企業知財部への転職はなぜ難しいのか?転職難易度について解説
by LEGAL JOB BOARD 三島善太
コンサルタント
- 担当職種:
こんにちは。知財専門の転職エージェント「リーガルジョブボード」の三島です。
本記事では「知財部への転職難易度」について解説します。
知財部への転職難易度は、知財部での実務の「未経験者」か「経験者」かで大きく異なります。以下3パターンのうち、あなたはどれに当てはまりますか?
①知財部未経験者が知財部に転職するケース
②弁理士や特許技術者が知財部に転職するケース
③一般企業の知財部員が他の企業知財部に転職するケース
結論から申し上げると、①と②は「知財部への転職難易度は高い」です。一方で③の場合は、十分に転職可能です。
上記の理由や知財部の転職事情などを含め、知財部への転職難易度について詳しく解説します。
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この記事の目次
知財部への転職難易度
繰り返しになりますが、知財部への転職が比較的難しいのは以下2つに当てはまる場合です。
- 知財部未経験者が知財部に転職する場合
- 弁理士や特許技術者が知財部に転職する場合
知財部が未経験である方はもちろん、同じ知財業界に属する特許事務所での実務経験者(弁理士や特許技術者)であっても、知財部への転職は難易度が高いとされています。
ここからは、①②それぞれのパターンに分けて、知財部への転職が難しい理由を解説いたします。
①「知財業界未経験者」が知財部への転職が難しい理由
「知財業界での実務経験がない方」にとって、知財部への転職は非常に難易度が高いです。
理由は「知財部はそもそも未経験者を採用するっていう文化や習慣がない」場合が多いからです。
知財部への転職成功者は「もともと知財部に勤めていた方」の内定割合が多いから
知財部への転職成功者は、元々知財部に勤めていた方が8.5割。つまり知財部から知財部への転職ルートが大半を占めるのです。
企業知財部が、未経験者採用を行っていない理由としては、そもそも知財部を持つ企業は大手メーカーが多く、中途採用の間口が狭いからです。
未経験から知財部での経験を積めるケースは、同じ企業の開発部門から社内異動して、知財部門の配属となるケースがほとんどで、中途採用で未経験者を採用することは、ほとんどありません。
絶対に転職ができないわけではない
中途採用で未経験から知財部に転職をするのは、難易度が高いと解説しましたが、絶対に転職ができないわけではありません。未経験の方でも知財部への転職が可能なケースが存在します。
知財未経験でも知財部への転職が可能になる条件
知財業界や知財業務が未経験の方でも、知財部への転職を実現できる可能性が上がるケースは以下の通りです。
- 年齢が若いorポテンシャルがある場合
- 理系大学出身である場合
- 読み書きのできる英語力がある場合
- 知財検定1~2級所有者・弁理士有資格者である場合
- 地方も含めて転職が可能な場合
- 弁理士・特許技術者として、知財業界での経験を積んでいる場合
- 「法務・知財どちらも扱う部署」も求人の応募先として検討している場合
各条件の詳しい理由などは、以下の記事で解説していますのでご覧ください。
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②「弁理士や特許技術者」でも知財部への転職が難しい理由
同じ知財業界の特許事務所で働く「弁理士や特許技術者」にとって、知財部への転職難易度はどうなのでしょうか?
結論、同じ知財業界に属する彼らでも転職は比較的難しいと言えます。なぜなら、「特許事務所と知財部では仕事内容が異なる」からです。
特許事務所は、取引先となる企業知財部から依頼を受けた案件の権利化を主に担当します。企業知財部は、特許事務所に依頼をかける側となり、特許事務所が行う主に書類作成業務などをチェックしたり、出願前のより上流の工程(調査業務など)を主に担当しますので、役割や仕事内容が大きく異なるのです。
仕事内容が異なるという理由から、企業知財部未経験者でも応募できる求人数はかなり少なく「ライバルとなる候補者も多い」です。
企業知財部を志望する応募者は基本的に「新卒からコツコツと知財の領域で実績を積んできた方」や、同じ弁理士でも「長年知財部と取引した経験をもった経験豊富な方」が多いため、選考難易度もかなり高いと言えます。
③「知財部から知財部」への転職難易度
企業知財部未経験者→知財部への転職は難易度が高いことが分かりましたが、「知財部勤務の方が、他社の知財部に転職する場合」についてはどうでしょうか?
この場合、もちろん、本人のスキルや素質、ご年齢、景気動向などに左右されますが、未経験者と比較すると、比較的容易に転職が可能です。
理由は、やはり企業知財部の経験者であると企業内での動き方がある程度わかっているので、企業側も採用しやすいためです。特に、技術分野が近い業界の企業からの転職ですと、尚有利となります。
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知財部への転職は全体的に難しいとされている理由
ここまでパターン別に、企業知財部への転職難易度を解説しました。
企業知財部への転職は全体的に難易度が高いことが分かりましたが、その理由を下記にまとめました。
求人数が少ないから
弊社で取り扱っている知財業界の求人内訳を見てみると、特許事務所と知財部の求人数の割合は、知財部3割、事務所7割程度となります。圧倒的に知財部の求人が少ないことが言えます。
また、企業知財部の募集は基本的に各分野を代表するような大手メーカーでの募集が多いです。当然ながら、大企業は転職先として人気が高いため、求人が出るとすぐに応募者が殺到します。
年齢の観点(弁理士資格や経験よりも企業の組織構成に左右される)
企業の採用(特に大手企業)の採用においては、実務経験や資格以上に、採用候補者が、その会社・組織のニーズや文化に合うかどうかが重視される傾向にあります。
企業の募集背景の多くは、年齢構成の是正や、長く就業してくれ将来的に部署を牽引してくれる30代~40代くらいまでの方を求めて採用活動をしているケースが多いです。
つまり、年齢が高くなればなるほど、経験年数やマネージメントの経験など、+αのスキルを求められることになります。
知財部への転職において歓迎される条件や転職のコツ
その企業が取り扱っている製品と同じ技術分野での経験を持っていることがベストですが、基本的に企業は、下記のポイントで評価をしています。つまり、下記が知財部への転職において歓迎される条件です。
- 特許出願に関わる知財経験があること(特許調査、発明発掘など。企業知財部での経験がベストですが、特許事務所での経験でも可)
- コミュニケーションを円滑にとれる方であること
その他、以下の記事で知財部への転職のコツを徹底解説していますので是非ご覧ください。
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知財部への転職にはエージェントの活用を
知財部への転職を考える中で、以下のようなお悩みはありませんか?
- 自分の経歴・経験で、知財部に転職できるか知りたい
- 転職で年収がどれくらい変動するのか知りたい
- 知財部の仕事が自分に合っているのか気になる
このようなお悩みをお持ちの方は、知財専門の転職エージェント「リーガルジョブボード」にご相談ください。業界知識が豊富で、高い専門性を持ったプロが、あなたの転職活動を全面的にサポートいたします。
エージェントを利用するメリットとして、
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まとめ
今回の記事のまとめは以下のとおりです。
- 企業知財部への転職は経験者が優遇されるため、未経験での転職は難易度が高い
- 企業知財部の募集は、求人数の観点や年齢の観点から、非常に数が少ない。
- 弁理士・特許技術者が未経験で転職するためには、特許調査の経験やコミュニケーション面でのアピールがポイントとなる。
- 弁理士・特許技術者以外で知財部希望の方は、一度特許事務所で知財業界を経験することがおすすめ