「毎日、刺激がある職場です。」スタートアップ支援を行うOne ip弁理士法人の澤井さんにインタビュー
by LEGAL JOB BOARD 三島善太
コンサルタント
- 担当職種:
※本記事の内容は、インタビュー実施時点での情報となります。
こんにちは。弁理士・知財専門の転職エージェント「リーガルジョブボード」の三島です。
今回は、「One ip弁理士法人」の所員である澤井周様に、「職場や採用についての独占インタビュー」を行いました。
澤井先生は大学院卒業後、学生時代に培ったサイエンスの知識を活かすべく知財の世界へ入られました。業務を行う中で企業知財部へ自ら手を上げられ、様々な場所で経験を積まれるなど経験豊富な先生です。
環境の変化のタイミングで転職を考えられ、知財イベントでOne ip弁理士法人に出会われたそうです。今回はこのようなご経歴を持つ澤井先生について、たくさんお話を聞きました!
また、この記事ではOne ip弁理士法人について、
- どんな事務所なのか
- 何をやっているのか
- どんな方がより活躍できるのか
などについてお聞きしたので、応募や選考を考えている方はぜひご覧ください。
※弊社では、リーガルジョブボードに求人をご掲載されている事務所様・企業様のインタビューを行っております。
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この記事の目次
インタビューにご協力してくださった方:澤井 周先生
東京大学工学部産業機械工学科卒業、同大学修士課程修了。
大手素材メーカー勤務後に、東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻博士課程に進学。
その後は、日本学術振興会特別研究員として機械材料に関する研究業務に従事し、博士(工学)を取得。
2014年に都内特許事務所に入所。
機械、自動車、金属・無機材料、情報処理、IoT関連分野の国内・外国出願権利化を担当。
2016年、在所中に弁理士試験合格。
2017年弁理士登録後、クライアント知財部へ出向。
発明発掘、出願権利化、知財企画、知財戦略支援、研究者への知財教育等を担当するほか、新製品・新事業モデルを見据えた知財戦略・特許網構築の支援に尽力した。
2019年、出向契約終了と同時に都内事務所を退職。
R&Dと事業戦略とに密接した知財支援をさらに進めるべく、One ip弁理士法人に参画。
弁理士 澤井先生について
サイエンスのバックグラウンドを持つ澤井先生
ー知財に関わるまでの経歴について教えてください。
大学の修士課程を卒業後、大手素材メーカー勤務しました。
しかし、もう1回研究をやりたいという気持ちもあり、勤務先を1年で退職し、博士課程に進学しました。
大学院では機械工学の研究、特に摩擦や潤滑などエンジンの部品に用いられる摩擦材料の研究をしていましたね。
その後は元々は研究職考えていましたが、今までの知識を生かせる知財の業界に進むことにしました。
大学院で学んだサイエンスやテクノロジーの知見や経験を生かせることや、事務所の雰囲気などを重視し、2014年に都内特許事務所に就職しました。
ーなるほど。ちなみに前の事務所ではどんなお仕事をされていたのですか?
主に、機械、自動車、金属・無機材料、情報処理、IoT関連分野の国内・外国出願の権利化を担当していました。
そして、事務所在籍中の2016年に弁理士試験に合格しました。
企業内弁理士の経験
ークライアント先の知財部に出向の経験をお持ちだと思いますが、そこへ出向をしたきっかけや学んだことなどはありますか?
出向のきっかけは、クライアントからの要望で、事務所から知財部に出向してくれる人材が欲しいという話があったのです。
クライアントの事業内容や技術を現場で理解してもらうと同時に、知財実務に関して助言が欲しいという旨の要望でした。
当時の自分は、弁理士資格も取り、業務内容にも慣れてきたタイミングではありましたが、一度事務所の外でしかできない仕事をしてみたい、という気持ちから自ら手を挙げて出向を引き受けました。
2年間の出向でしたが、クライアントの技術の理解はもちろんのこと、最初の半年は出向先の事業内容を把握するのに苦労しました。
特に、出向先の研究開発の状況や事業との関係性がどうなっているかを0から学ぶことが大変でしたね。
具体的な業務としては、大手企業の研究部サイドの知財部に所属し、発明発掘や事務所とのコミュニケーションを行って、出願や権利化を支援するものでした。他にも、研究者の皆さんへの知財に関する教育や、出願計画の管理などもありました。
毎日フルで出勤していたため、完全に企業の人になっていましたね。
もちろん、最初は大変でしたが、現場は楽しかったですし、組織で働くとやりがいもあっていい勉強になりました。
ー知財部での経験はどのように活かされているとお考えですか?
