勤務社労士

勤務社労士とは?できること・年収・開業社労士との違いから登録・求人まで徹底解説【2026年版】

by LEGAL JOB MAGAZINE 編集部

編集部

勤務社労士

社労士(社会保険労務士)の働き方は、大きく「勤務社労士」と「開業社労士」に分かれます。このうち勤務社労士は、企業や社労士事務所に雇用されて働く社労士のこと。安定した環境で専門性を活かせる働き方として、資格取得者に人気があります。

一方で、「勤務社労士とは具体的に何ができるのか」「開業社労士と何が違うのか」「年収は低い?」「登録は必要なのか、しないと意味ないのか」「会社の許可はいる?名刺に載せられる?」など、疑問や不安を持つ方も少なくありません。

本記事では、勤務社労士の定義・できること・できないこと・年収・メリット/デメリット・登録の実務(費用や会社の許可)・働き方(在宅/時短/副業)・求人の探し方までを、士業転職のプロの視点で網羅的に解説します。


勤務社労士とは?意味と働き方の基本

勤務社労士とは、企業や社労士事務所などに雇用され、従業員として働く社労士のことです。
社労士として業務を行うために全国社会保険労務士会連合会の名簿に登録する際、区分を「勤務等」として登録することから、勤務社労士(勤務登録)と呼ばれます。

自分で事務所を構えて独立する「開業社労士」と対比される働き方で、雇用契約に基づく安定した収入のもとで、社労士の専門知識を活かして働けるのが特徴です。

勤務社労士と開業社労士の違い【比較表】

勤務社労士と開業社労士の最も大きな違いは、「勤務先以外の顧客から報酬を得て仕事を受託できるかどうか」です。
主な違いを比較表で整理します。

項目 勤務社労士 開業社労士
働き方 企業・事務所に雇用される 独立して事務所を運営
登録区分 勤務等 開業
顧客からの受託 勤務先の業務として行う(勤務先以外からの受託は不可) 複数の顧客と契約し受託できる
収入 雇用契約に基づき安定 青天井だが不安定(開業初期は低いことも)
向いている人 安定・専門性・実務経験を重視 裁量・収入の上限突破を重視

勤務社労士・企業内社労士・その他登録との違い

「企業内社労士」は、一般企業に勤務する社労士を指す呼び方で、勤務社労士の一種です。
社労士事務所に勤務する勤務社労士と、事業会社の人事・労務部門で働く企業内社労士は、どちらも勤務登録に該当します。

また、資格試験に合格しても登録していない人は「社会保険労務士試験合格者」であり、「社会保険労務士」を名乗ることはできません。
登録には「開業」「勤務等」「その他」の区分があり、勤務社労士は原則として「勤務等」で登録します。

勤務社労士ができること・できないこと(業務範囲)

勤務社労士の業務範囲は、開業社労士とは異なります。
「できること」と「できないこと」を正しく理解しておきましょう。

できること:勤務先の業務として1号・2号・3号業務

勤務社労士は、勤務先(所属する社労士事務所や自社)の業務として、社労士の独占業務を含む幅広い業務を行えます。

  • 1号業務(独占):労働・社会保険の申請書等の作成・提出代行・事務代理(電子申請を含む)。
  • 2号業務(独占):就業規則・労働者名簿・賃金台帳など帳簿書類の作成。
  • 3号業務(非独占):人事・労務管理に関する相談・指導(コンサルティング)。

社労士事務所勤務であれば顧問先の業務として、企業内社労士であれば自社の労務手続き・制度づくりとして、これらの業務に携われます。

できないこと:勤務先以外からの受託・独立受任

勤務社労士は、勤務先以外の第三者と直接契約し、報酬を得て社労士業務を受託することはできません。
これを行うには、開業社労士としての「開業登録」が必要です。副業として個人で受託したい場合も同様に開業登録が必要になります(後述)。

勤務社労士の主な勤務先|社労士事務所・一般企業・税理士事務所ほか

勤務社労士の主な勤務先は、次のとおりです。

  • 社労士事務所:顧問先の手続き代行・給与計算・労務相談などを担当。実務を幅広く経験でき、独立の土台にもなる。
  • 一般企業の人事・労務(企業内社労士):自社の社会保険手続き・就業規則・制度設計・労務管理を担当。大企業では専門性を、中小では幅広い業務を経験しやすい。
  • 税理士法人・会計事務所:顧問先の社保・労務手続きを担当。会計・税務との親和性が高く、ダブルライセンスで強みに。

勤務先によって担当業務や働き方(在宅・時短の可否など)が変わるため、自分の希望に合う勤務先を選ぶことが大切です。

勤務社労士の年収|開業社労士との比較と上げ方

勤務社労士の年収は、勤務先・経験・役職によって幅があります。
各種調査では平均で700万〜800万円程度とされることもありますが、これはあくまで平均で、未経験スタートは低め、経験・役職を重ねると高くなる傾向です。おおまかな目安を整理します。

