研修です。
受験勉強に対する配慮などはしていただけるのでしょうか?
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穏やかな雰囲気の中で自由に働ける職場環境
特に私と小林さんが所属する化学・バイオ系のチームは、同年代の方も多く、ちょっとした困りごとも相談しやすいです。
入所前はなんとく、気難しい方が多いのかなと思っていたのですが…(笑)。入所してみて、穏やかな方が多くて安心しました。
全所的な交流として、行きたい人たちで飲みに行ったり、サークル活動もあります。からあげ部、餃子部とかもありますよ(笑)。
公認サークルだと、ゴルフやマラソン、バトミントンなどがあります。公認サークルには、事務所から活動補助が出る制度があるんです。
他にも柔軟さなどを感じるポイントはありますでしょうか?
特許事務所や士業の事務所では、かっちりした側面ももちろん必要だと思っていますが、秀和特許事務所はそこにITベンチャーを足して2で割ったような雰囲気があると私は感じていますね。
現段階では、全社的に全員がコンサルもやっていきましょうといったことはありませんが、知財コンサルティングのセクションを作って動き出していますね。
ちょっと用事がある時に中抜けができたり、子育て中にも利用しやすいと思います。
休暇関連で言うと、私は育児休暇を昨年2週間取得しました。特許技術者の方や男性の方も、育児休暇を取得される方が多いですよ。
特に弁理士は裁量労働制なこともあり、自分でしっかりと業務を管理できていれば、メリハリをつけて自分のペースで働くことができます。問題なく仕事ができていれば、特に何か言われることもありません。
私は未経験で入所して、経験もまだ浅い方ですが、「信頼して仕事を任せてもらえているんだな」と思えます。信頼してもらっていると自覚できるからこそ、その気持ちに応えたいと思い、頑張って働けています。
先輩や上司の皆さんが、私たち若手を大切にしてくださっている雰囲気がありますね。
“自分で考えることができる方”と一緒に働きたい
新しい発明や技術に興味を持って仕事に取り組める方がいてくれると、チームとして盛り上がるというか。事務所内も同じような雰囲気があるので、そういう方が合うのではないかと思います。
リモートワークが基本なのでオンラインでも、もちろん対面の時にも、「ちょっとここを相談したくて…」や「こういうことを考えていて…」みたいなコミュニケーションが取れる方は、合うんじゃないかなと思います。
技術と法律どちらも勉強しなくてはならない仕事なので、興味を持って取り組める方が良いのかなと思います。
あとはやはり、自分なりに考えることができる方がいいのかなと思います。
その上で、「自分のしている仕事がなんなのか」をちゃんと理解できる方でしょうか。
もちろん指導も行いますが、自分のアクション次第でクライアントの権利や発明の行く末が変わることを、本当の意味で理解して仕事をしていって欲しいです。
仕事の責任の重さを自分ごととして認識できる方ほど、成長速度が早いと思います。そのような方とぜひ一緒に働きたいですね。
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