発明の背景をきちんと理解することが、一番活かされている点だと思います。
発明の背景を理解することは、お客さんと話していく中で特に注意しているところです。
研究者がなぜそのテーマについて研究しているのか、クライアントにいつどのタイミングで研究の価値を提供するのかをしっかりと把握することは大切にしています。
単に目の前の仕事をするのではなく、事業的な背景と結びつけて、事業に対する特許ポートフォリオを構築することを意識して議論していたので、その経験は活かせているのではと思っています。
出向先の上司には、知財部における仕事の仕方を一から丁寧に指導していただいたので、今でも本当に感謝しています。
スタートアップ支援に興味を持ちOne ipへ
転職のきっかけ
ーなぜOne ipに転職をしようと思ったのか教えてください。
私自身の環境の変化のタイミングで、これまでの経験を活かしつつも、弁理士として新しいことをしたいと思い、とある知財イベントに参加したのですが、そこで中畑さん(One ip代表パートナー弁理士)に出会いました。
正直、最初はスタートアップの知財どころか、スタートアップそのものについても詳しくありませんでしたが、中畑さんの話を聞くにつれて、新しい発見のようなものがあり、最終的に一番頭の中に残った事務所がOne ip(当時のiPLAB Startups)でした。
スタートアップは然るべきタイミングで資金調達を行うことで、成長し、結果的に大きくなっていく、そのスタートアップの成長ステージに応じて必要な知財の支援を行っていくということを理解したことが、転職しようと思えたポイントかもしれません。
他にも何社か受けたのですが、転職活動をしていくうちに、一番面白そうだなと率直に思い、Oneipに決めたという感じですね。
ー転職の時に大変だったことは何かありましたか?
出向先の職場が地方だったので、東京に出ることができなかったことは大変でしたね。
特に、出願手続きが殺到する年度末と重ねっていたので、転職活動を並行しておこなったのは難しかったです。
幅広い業務でのご活躍
ー現在までの業務内容について教えてください。
最初は代表2人の仕事の手伝いから始めていきましたね。
その中で、知財戦略、調査業務、係争など、スタートアップの知財に関する実務を幅広く経験しました。
現在は、一人で、またはチームで、対クライアントでの知財戦略を行なったり、実際の明細書作成、、権利化までを行なっています。
さらに、クライアントのご要望や提案で調査業務、係争、契約書の知財条項のチェックなども行っています。
また、特許実務に関する所内の管理、事務所のマネジメント、メディアの手伝い、採用担当もしています。
One ipについて
「ずっと刺激がある職場」
ー職場環境に慣れるまでにどれぐらい時間がかかりましたか?
新しいことが増えてくるので、正直なところ今でも落ち着かないですね。
刺激がずっとあり、常に追い込まれているような状況です。
毎日が勉強であり、アウトプットも求められます。
クライアントのほとんどがスタートアップなので、知財を一から説明する必要がある場合もあります。
クライアントにとっての利益を最大化するために、時には出願すること自体メリットがなかったりなどを説明することもあって、お客さんの状況に応じて対応していく必要があるため、切り替えが難しいと感じることはあります。
一方で、大手企業はある程度出願内容が決まっているため、出願を前提としたルーティーン化した業務になっている事が多く、その点は他の事務所と大きく違う点かなと思います。
ー1日のスケジュールは前職の大手事務所と比べてどう違いますか?
打ち合わせの数が圧倒的に違いますね。
前は1週間に1回あるかないかで、後はデスクで明細書書いたりしていました。
でも今は週何回も打ち合わせがあったりして、その合間で業務しているため、時間のマネジメントが大変ですね。
ー今は何社ほどご担当されているんですか?
多くのクライアントを担当しています。継続的に支援させていただいているのは、軽重のバランスはありますが10社ほどです。
ー業務はチーム制ですか?個人制ですか?
基本的にはチーム制ですね。
チーム内で定期的に各担当者の状況を確認し、チーム内で互いにフォローする体制になっています。
基本的には個人ベースでやることが多いですが、チームか個人かはクライアントの規模感や状況、フェーズによります。
コミュニケーションが活発な職場
ー所内での会話はどれぐらいしますか?
コロナ前は結構多かったと思います。
クライアントのほとんどが、状況が日々変化するスタートアップなので、クライアントの情報や特許庁への手続が様々であり、そのため社内のコミュニケーションも積極的にとっていました。
ですので、普通の事務所よりは賑やかな方かなと思います。
ーコロナ後はどう変わりましたか?