働き方・段階年収の目安ポイント
社労士事務所(未経験〜数年)約350〜500万円実務を習得する段階。経験で上昇
社労士事務所(経験者・管理職)約500〜700万円担当範囲・マネジメントで上振れ
一般企業の人事・労務約400〜800万円企業規模・役職で幅。管理職で高水準
開業社労士(参考)幅が大きい初期は低く、顧問数・単価で大きく変動

勤務社労士は雇用契約に基づく安定収入が得られる一方、開業社労士のような収入の上限突破は難しい面があります。
年収を上げるには、労務コンサルや制度設計などの高度業務・マネジメント経験を積む、ダブルライセンスを取得する、より条件の良い職場へ転職する、といった方法が有効です。

勤務社労士のメリット5選

勤務社労士として働くメリットを5つ紹介します。

  1. 雇用契約に基づく安定した収入が得られる
  2. 社会保険・福利厚生が整い、生活基盤が安定する
  3. 実務を通じて社労士としての専門性を磨ける
  4. 未経験からでも挑戦しやすく、経験を積める
  5. 将来の独立開業に活きる実務・人脈を築ける

勤務社労士は、雇用契約のもとで働きながら実務経験を積める点が特徴です。
一方、担当できる業務や教育体制は勤務先によって異なるため、求人選びでは仕事内容まで確認する必要があります。

勤務社労士のデメリット・注意点

一方で、勤務社労士には次のような注意点もあります。

  • 収入に上限があり、開業社労士のような大幅な収入増は狙いにくい
  • 勤務先の方針・評価に働き方や年収が左右される
  • 独立開業ほどの裁量・自由度はない
  • 企業内では社労士業務以外の人事・労務全般も担当することが多い

メリット・デメリットを理解したうえで、自分の価値観やライフプランに合う働き方を選ぶことが大切です。

勤務社労士の登録|必要性・費用・会社の許可

勤務社労士として働くうえで多くの人が迷うのが「登録」です。必要性・費用・会社の許可、そして「登録しない・意味ない」と言われる理由まで整理します。

勤務登録は必要?できること・名刺の肩書き

勤務先の業務として独占業務(1号・2号)を行う、または「社会保険労務士」を名乗って名刺に肩書きを記載するには、勤務登録が必要です。
未登録の場合は「社会保険労務士試験合格者」であって、「社会保険労務士」として業務を行ったり名乗ったりすることはできません。

登録費用(入会金・年会費)と会社の許可

登録には、都道府県の社会保険労務士会への入会金と年会費が必要です(金額は所属会により異なります)。
費用を会社が負担してくれるケースもあるため、勤務先に確認するとよいでしょう。

また、登録や副業に関して就業規則で定めがある場合もあるため、会社の許可・規定を事前に確認しておくと安心です。

「登録しない・意味ない」と言われる理由と考え方

「勤務社労士の登録は意味ない」「登録しない」という声があるのは、主に登録費用がかかること、企業によっては未登録でも人事・労務の実務自体はできる場合があること、が理由です。

登録の必要性は、勤務先で担当する業務や今後のキャリアによって異なります。
「社会保険労務士」の名称使用や登録が必要となる業務との関係を確認したうえで、登録費用や勤務先の支援制度も含めて判断しましょう。会社が費用を負担する場合や、社労士として専門性をアピールしたい場合は、登録するメリットが大きいでしょう。

勤務社労士の働き方|在宅勤務・時短勤務・勤務時間

近年は、勤務社労士でも在宅・リモート勤務や時短勤務が可能な求人が増えています。
特に手続き業務は電子申請の普及もあり、在宅と相性が良い傾向です。

一方で、年度更新・算定基礎届の時期など繁忙期には業務が集中しやすいため、繁忙期の働き方や残業の実態は、応募前に確認しておくと安心です。
ワークライフバランスを重視する場合は、在宅可・時短可・年間休日などの条件を軸に求人を探しましょう。

勤務社労士は副業・独立できる?(勤務しながら開業)

勤務社労士が、勤務のかたわら個人で社労士業務を受託(副業)するには、開業社労士としての開業登録が必要です。
加えて、勤務先の就業規則で副業が認められているか、許可が必要かを必ず確認しましょう。

勤務社労士として実務経験を積んだ後、将来的に独立開業を検討するキャリアも選択肢の一つです。
勤務で実務・人脈・顧客基盤の土台を築いてから、開業登録に切り替えて独立するのが、失敗の少ない進め方といえます。