今はslackなどのコミュニケーションツールを使ってコミュニケーションを取っています。
コロナ前からもコミュニケーションツールを使っていたので、コロナ後も特にこれまでとあまり変わりなく移行できていたと思います。
ただやはり、コミュニケーションのハードルが上がってしまったのは感じていますね。
文字だけで伝えるのは手軽ではありますが難しいところもあるため、定期的に1on1を実施するようにしています。
あとはチーム毎に、週に一度朝にMTGをして進捗を確認したり、全体のMTGをしてコミュニケーションをとっています。
状況に応じてコミュニケーションの取り方は変化させています。
仕事とプライベートの両立が尊重される理由
ー働き方で気に入っている点はありますか?
普通の事務所よりもフレキシブルに働けるところですね。
以前からリモートでできる環境を整えていたのでコロナ禍においてもすぐに対応できました。
家庭の用事を優先できるところもいいですね。
お子さんの体調が悪くなったりした場合も、もちろん自分の仕事の調整を図ったうえで、すぐにお子さんのもとに行くことができます。
みんなお互いさまという意識でできている風土があります。
ー私自身貴所とお付き合いさせていただく中で「仕事とプライベートの両立が尊重されている事務所」という認識が強くあります。そのような風土はどこから来ているとお考えですか?
元々代表二人にお子さんがいて子育ての大変さが分かっていたので、そういう組織ができ
ていったのではないかなって思います。
ですので、所員同士がお互いの家の事情を適度に理解していますね。
お子さんをたまに連れてくる方もいますよ。
この事務所にとって一番大事なのは、この事務所を育てていくことです。
働くメンバーも大切にすることで、働き続けたいと思える環境をつくる。
このような考えを、創業当初から所内全体に共有されていたと思います。
一方で、このような環境をつくるためには、メンバーの自己管理能力も重要になってきます。自らを律したうえで、ギブアンドギブの精神を持ってお互いを大事に考えることが重要です。
ー事務所として今後の目標はありますか?
「事業や経営に知財を組み込んでいくということを大手企業やスタートアップに関わらず支援する」
このOne ipならではのカラーをもう少し強く出したいですね。
弁理士の新しいキャリアとして、そういった新しい取り組みや支援をしているんだっていうことをもっと発信していきたいですし、新しいことをやりたいという人を求めています。
例えば、大企業とスタートアップのオープンイノベーションを知財の観点から支援することや、スタートアップの中から事業を知財の面から支えていくなどですね。
採用について
独自の業務内容だからこそ求める人材
ーどういう人材はOneipに向いてなさそうでしょうか?
まず、素直ではない人は難しいかなと思います。
他の事務所とやっていることが全然違うので、以前までのやり方が通用しないことが多いです。
仕事の考え方も、ただ特許を出せばいいというようなものではないので、その時に既成概念を取り払って、過去に自分が正解だと思っていたことを一旦全て捨てられるような人でないと難しいかなと思いますね。
あとは挑戦的ではない人も難しいです。
学びやフィードバックもないので、次につながらない仕事になってしまうと思います。
誰もやったことがないことをやっている事務所だからこそ、新しいアイデアを考えられたり受け入れられたりするような人を求めています。
ー所員から見て、事務所の改善が必要な点などはありますか?
持続可能な働き方ができるようにすることですね。
我々は代理人ですので、出来る限りクライアントの働き方に合わせる必要があります。
しかし、我々のクライアントはスタートアップが主ですので、スピード感が特徴的です。
例えると、100メートルを全速力で走るイメージですね。
その点においても、我々は継続的にサービスを提供しなければいけないため、常に全速力だと組織がもたなくなります。これでは逆にクライアントの期待に応えられなくなります。
無理なく良いサービスを提供し続けられるようになる必要があります。
具体的にはそれぞれクライアントに合った接し方を考えたり、事務所のポリシーをしっかり打ち出していくことが大事になってきます。
つまりは仕事に安定感を持たせることが今後の課題になるかなと思います。
澤井先生からのメッセージ
ー最後に、転職を考えている読者に一言お願いします。
One ipは、他の事務所と比べてクライアントの事業に深く踏み込んで知財支援を行うことができるため、難しくもありますが、それ以上にやりがいも感じられます。
新しいキャリアを実現したい方、お待ちしてます!
ー貴重なお話をありがとうございました!
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