勤務社労士に向いている人/開業が向いている人

勤務と開業、どちらが向いているかは価値観やライフプランによります。目安を整理します。

  • 勤務社労士が向いている人:安定した収入・福利厚生を重視/実務経験を積みたい/組織の中で専門性を発揮したい人。
  • 開業社労士が向いている人:裁量を持って働きたい/収入の上限を突破したい/自分の顧客・サービスを持ちたい人。

「まず勤務で経験を積み、将来は開業」という段階的なキャリアも現実的です。
迷う場合は、内情に詳しいエージェントに相談しながら方向性を整理するとよいでしょう。

勤務社労士の求人例(リーガルジョブボード掲載)

勤務社労士の働き方をイメージできるよう、士業特化の求人サイト「リーガルジョブボード」に掲載されている社労士求人の例を紹介します。

出典:リーガルジョブボード「社会保険労務士の求人・転職情報」(掲載求人より抜粋)

勤務社労士の求人の探し方・転職を成功させるコツ(エージェント活用)

勤務社労士の求人を効率よく探し、条件の良い職場に出会うコツは、就職先の内情まで踏まえて比較することです。
ここで役立つのが、社労士・士業に特化した転職エージェントです。

  • 一般に公開されない非公開求人を紹介してもらえる
  • 在宅可・時短可など、希望条件に合う求人を探してもらえる
  • 事務所・企業の内情(雰囲気・繁忙期・年収の実態)を事前に知れる
  • 書類添削・面接対策・条件交渉まで一貫してサポートしてもらえる

リーガルジョブボード」は、社会保険労務士をはじめとする士業に特化した求人・転職サービスです。
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勤務社労士としてキャリアアップ・年収を上げる方法

勤務社労士として市場価値と年収を高めるには、次のような方法があります。

  • 労務コンサル・就業規則・制度設計など、手続き以外の高度業務を経験する
  • IPO労務・M&A労務など、専門分野の経験を積む
  • 税理士・行政書士・FP・中小企業診断士などのダブルライセンスを取得する
  • 企業内で人事マネージャー・責任者など役職を目指す
  • より条件の良い職場へ転職し、年収・裁量を引き上げる

勤務で専門性と実績を積み上げることは、将来の独立開業を選ぶ際にも大きな武器になります。

勤務社労士に関するよくある質問(FAQ)

勤務社労士は「意味ない」って本当ですか?

勤務社労士として登録する価値は、担当業務やキャリアプランによって異なります。
名称使用や登録が必要となる業務に携わる場合には登録が重要になる一方、企業内で人事・労務業務を担当するだけであれば、登録しない選択肢も考えられます。費用や勤務先の支援制度も含めて判断しましょう。

勤務社労士の年収は低いですか?

未経験スタートは低めのこともありますが、経験・役職を重ねると上がります。
各種調査では平均700万〜800万円程度とされることもあり、勤務先・役割によって幅があります。

勤務社労士に登録は必要ですか?

独占業務を勤務先で行う、または「社会保険労務士」を名乗る(名刺に記載する)には勤務登録が必要です。
人事・労務の実務のみで独占業務や名乗りが不要なら、登録しない選択もあり得ます。

名刺に「社会保険労務士」と載せられますか?

勤務登録をしていれば載せられます。
未登録の場合は名乗れないため、「社会保険労務士」と記載することはできません。

登録に会社の許可は必要ですか?

登録自体は個人で行えますが、就業規則で定めがある場合や会社が会費を負担する場合もあるため、事前に勤務先へ確認しておくと安心です。

勤務社労士は副業や在宅勤務ができますか?

在宅・時短が可能な求人は増えています。
副業として個人で受託するには開業登録と勤務先の副業許可が必要です。

未経験でも勤務社労士になれますか?

なれます。中小事務所を中心に未経験可・ポテンシャル採用の求人があり、特に20〜30代はチャンスが広がります。

まとめ|勤務社労士は安定と専門性を両立できる働き方

勤務社労士は、企業や社労士事務所に雇用され、勤務先の業務として社労士の専門性を発揮する働き方です。
開業社労士のように勤務先以外から受託はできませんが、安定した収入のもとで実務経験を積み、専門性を高められます。登録すれば「社会保険労務士」として名乗れ、独占業務も担えます。

安定と専門性を両立できるからこそ、自分に合う勤務先を「探し方」から選ぶことが大切です。
非公開求人や在宅・時短などの条件まで踏まえて比較するために、専門家の力を借りて自分に合う職場を見極めましょう。

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参考文献

この記事の執筆者

LEGAL JOB MAGAZINE 編集部

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士業専門の業界・転職情報メディア「LEGAL JOB MAGAZINE」の編集部。 司法書士や弁護士、弁理士、知財職種、土地家屋調査士、測量士などの職種を取り扱っています。 転職・就職ノウハウと業界知識に関する記事を中心に、インタビュー記事やイベント情報も発信します。

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